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気まぐれ猫の徒然の日々

気楽に、時々思いついたことなどを書きつづっていきたいと思います・・・。
諸般の事情で絶賛引きこもり中。

ユナイテッド航空エンジン部品落下事故

2021-02-22 22:19:03 | その他

最近よく目にするニュースの一つ、ユナイテッド航空のエンジン部品落下事故だが、最初落下部品の写真を見て驚いた。
どこからどう見てもファンケースの先端部がまるごと落ちていたからだ。
あんなもん、そう簡単に落ちるものでは無いし、落ちちゃいけないものだから。

そう思っていたらトラブルを起こしたエンジンの動画が出てきて、何故脱落したのかが納得出来た。
動画を見てみるとカウリング部分のほぼ全てが脱落して、エンジンが周期的に振動している。
脱落した部位と振動の様子から、高速で回転しているファンブレードの一部が破損・脱落して遠心力で外側に飛んだファンブレードの破片がエンジンを貫通してその外側のカウリングを吹き飛ばしたんだろう。
そして、破片の一部がコンプレッサーからタービン部に入り込み、内部を破損したんだろうなぁ。
動画から、ファンブレードの一部を無くした事で回転のバランスが狂ってエンジンの前部がファンブレードの回転周期に同期して振動しているのが見て取れる。

えーっと、現在使われているジェットエンジンはほぼ全てが "ターボファン" と呼ばれるもので、昔使われていた "ターボジェット" エンジンの前に大型のファンブレードを取り付け、タービンの回転でこのファンブレードを回転させ、それで推進力を増大させる構造になっている。
つまり、すごく大雑把に言えばジェットエンジンで大きな扇風機を回して、それで起こした後ろ向きの風を前へ押す力にしている、流速 (後ろ向きの風のスピード) は落ちるけど流量 (風の全体量) が増える為、低速域での推力 (エンジンを前に押す力) の増強効果が高いエンジンである。
つまり、スピードは出ないけど、燃費は良いエンジンって事。
まあ、実際にはファンブレードを通過する空気のうち、どのくらいをそのまま外に出して、どのくらいをコンプレッサー側に回すか (これをバイパス比という) によって特性は変わるし、空気の導入路を工夫することによって如何にファン部分での空気の速度が音速を超えないようにするかでトップスピードも変わるんだけど・・・。
で、"ファンブレード" ってのは、ジェットエンジンを前から見た時に見える、くるくる回っている羽のこと。

このボーイング777-200型のエンジンは PW4000-112 のようで、777の中で-200型のシリーズの一部にしか使われていないみたいだ。
777-200型のエンジンは PW (プラット&ホイットニー)、GE (ジェネラル・エレクトリック)、トレントの三社から選択出来たようで、日本の大手航空会社は PW を選択していたよう。
因みに同じボーイング777でも、-300型はGEのエンジンのようだ。

ファンブレードが折れ飛んだ原因はまだハッキリしていないんだけど、この PW4000-112ってエンジン 、PW4000シリーズの中でもファンブレードの直径が一番大きいタイプのようで、当然ファンブレードに掛かる遠心力は一番大きい。
離陸直後の破損って事だからバードストライク (鳥がエンジン内に飛び込む) って事も考えられるんだけど、国交省が考えている原因はおそらく金属疲労による損傷だと思う。
以前日航機が起こした同型のエンジンのトラブル原因がやはりファンブレードの金属疲労による損傷だったそうだから、その線を懸念しているんだと思う。
(金属疲労による損傷は、繰り返し部材に力が掛かることによって、割れ目が少しずつ大きくなっていく為、破断した断面に特徴的な縞模様が出来るのですぐ判る。)
離陸直後って事はエンジン出力は最大になっているから、ファンブレードに掛かる遠心力も最大になっていて、金属疲労で広がったクラック (ヒビ) 部分が一気に限界を超え破断するって可能性も高い。
なので、同型エンジンの使用の一時停止・点検を指示したんだと思う。
金属疲労が原因なら、使用時間が同じ位のエンジンのどれに同様のクラックが出来ていてもおかしくないからね。

ついでに、ファンケースが簡単に取り外しができるってのもこのエンジンの売りのよう。(PWのホームページより)
これもファンケース全体が落下した一因じゃ無いかな。
固定部が破損したら全部一気に落ちちゃうって事でしょ。

PW、最近 GE に推力で負けちゃうことが多いから、焦ったのかなぁ。
ちょっと設計で無茶しちゃってる気がする。
使用条件でブレード上に小さな衝撃波か乱流が発生して金属疲労が進んだとか?
まあ、勝手な推測だけどね。