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砂の女

2021-09-09 18:25:26 | 舞台
たまきさんの本気に惚れ直した!!

体当たりとか熱演とか、与えられた役に対しての本気じゃなく、

自分がやりたい作品、決して押し売りしているのではなく、観客にも納得してもらえる作品を、決して生半可な気持ちではなく、記憶に残る作品を作るんや!といった女優緒川たまきの覚悟や意気込みを感じました。大変素晴らしかったです!

作品としても秀作でございました!

岸田今日子さん主演の映画版は、小さい頃にNHKで見た記憶があり、白黒映像で、本当に砂の下で生活しているような、しかも男女2人のエロスもあり、アングラ要素たっぷりの映像美とインパクトがあったのを今でも覚えています。

あ、原作は読んでません…。

その男女2人だけの作品を、休憩入れて約3時間もあるなんて!ケラさんはどんな作品に仕上げたのか!?

もちろん、ケラさんとたまきさんご夫婦の新ユニットの第二弾作品ということで、

ちなみに、第一弾は、仕事で観れませんでしたm(__)m

たまきさんがやりたかった作品ということで、観てきました。

映画では、どっちかというと、エログロナンハイセンス的な作品のイメージでしたが、

ケラさんとたまきさんが創り上げた「砂の女」は、

まさに日本社会を風刺したような、ミイラ取りがミイラになったようなアイロニーたっぷりの、ちょっぴりエロスとユーモアを交えて、プロジェクションマッピングを多用して兵芸の舞台空間を見事に砂の底へといざなってくれてました。

区画整理されているとはいえは、まだまだ根強く残る問題。

片や退屈な日常から脱したい思いと

片や働かざる者食うべからずの働き詰めの日常。

片や食うに困らない日常と

片や地上からの配給だよりの日常。

仲村トオルさんとたまきさんの存在が、この2つの対象的な日常を象徴していて、

ラストには見事なアイロニーがあり、

今の日本社会をまざまざと見せつけられたような、

想像以上にリアリティーを感じる作品でした。

そうなんよね、ほんま、身内もしかり、他人はなおさら、自分以外には興味なし。

今のコロナ社会と同じ。人は人、自分は自分の世の中です。

仲村トオルさん演じる男は、いかにも現実逃避したい人間のように描かれているけど、見方によっては社会不適合者的な存在にも見える。必要とされていると思っていたがそうじゃなかった的な。

ラストは、アイロニーというよりかは、ある意味、自分の居場所を見つけた的な決意にも受け止められる。

たまきさん演じる女は、今いる日常になんの疑問なく、なんの不便さも不満も感じず、ただ当たり前の日常と思って生きている。

ラストは、不本意ながら地上に引き上げられる。

なんとなしに「カイロの紫のバラ」に似たアイロニーを感じる。

っていうか、めちゃケラワールド全開というか、ケラワールドにピッタリ過ぎてびっくりしたくらい。

そりゃ、やりたかっただろうに!!

(笑)

本当、あの兵芸の舞台空間が砂の世界に変貌していて、視覚的にもストーリーてきにも演技的にも楽しめました。

ホント、たまきさんの本気度には感銘を受けました。てっきりマネキン人形だと思っていたらご本人だったので、本当にびっくりした。

たまきさんの「砂の女」への本気と覚悟を感じました!

熱演とは体当たりとは違う覚悟なんよね。それが本当に素晴らしかった!

これは間違いなく、何某の賞にノミネート間違いなしです!作品も演出も良い!

ほぼ2人だけで3時間弱って、退屈感がなかったのは、チームワークの良さを感じました。

っていうか、

ケラさんとたまきさんみたいに、夫婦ではあるけど、夫婦である以前にお互いを人としてリスペクトしてる関係性が好き!

かつての、故伊丹十三さんと宮本信子さんご夫妻や、篠田正浩さん岩下志麻さんご夫妻みたいな、自分の監督作品に必ず出るみたいな。

ケラさんとたまきさんの第3弾にも期待!!

追記:生演奏も良かったです!独特な楽器を多用し、ケラワールド構築にひと役買っていましたね。SE要らなかったんとちゃう?全部生演奏で表現しても良かったのでは?と思ったほど。

あと、幕間に流れていた音楽(オペラ)が♪トリスタンとイゾルデ♪だった!!

ケラさん、私が来るの分かってたのかな??

(笑)