ないない島通信

「ポケットに愛と映画を!」改め。

「バートン・フィンク」を見てモンクを思い出す

2016-04-27 11:14:39 | 映画
「バートン・フィンク」という映画を見ました。
コーエン兄弟監督作品です。
コーエン兄弟というのは、ユニークな映画を作っているようですね。
私は「ファーゴ」しか見ていませんが、これを機会にもっと見てみようと思います。
この映画は、コーエン兄弟がシナリオ執筆に苦しんだ経験から生まれたそうです。

作品が書けなくて苦しんでいる駆け出しのシナリオライター、バートン・フィンクは、
滞在中のロサンゼルスの安宿で、一風変わった保険外交員の男と出会います。
この男と出会ったことから、バートンはとんでもない事件に巻き込まれていくのですが、
全体に漂うのは、彼の妄想まじりの奇妙な現象。
暑さのせいで剥がれてくる壁紙とか、壁にかけられた美女が砂浜にいる写真とか、
有名な作家の愛人とベッドをともにした翌朝の惨劇とか。

どこまでが現実でどこからが彼の妄想なのか、
あるいは全部が妄想なのか、
見分けがつかなくなるような不思議な雰囲気に満ちています。

ところで、
この映画を見て、びっくり仰天したのは、
主人公のバートン・フィンクを演じている俳優。

あらま、アンブローズじゃないの!

しかも、彼の上司が、

エイドリアン・モンク!

「名探偵モンク」の主役エイドリアン・モンクを演じた俳優トニー・シャルーブじゃありませんか。
図らずも、モンクと弟のアンブローズが同じ映画に出演しているのです。

「名探偵モンク」というのはアメリカのTVドラマで、
探偵モノではありますが、コメディタッチでけっこう笑えます。
人情味のある刑事ストットルマイヤー、おっちょこちょいのディッシャー、そして気の強い看護師のシャローナ、そしてシャローナの後継者のナタリーなど、脇を固める人たちもみなとても魅力的。
主人公のモンクには、彼の妻が、車にしかけられた爆弾で殺されたという辛い過去があり、
しかも、強迫神経症で、あらゆることに過敏に反応するので、普通の人の暮らしが出来にくい体質でもあります。

エイドリアン・モンクと弟のアンブローズ・モンクが登場するエピソードは、何というか、人生の不思議、悲しさ、おかしさをそこはかとなく感じさせてくれます。
また、最後のエピソードは、モンクの妻を殺害した犯人がついに明らかになるという圧巻の章です。
何かに行き詰った折など、DVDを引っ張りだしては繰り返し見ています。

で、このエイドリアン・モンクことトニー・シャルーブが「バートン・フィンク」の中では
すごく意地悪な上司を演じるのですね。
モンクの対極にいるような人物を。

役者というのは凄いなあと、こういうのを見るたびに思います。
同時に、
全く予期せぬ映画の中に、予期せぬ人物を見つけたときなど、
昔の知人に街角で出くわしたようななつかしさを覚えたり、
あるいは、ここでは会いたくないと思っていた人物に出会ってしまったような違和感を覚えたりしますね。

あら、スーパーマン!
あなた、どうしてここにいるの? 
(クリストファー・リーが「ある日どこかで」に出演しているのを見たとき)


映画って本当に面白いですね。
コメント
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