ないない島通信

「ポケットに愛と映画を!」改め。

チャーリング・クロス街84番地

2019-04-03 17:58:00 | 映画



(これは2018年2月14日の記事です)

今日の映画は「チャーリング・クロス街84番地」
(デヴィッド・ジョーンズ監督作品 1987年公開)
同名の小説(小説のタイトルは『チャリング・クロス街84番地』)を映画化したものです(原作はかなり前に読みました)。

第二次大戦が終わってまもなくの1949年、NYに住む作家ヘレン・ハンフが、ロンドンの古書店に本の注文をするところから物語は始まります。
以来、古書店の店主フランク・ボイドとヘレン・ハンフの間で20年にわたり手紙のやりとりが続くのですが、それを本にまとめたのが原作小説です。 実話です。

古書店の店主をアンソニー・ホプキンスが、ヘレン・ハンフをアン・バンクロフトが演じています。

映画は原作にかなり忠実に作られていて、何よりロンドンの古書店の雰囲気が圧巻。
こんな店だったら、絶対一度は訪ねてみたいよね、と思わせる造りです。
映像はどんな言葉よりダイレクトに心に訴えてきますね。まさに百聞は一見にしかず。

フランクとヘレンの手紙は知的でユーモアにあふれていて面白い。二人はやがて作家と古書店の店主という関係以上の友情を育んでいくのですが、ある日突然、ヘレンのもとにフランクの死を知らせる手紙が届きます。

ロンドンに行く機会はあったのに、諸事情で(歯の治療にお金がかかる等)行かなかったヘレンは泣き崩れます。

行けばよかったのに。
NYとロンドンなんて目と鼻の先なのに。

人はかくの如く、大事なチャンスを失うのだなあ・・
生きているからこその人生。人はいつ死ぬかわからない。 だったら、生きているうちに大事な人には会っておかなくてはいけないし、やりたいことは先延ばしにしないで、やらなくてはいけない。

今回、私が感じたのはそれでした。

もちろん、本好きにはたまらない映画です。
でも、映画はやっぱり原作には及ばない。
ロンドンの古書店が魅力的で、アンソニー・ホプキンスなど俳優陣がよくても(ちなみに、フランクの妻役はジュディ・デンチ! しかもまだ若い!)
ユーモアにあふれたやり取りや書簡にちりばめられた本への愛情は、映画ではやはり表現しきれないところがあります。
本が好きじゃない人にとっては退屈な映画かもしれません。

戦後の食糧難にあえぐロンドンに、ヘレンはアメリカから缶詰めや卵などを送るのですが、生卵の代用品として粉末の卵がある! ということを私は初めてこの本で知りました。戦勝国であるイギリスの食糧難が酷かったということも。

背景に第二次世界大戦があり、人々は大変苦労するのですが、その中でも本を大切に守り続けた古書店の人たち、そして本を愛し続けたヘレン・ハンフの存在は私たちに希望を与えてくれます。

好きなことがあるうちは大丈夫。だから、好きなことは大事にしよう。

それでも、やっぱり
「生きてるうちが花なのよ、死んだらそれまでよ・・」
なのだなあ・・

(そういえば、今日はバレンタインデーでしたね) 

ああヘレン、フランクに会いに 行けばよかったのに!

(冒頭にも書きましたが、これは去年のバレンタインデーの記事です)



コメント
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