【TV Show】
2024年にシーズン完走した作品から選出。詳しい選評についてはリアルサウンドへの寄稿をどうぞ。
※記事はこちら
※記事はこちら
10. 『One Day/ワン・デイ』
製作 ニコール・テイラー

9. 『私のトナカイちゃん』
製作 リチャード・ガッド、他

8. 『シュガー』
監督 フェルナンド・メイレレス、他

監督 パク・チャヌク、他

6.『エクスパッツ ~異国でのリアルな日常~』
監督 ルル・ワン

5. 『リプリー』
監督 スティーヴン・ザイリアン

4. 『SHOGUN 将軍』
製作 レイチェル・コンドウ、他

製作 ウィル・スミス

監督 アルフォンソ・キュアロン

製作 ローレン・ルフラン

【MOVIE】
今年も頑なに“原則、2024年に世界初公開された映画”という基準で選出した。『オッペンハイマー』の順位に頭を悩ませることは2024年に生き、映画を見ていた記録にならないからだ。その他、『関心領域』『哀れなるものたち』『異人たち』『美と殺戮のすべて』『ホールドオーバーズ』などが選外になっていることを断っておく。これらについては上半期ベスト10を参照してもらいたい。
2024年末より月刊誌での映画批評連載が始まり、本格的にライターデビューした。試写で見られる本数が大幅に増え、より“批評家っぽい”選出になったと思う。日本では2025年公開作もいくつか含まれるため、イントロダクションとして参考にしてもらえると嬉しい。
2024年は不作だった。2023年の米俳優組合、脚本家組合のストライキによって公開本数が激減。これはコロナ禍を支えてくれたストリーミングプラットフォーマーも例外ではなく、年末恒例オスカー狙いの秀作にも乏しかった。加えて日本国内での深刻な洋画不調である。年間国内興行収入ランキングからはついに洋画が姿を消した。ハリウッドが衰退した今、“洋画(=アメリカ映画)”はポップカルチャーの主流ではなくなったのだ。
瀕死のハリウッドはかろうじて延命処置に成功したように見える。出涸らしのような企画ばかりに思えたサマーシーズンのブロックバスターはいずれも入念な企画開発がなされ、北米はじめ世界中で大ヒットを記録。老人の映画である『ビートルジュース ビートルジュース』はともかく、『エイリアン:ロムルス』や『ツイスターズ』は新進スターの輝きがスクリーンから眩く放たれていた。もっとも製作側も観客もノスタルジーへの依存は高まる一方で、『フォールガイ』や『セキュリティ・チェック』などのアクション娯楽作を“90年代の楽しいハリウッド映画が帰ってきた”と愛でる気にはなれなかった。
映画がソーシャルメディア上で消費される時代である。“傷つきやすさ”と“正しさ”への安易な連帯は作家と作品の属性から目を背け、本質を見失う。
映画とは個人的な体験でもある。僕のような田舎者は映画館はおろかレンタルビデオ店もない土地で青春時代を送った。昨今、大都市以外で暮らすほとんどの観客はストリーミングプラットフォームを通じて映画とTVシリーズを接続し、イーストウッドの最新作が劇場公開されないであろうことを察していた。ハッシュタグ・アクティヴィズムはイーストウッドの哲学から最も遠い手段であり、署名活動は映画館で映画だけを見ている者の古びた特権だろう。
では2024年に映画を見続ける者としての年間ベストとはなにか?新しい才能に目を向け、野心的な挑戦を記録し、映画の持続可能性を模索すべく10本を選んだ。
10.『ツイスターズ』
監督 リー・アイザック・チョン

今年、最も優れたハリウッドブロックバスターに第10位の座を進呈しよう。もはや誰も覚えていない96年の凡作を、賢明なリー・アイザック・チョン監督はトランプが再選する“2024年の映画”として仕上げた。トランプ登場以後、ネガティブな文脈で語られがちなアメリカのカントリーサイドを魅力的に映し、近年相次ぐスリーサム映画の快作の1本でもある。そして竜巻級の上昇気流を巻き起こすデイジー・エドガー=ジョーンズ!
監督 ジョージ・ミラー

