昨日観てきました。東京公演中止で御覧になられない方のためにも、前回書き出したかったけど書かなかったことを書くことにしました。それから続けて昨日の感想を書きます。
ナターシャを演じた七海さん、ビジュアルは問題ないんですが、女子力ならぬ女力が足りない。いくら相手は大先輩の祐飛さんであっても、舞台の上ではナターシャの方が人生経験豊富で、ある種、美輪さんみたいな役だから、女役を意識するんじゃなくて美輪みたいな性を超越した女性像で演じて欲しい。七海さんのナターシャには男を翻弄させるようなオーラがなかった。ジューンが月ならナターシャは太陽。アグレッシブなナターシャが輝いていないと、恋愛に受け身なジューンの内面が引き立たない。
すみ花さんのジューン。やはりすみ花さんには物足りない地味な役だった。ラストのルディの訃報の知らせを聞くシーンの‘間’がさすが女優すみ花!と思った(ここで涙がこぼれました)。女性のせつなさを上手く演じてた。ただ気になったのが、すみ花って歌下手さんやったけ…?って思うくらい、難しいキーで歌ってたとこ。違和感を感じました。
祐飛さんには難しい役だったのか…、いやそんなはずはない。あれだけ銀ちゃんを演じられたんだから。いや、祐飛さんには難しかったのかも…。下級生を相手に自分がへり下らないといけない役だから、殻を破るのが大変だったのかな…。なんか祐飛さんに余裕が感じられなかった。幕開きはめちゃよかったのに…。
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正直に言うと、これがあの「銀ちゃんの恋」のあの完成度の高かった宙組の作品か!?祐飛+すみ花+七海以外のメンバーはしっかり脇を固めていたが、この三つ巴は、さすがに杜+紫+高嶺の三つ巴には適わなかったか…っていうのが前回の感想。
それがなんと1週間で…
めちゃくちゃ良くなってました!
特に七海さんが成長してました。声量も上がってたし、なにより台詞がナターシャの言葉になってました。美輪さんに関係なく、七海さんがナターシャとしてちゃんと存在してました。祐飛さんとの学年差なんて微塵も感じませんでした。
すみ花さんも、歌に違和感を感じませんでした。月のような存在だったジューンが、昨日はジューンも太陽のように存在感が出てました。ジューンも声量が上がってて、私がイメージするいつものすみ花さんでした。全然地味な役ではなかったです。
そして祐飛さん。七海さんが成長して演じやすくなったのか、そこに存在していたのは上級生の祐飛さんではなく、まさしくルディでした。
全体的にテンポもアップしていたし、組のパワーもアップしていたし、あまりの変わりように驚きまくりでした。
はっきり言うと、再々演の「ヴァレンチノ」ではなく、まさに宙組の「ヴァレンチノ」でした。進化してました。
私が観た日はビデオ撮りの日だったので、発売されるDVDが実証してくれるはずです。
三つ巴ばかり書いていてはいけませんね。前回もそうですが、悠未さんは隠れ見所。ショーではセンターで踊ってます。一緒にペアを組む七海さんとは絵になるくらいとても美しい。
ジョージ役の春風さん。この方も芸達者です。電話のシーンの小芝居が上手い!間の取り方が上手!この作品の中の唯一の癒し系の役ですが、ちゃんと的確に演じられてました。
ナジモヴァ役の純矢さん、花影アリスさんがいなくなった宙組に、ちゃんと大人の女役を演じられる娘役さんがいたことに嬉しく思いました。西太后を演じられそうですね。大海さんもですが…
大海さんはダンスで人を惹きつける不思議な魅力があります。貴重な存在です。
この作品、チョイ役なのにソロがあったりと見せ場がある役が多い。ここでは書ききれませんが、個々が皆個性的に演じられていて、本当に、これぞ宙組と思いました。特にコーラスは宙組が一番まとまりがあって上手いかもしれません。そうそう、昨日のショーは組長さんに釘付けでした。
役者が輝けるのはやはり脚本と演出ありきだと思うので、改めて小池先生はデビュー当初から凄い人だったんだなと思い知らされました。
あ、それから以前「モーツァルト」の感想で、机の引き出しを出したり引いたりする演出が小池先生らしくないと書きましたが、
「ヴァレンチノ」を観てあれは小池先生の原点だったんですね。スミマセンでしたm(__)m
そういえば、小池先生のバウ作品一度も生で観たことなかったんだよな…。
あと、なーちゃん繋がりのタンゴの曲がめちゃくちゃ良い!ショーもそうですが、一幕ラストの『血と砂』のダンスで流れる「ラテンラバー」「インスピレーション」のタンゴの調べにしびれました。
訂正:タンゴでなくてギターの調べです。
震災、東京公演の中止、ビデオ撮影…とテンションがいつも以上に上がったのかもしれませんが、生徒達が一丸となって見せてくれた本気の舞台に本当に感動しました。ありがとうございました。
最後もう1つ、この作品、スピリチュアルな作品です。ナターシャ、インスピレーション、ラストのルディがジューンにオレンジを渡すシーンなど、これって美輪さんの世界やん!って思って観てたのは私だけでしょうか…?
今日のまとめ:こんなこと書いたら本当に不謹慎だと思いますが、昨日の私は完全に震災があったことを忘れるくらい舞台に集中してました。祐飛さんが震災のこと東京公演中止のことを言及されて我に返りました。
そこで改めて感じたことは、被災地での公演の中止は致し方ないとしても、それ以外の公演はライブでも舞台でもどんどんやるべきだと思います。野球界でもセリーグの開幕戦を予定通り行うことに物議を醸していますが、収益の一部を被災地に寄付するのであればやるべきだと思います。ただ単に、延期したら経営が悪化するといった下心だけの理由ならば、噂通りの人物か!と罵倒したくなりますが。義援金のためなら選手も頑張れると思いますが。