ノートルダム大聖堂の火災のニュースを見て、昔パリを訪れたことを思い出した、という記事を先日(4月16日)書きました。
世界を揺るがすような大事件が起きると、私たちは多かれ少なかれ感情を揺さぶられます。
身近な事件ならなおのこと。
そして、思います。
なぜこれは起きてしまったのか、起きなかったことには出来ないのか。
「ああ、神さま、どうか、なかったことにしてください!」
「ウェスト・サイド物語」の中で、マリアは神様にそう祈ります。
でも、いくら神様でも起きてしまったことをなかったことにはできない。
死んでしまった人を生き返らせることはできない。
普通はそう思います。
でも、もしかすると、なかったことに出来るかもしれない・・
それが起きなかった世界がどこかにあるかもしれない。
その世界に移ることができれば・・
9.11が起きなかった世界、ノートルダム大聖堂の火災が起きなかった世界、
それがどこかにあるかもしれない・・
もしかすると、私たちはすでに別の世界の存在を知っているのかもしれない・・
それが、マンデラ効果(マンデラエフェクト)
発端は、南アフリカ共和国のマンデラ大統領。
彼は27年間の投獄生活の後に南ア共和国の初代大統領となり、95歳まで生きて、2013年に亡くなりました。
マンデラ大統領について描いた映画「インビクタス」は有名ですね。とてもいい映画なのでまだ見てない人はぜひ。
ところが、このマンデラ氏死亡のニュースを見たひとりの女性が、
あれ、マンデラさんて1980年代に獄中で亡くなったんじゃなかったかしら?
と思い、ブログに書きます。すると、それを見た多くの人たちが、
私もそう思ってた、彼のお葬式のニュースも見た記憶がある・・
と言い出したのです。
数人とかじゃなく、とても多くの人たちが同じような記憶を持っていた。
そこで、記事を書いたフィオナ・ブルーム(超常現象研究家)はこう考えます。
もしかすると、実際にマンデラ氏が獄中で死んだ世界があって、私はその世界からこっちの世界へ移動してきたのかもしれない・・
まるでSF小説みたいな話ですが、
それからというもの、同じような記憶違いがたくさん見つかって、彼女はそれを「マンデラ効果」と名づけました。
たとえば、
「スターウォーズ」EP5でルークがダースベイダーと対面するシーンで、
ダースベイダーがルークに、
「No, I am your father.」(ノー、私がおまえの父親だ)
というシーンを、
「Luke, I am your father.」(ルーク、私がおまえの父親だ)
という風に記憶している人が大勢いるそうです。
「スターウォーズ」は世界的にヒットした映画で中には100回とか見ているファンも大勢います。その人たちがEP5の大事な台詞を間違えて覚えているだろうか。
また、他にも、
「おさるのジョージ」にしっぽがあったかなかったか、
「ピカチュウ」のしっぽは黄色一色かそれとも先端が黒いか、
ミッキーマウスはどんなズボンをはいていたか、
世界地図でオーストラリアの位置が変わったと感じている人たちがいる、
などなど、ネット上では枚挙にいとまがないほど多くの例があげられています。
ぞくっとするのは、ケネディ大統領暗殺事件でケネディ大統領が何人乗りの車に乗っていたか、というもので、記録フィルムでは6人乗りの車なのに、なぜか4人乗りの車だったと記憶している人がたくさんいること。
しかも、博物館には4人乗りの車が展示されている。
とか。
9.11同時多発テロのニュースは私も鮮明に記憶しています。
あの夜はTVに釘付けでニュースを見ていました。
そして、ふと私はこう思ったのです。
ああ、私はこっちの世界を選んでしまった・・
さすがSF好き、面白い発想だね、と友人からは言われましたが、あの時の感覚はもっと現実的で真に迫っていました。
もちろん当時は、私がそう考えただけ、と思っていました。
ところが、ある時、村上春樹が私と同じようなことを言っているのをネットか何かで見つけたのです。
村上春樹も9.11のテロを見ながら、僕はこっちの世界を選んでしまった、と思ったといいます。
そういえば彼の小説「1Q84」はパラレルワールドの話でした。
量子論の世界でも、パラレルワールドは実際にあるという見解を持っている科学者たちがいます。
ミチオ・カクというアメリカの物理学者もその一人です。
私たちのいるこの世界は、私たちが考えるよりずっとフレキシブルで不安定なものなのかもしれません。たえず揺らぎながらいろんな世界と交信し交流しあっているのかもしれない。
こんなことを言うと、オカルトだと揶揄されがちですが、私たちは世界や人間自身について、まだまだ何もわかっていないのではないか、と思います。
もっと柔軟な思考で世界や私たち自身を見ると、いろいろ面白い発見があるのではないでしょうか。
でもまあ、都市伝説の一つとして面白がる、というのもいいかなと思いますが。