背教者ユリアヌス

2012-12-03 03:53:12 | Weblog
タイトルを見て、なんのこっちゃと思っただろうが本のタイトルである
35年ぐらい前に家庭教師からもらった本である
中学生のときは親も俺に希望を持っていたので塾に行かせられていた
多分クラスのほとんどが塾に行っていたと思う

そんなとき突然、家庭教師を頼んだからと言われた
俺は猛反発したが押し切られた
塾と並行して家庭教師とは上流家庭の英才教育のようである
どこから見つけてきたのか知らないが小学校か中学校の教師ということだった
週に2回だったと記憶してるが本当に憂鬱だった

それでも世界史の中間だか期末試験で、
それまで30点ぐらいだったのが1問間違えただけの98点を取れた
担当の教師が驚いて、どうしたんだと声を掛けてきたのを覚えてる
もちろん家庭教師も喜んでくれた記憶がある

だが覚えてるのはこれぐらいで、その後どうなったかは覚えていない
さほどの成果はなかったのは確かである
だが塾のほうも効果があって英語だけは中間期末ともずっと100点満点だった
確か1年の最初のほうから2年の終わりぐらいまでずっと100点だったと思う
ちなみに公立の入試も英語だけは90点以上だったと思う

そして中3のとき別の塾に通ったんだが編成試験があり、選抜クラスになってしまった
これは埼玉で言うと浦和高校などを目指すクラスである
たまたま入っただけだからついていけるわけもなくすぐに脱落した
そして家を出ても塾には行かずブラブラしていたのを覚えている
選抜クラスが決まったときの親の喜んだ顔を思い出すと本当にきつい
俺の勉強面でのピークは、あの時だったと思う
その後、親が勉強面で喜んだことは1度もない
というか勉強以外でもないであろう
つまり親にとって俺は初めての子供だから産まれた瞬間が1番のピークだったわけだ

今振り返ると、ひょっとすると、
もっと真面目に勉強してれば違った人生になっていたかもしれない
まあこれは誰でも言えることなので今がダメなのだからダメなのである
当然家庭教師のほうも、しばらくして終了となった
そのときにこの本をプレゼントされたわけだ
値段は2500円と書いてある
ケースも付いてて、自分で買うことはまずない本格的な本である



俺は1度も読むこともなくずっと放置していた
しかしなぜか処分だけはしなかった
俺は結構大事にしてた物でもバンバン捨てて後で後悔していた
それぐらい、不要と思ったものはすぐに捨てるほうである
なのになぜかこれだけはずっと捨てずにいた
というか捨てられなかったのかもしれない

親が期待して呼んだ家庭教師がくれた本である
捨ててはいけないような気がしていたのである
有名大学に行けなかった時点で期待は裏切ってるのだから、
捨てようがどうしようが関係ないんだが、
なぜかこの本だけは読まなければいけないような気がしていた

しかし、720ページもあり文字もビッシリである



いつか読もうと思っていても踏み出せないでいた
仕事もありネットもありテレビもあり買い物やら飯の支度やらで、
とても読む時間など作れなかったわけだ

そしてその存在も忘れかけていた頃、ふと思った
1日2ページだけ読んでいけばいいのではないか
別に一気に読む必要はないわけだ
俺は本というのは読み始めたら一気に読まなければいけないものだと決め付けていた
だがそんなことはないわけだ

そこに気づいてようやく30年以上のときを経て読み始めることとなった
最初は1日2ページと決めていたが4ページぐらい読めることもある
面白くなると6ページぐらいまで読める
まあそのときの気分なんだが一応順調に進んでる
内容は古代ギリシャの話である

ただ人名や地名が似通ったりしていて正直大雑把にしか理解できていない
登場人物も地名もまったく整理できていない
下手すると文字を読んでるだけのときもある
文字を読みながら別のことを考えてることも多い
しかも文字が小さい上に老眼だから時間がかかる
すいすい読み進めるというわけにはいかない
たかが2ページ読むのに5分ぐらいかかってしまう

100円ショップで買った老眼鏡もあるんだが、
それを使うと一気に目が悪くなりそうなので使わずにがんばっている
それでも晴れた日に日に当てて読むと文字がハッキリ見えてすいすい読める
老眼になる前ならもっと早いペースで読めたと思う

それでも、ずっとできなかった宿題を片付けてるようで気分は悪くない
ずっと心のどこかに引っかかっていたのである
極論するとこれさえ読み終えたら思い残すことはないという心境である
これを読むことが親の期待にこたえられなかったせめてもの償いのような気がしてきた
恐ろしく勝手な解釈だが、とにかく俺の中では読まなければいけない本だったわけだ

こう書くと苦痛のように思われるかもしれないが内容が結構面白い
まだ半分も読んでないが所々集中してしまうぐらいの展開もある
だが全体的には苦痛とまではいかないが、ただ読んでるだけというのが正直なところだ
それにしても毎日少しずつでも続けるというのはたいしたものである
歩幅は小さくても着実に前に進んでいく

掃除でも一気にやろうとすると大変だが1日1ヶ所なら出来そうである
しかも、ふと気づくと恐ろしいほど片付いてるものである
少しずつでも必ず毎日やるというのはすごいことだと再認識した次第だ

さすがに来年中には読み終えるだろうが、そのときの達成感が楽しみである
30年以上放置した宿題が、この段階で終わる目処が立ったのは信じられないことだ
漠然と死ぬ間際ぐらいになったら読もうと思っていたぐらいである
今は処分しなくて本当に世かっと思う

まあ親にとっては何の足しにもならず、
ちゃんとした社会人になって結婚もして・・というのが理想だったわけだ
だがそれはもう無理である

だからせめてもの読破なのである
完全な自己満足だが、この本を前にして出来ることは読みきることだけである
これからも老眼と戦いながら1ページずつ着実に読み進めていこうと思う
コメント
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