長内那由多のMovie Note

映画や海外ドラマのレビューを中心としたブログ

『モダン・ラブ~今日もNYの街角で~』

2020-02-25 | 海外ドラマ(も)

 NYタイムズに掲載されたコラムを原作にする1話20~30分のアンソロジーシリーズ。豪華キャスト、温かなヒューマニズムというシーズンを通した雰囲気に『ラブ・アクチュアリー』や『アバウト・タイム』を手掛けたイギリス人監督リチャード・カーティスの作品を彷彿とした。今回、全8話中4話で監督、脚本を務めるのは『once ダブリンの街角で』『はじまりのうた』『シング・ストリート』で知られるジョン・カーニーだ。彼らしくユーモラスで、観光地ではないストリートの魅力を捉えたロケーションが楽しい。

 第1話『私の大好きなドアマン』はある独身女性と、彼女の暮らすマンションでドアマンを務める東欧移民の男性の友情が描かれる。元狙撃者と自称する彼は寡黙だが思いやりにあふれ、時に無茶をするヒロインに対して的を得たアドバイスをしてくれる。ジェントルマンな“イケオジ”っぷりに癒される1編だ。

 第2話は出会い系アプリ開発者とインタビュアーの物語。共に人生を左右する大恋愛を語り合いながら、真実の愛とは何かと問いかける。『スラムドッグ・ミリオネア』『LION』のデヴ・パテル、『カポーティ』のキャサリン・キーナーが共演。

 第7話『僕らが見つけた家族のカタチ』も楽しい。『フリーバッグ』シーズン2の“ホット・プリースト”ことアンドリュー・スコットがゲイに扮し、養子をもらおうと妊娠中のホームレスを紹介される。スコットの魅力がやはり自然体演技にある事もわかるし、ホームレス役オリヴィア・クックの“がらっぱち”な演技も楽しい好編だ。

 口当たりの良いエピソードに飽きが来たらこちらの2編もいいだろう。第3話ではアン・ハサウェイが登場。明るく、セクシーな彼女が運命の恋に落ちるミュージカル仕立ての冒頭から一転、実は双極性障害であり、うつ病に苦しむ姿が描かれる。演技開眼した『レイチェルの結婚』を思わせる体当たり演技で、オスカー女優の面目躍如である。

 第6話では『オザークへようこそ』でエミー賞に輝いた若手注目株ジュリア・ガーナーが登場。彼女が父親ほど年の離れた職場の上司に恋心を抱き…というちょっと危うい展開が他のエピソードと一線を画す。上司役は『ホームカミング』などでお馴染みの名脇役シェー・ウィガム。監督を女優のエミー・ロッサムが手掛けているのも意外だ。

 個人的にはイイ話以外に何も残らないイイ話短編集というのは苦手で、最終回の創意工夫のなさにも辟易するが、隙間の時間には程よい。好きな俳優の登場回だけ見るのもいいだろう。

『モダンラブ』19・米
監督 ジョン・カーニー、エミー・ロッサム、他
出演 ソフィア・ブテラ、オリヴィア・ワイルド、ティナ・フェイ、ジュリア・ガーナー、アン・ハサウェイ、キャサリ・キーナー、デヴ・パテル、アンドリュー・スコット、シェー・ウィガム
 
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