姉兄と母を囲みし枕辺に末期の息の高く吸はれぬ
十歳前母を看取りし枕辺で一際高く兄の泣きける
誰知らむ母を送れるその年に五十路半ばで兄旅立つを
亡き夫の好みし青き蜜柑をば母の求めて子らに勧めり
(夫=つま)
*
吹く風の冷たくあれど陽を浴びて百合の木花の数多ゆれをり
薄黄なる百合の木花の空高く仰ぎて見れば心満たさる
楠に花の咲けるを知ればこそ六十路の旅のよろこびもあれ
並び立つ橡の木飾る紅の花に見ほれて独り佇む
十歳前母を看取りし枕辺で一際高く兄の泣きける
誰知らむ母を送れるその年に五十路半ばで兄旅立つを
亡き夫の好みし青き蜜柑をば母の求めて子らに勧めり
(夫=つま)
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吹く風の冷たくあれど陽を浴びて百合の木花の数多ゆれをり
薄黄なる百合の木花の空高く仰ぎて見れば心満たさる
楠に花の咲けるを知ればこそ六十路の旅のよろこびもあれ
並び立つ橡の木飾る紅の花に見ほれて独り佇む