不思議なことがあるものだ。ここ数日、かつてアメリカ留学をしていた頃の出来事が頻繁に夢に出てくる。楽しいことも、つらいことも、いろいろあったが、必ずしも自慢げに人に話せるようなものばかりではない。でもひとつ忘れられない小さな思い出がある。
アメリカ生活の1年目、日本で出会ったある家族のお世話になってミズリー州の大学に1年だけ在籍していたことがあった。緑の芝生一面の大学のキャンパスの中央に教会があった。この教会の前の階段の一段目の石畳の間から小さな黄色い花を咲かせていたタンポポがなぜか忘れなれない。お世話になった家族に連れられて何度か教会に出かけた。日曜日にはたくさんの人々がその教会にやってくる。それでも誰もそのタンポポを踏まずに避けて通るのだ。人が優しくなれる一瞬があって、まさにこのタンポポはその一瞬のある空間にはえていたのだと思っている。
半世紀も前の、僕がまだ二十歳になったばかりでの単身渡米、なぜか寂しくなったらこの教会に足を運んだ。キリスト教徒でもない僕は別に祈るわけではない。ただ黙って誰もいない静かで薄暗い教会の椅子に座っているだけである。ステンドグラスの光が美しいと思った。
いろいろ考えを巡らせて、自分の周りに注意することはどんな場面でも大切なことだ。
It’s all a matter of keeping your eyes open. (目をしっかり見開いて周りに注意を払うことは大切だ)You don’t want to miss a thing, do you? (なにも見逃したくはないでしょ)
(追)朝、激しい突き上げと横揺れの地震が大阪を襲った。やっぱり地球は生きている。