偉大なジョージ・ミラーは大成功した前作『怒りのデス・ロード』の前日譚を全く正反対のアプローチで撮り、自らが生み出したシリーズに神話的な奥行きをもたらした。週末3日間の興行収益で評価を下すハリウッドの悪しき風習が、本作を今年もっとも過小評価された映画へと貶めた。
監督 ジェフ・ニコルズ

46歳のジェフ・ニコルズが1960年代のバイカー集団を描く…本作もまたノスタルジーに依存した映画と思われるかもしれない。しかし、輝くようなオースティン・バトラー、キャリア最高のトム・ハーディ、そして明晰なジョディ・カマーら若手キャストの演技によって、人間の不完全さを描く普遍的な映画となった。
監督 ドゥニ・ヴィルヌーヴ

ドゥニ・ヴィルヌーヴの功績をいったいどのように称えたら良いのだろう?巨大建築物のような本作は、IMAXスクリーンでこそ真価を発揮する。晴れて第3部の製作も決定。これから数年はIMAXで本作がリバイバルされるはずだ。私たちは何度だってアラキスへ馳せ参じようではないか。
監督 モハマド・ラスロフ

映画に求めるものがショックであるなら、不屈の映画作家モハマド・ラスロフによる本作こそが相応しい。母国イランを追われたラスロフは原理主義的宗教政治によって弾圧される女性たちの怒りを描く。プロットラインだけでは堅苦しい社会派映画に聞こえるかもしれないが、ラスロフはサスペンス映画としての娯楽性すら担保して観客を巻き込んでみせるのだ。
監督 アレックス・ガーランド

本国公開から遅れること半年。日本で週間興行収入1位を記録する画期的な成果を収めた本作。日本人にとってもトランプの再選は他人事ではなかった。何より世界中で政変が起きている今、アレックス・ガーランドが描く危機と不安は未だその衝撃を失っていない。
4.『Flow』
監督 ギンツ・ジルバロディス

2024年、最も目の醒めるような映画はラトビアから現れた。人類が水没した世界を1匹の黒猫が生きる。安易な擬人化に頼ることなく、動物たちに魂を宿らせた本作は愛猫家必見。そして同じくらいカピパラのことも好きになる映画だ。
監督 奥山大史

見れば見るほど魅せられずにいられない。安易なノスタルジーを拒絶し、子どもの可能性と大人の現実を真摯に見つめる。人生における冬の季節を描いた名作。
2.『陪審員2番』
監督 クリント・イーストウッド

前作『クライ・マッチョ』はさすがに90歳の老いを感じずにはいられなかったが、カメラの後ろに回ればその明晰さは未だ失われていない。自身のキャリアを通じて幾度となく繰り返えしてきた“人は人を裁けるのか?”という主題が、近年ソーシャルメディアを介した“私刑”を鋭く突く普遍は今更指摘するまでもないだろう。紛れもない傑作であり、これが劇場公開されなかったのが“2024年”だったのだ。
監督 ブラディ・コーベット

ブラディ・コーベットは野心みなぎる3時間30分の大作で、アメリカ映画における最重要監督の座へと躍り出た。俳優としてハネケ、アサイヤス、トリアーらに師事したヨーロッパ主義の36歳は、ナチスの迫害を逃れアメリカに渡ったブルータリズム建築家を通してユダヤ、アメリカ、そして時代を超えるアーティストを描く。いや、そんな概略は多くを語らない岩のような建築物の前では無用だろう。大作映画だけが持つ30年の旅路(そして15分のインターミッション)と、その到達点をぜひ大スクリーンで堪能してもらいたい。
【Body of Work】
・コリン・ファレル『シュガー』『ザ・ペンギン』
・ロバート・ダウニー・Jr『オッペンハイマー』『シンパサイザー』
・ゼンデイヤ『DUNE Part2』『チャレンジャーズ』
・アンドリュー・スコット『異人たち』『リプリー』『ワーニャ』
年間ベスト10についてはポッドキャストでも解説しています。