【MOVIE】
※6月30日までに見た劇場公開作、配信作、旧作計44本から選出。
監督 ジョセフ・コシンスキー
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2、『アネット』
監督 レオス・カラックス
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監督 スティーヴン・スピルバーグ
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監督 マギー・ギレンホール
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5、『パリ13区』
監督 ジャック・オディアール
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監督 ウェス・アンダーソン
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7、『カモンカモン』
監督 マイク・ミルズ
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監督 シアン・ヘダー
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監督 ジェレミア・ザガー
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監督 リチャード・リンクレイター
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上半期最大のトピックスはなんと言っても『トップガン マーヴェリック』だろう。トム・クルーズが満を持してリリースした人気作36年ぶりの続編は全米のみならず、ここ日本でも100億円に迫る勢いで観客を集めており、世界中で記録破りの大ヒットを続けている。パンデミックがようやく小康状態に入った絶好のタイミングでの公開によって、映画館から遠ざかっていた観客が戻り始めた。これを呼び水に全米のサマーシーズン興行は活況を取り戻しており、まさにトム・クルーズが映画を救った格好だ。作品の仕上がり以前に、映画史的な価値から見て非常に重要な出来事と言っていいだろう。
そんな“劇場で映画を見る”イベント性、スペクタクルに否応なしに心惹かれた時期でもあった。年間ベストよりもマイフェイバリットを選ぶ傾向の強いこの上半期ベストで2位に『アネット』、3位に『ウエスト・サイド・ストーリー』というミュージカル映画が並んだのは偶然ではないだろう。またモノクロームが映えるのも映画館の闇に身を潜めてこそである。『パリ13区』『カモンカモン』の美しさに魅せられ、『フレンチ・ディスパッチ』の自由闊達な映画言語に圧倒された。
一方で、映画館にかかることのない配信映画は今や作家にとって最後の創作の場である。Appleが買い付けた小品『コーダ』はアカデミー作品賞を制し、マギー・ギレンホールの刮目すべき監督デビュー作『ロスト・ドーター』はNetflixからリリースされてアカデミー賞でも注目を集めた。しかし賞レースから外れた作家映画は膨大なアーカイブと並列化され、リンクレイターが『ROMA』以後のムーブメントである半自伝映画を撮ったことを知る人はほとんどいないだろう。
『HUSTLE』はアイデンティティポリティクスの時代を経て、2020年代のスタンダードかも知れないという思いから選出した。その他、『スパイダーマン ノー・ウェイ・ホーム』『私ときどきレッサーパンダ』『TITANE』『ベルファスト』『ナイトメア・アリー』が選外になった事を記しておく。
【TV Show】
※6月30日までに全エピソードを視聴した計18作品から選出
1、『ステーション・イレブン』
監督 ヒロ・ムライ、ジェレミー・ポデスワ、他
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2、『パチンコ』
監督 コゴナダ、ジャスティン・チョン
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3、『サクセッション』シーズン3
監督 マーク・マイロッド、他
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4、『TOKYO VICE』
監督 マイケル・マン、HIKARI、ジョセフ・クボタ・ラディカ
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監督 サム・レヴィンソン
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監督 エイミー・シャーマン・パラディーノ、他
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7、『ロシアンドール』シーズン2
製作 エイミー・ポーラー、ナターシャ・リオン
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7、『アンダン』シーズン2
製作 ラファエル・ボブ・ワクスバーグ、ケイト・パーディ
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8、『ピースメイカー』
監督 ジェームズ・ガン
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9、『テッド・ラッソ 破天荒コーチがゆく』シーズン2
製作 ブレンダン・ハント、他
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10、『パム&トミー』
製作 ロバート・シーゲル
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2022年上半期、真に見るべき作品の多くはTVシリーズにあった。Netflixの躍進以後、ハリウッドでは各社が自前のストリーミングサービスでオリジナル作品を製作する群雄割拠の時代となり、今年はその何度目かのピークが押し寄せている。しかしコロナ禍に入って2年、Netflixの株価は暴落し、市場全体のバブルが弾けた。ひょっとすると今年がPeakTV最後のビッグウェーブとなるかもしれない。
映画史を俯瞰した上で1位を選ぶこともあれば、現在(いま)観ることに価値を見出して選ぶこともある。『ステーション・イレブン』はまさに後者で、パンデミックによって崩壊した世界を舞台に、人々が“物語”を縁(よすが)に再生するストーリーは傷ついた人々の心に響くだろう。
PeakTVでもっとも多様な変化を続けているのはコメディ作品である。『テッド・ラッソ』『ピースメイカー』『パム&トミー』らが複雑なテーマを笑いで包み、一方でコメディエンヌが主人公の『マーベラス・ミセス・メイゼル』が描いた自身の芸風への固執は、あらゆる思想が個人の中で硬直化した現在(いま)を思わせるものがあった。
歴史を忘却し、修正主義が跋扈する中、かつて私たちが加害者の立場であったことは今一度、見直されるべきだ。『パチンコ』はそのテーマ性のみならず、編集、美術、俳優、演出と全ての要素が揃った最高レベルの傑作である。同じく海外の目から日本を見た『TOKYO VICE』は、この国が多民族国家であることを正確に描写し、“ガイジン”という卑語によって主人公の怒りと正義感が燃え上がるクライマックスに圧倒された。
同時期に、前作からほぼ同じブランクでリリースされたSFドラマ『アンダン』『ロシアンドール』が、共に家族のルーツを遡る中で1940年代の歴史的な分岐点に接続した事に驚いた。『パチンコ』と並び、硬直化した2020年代の参照点として見直されるべきは近代なのだ。
HBOの躍進は留まるところを知らず、『サクセッション』『ユーフォリア』のシネマティックなアプローチと、若手から熟練まで揃ったアメリカ映画界の俳優層の厚さを堪能した。バブルが弾けた後、生き残るはHBOただ1人かも知れない。
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