好事家から見ても、フランス産のサメ映画は希少では?Netflixのローカルプロダクツ『セーヌ川の水面の下に』は巻頭こそ北太平洋で始まるものの、以降はタイトル通り、パリ五輪の開会式会場にもなっているセーヌ川で繰り広げられる。おいおい、サメは淡水魚なのか?疑問はごもっとも。海洋プラスチックと気候変動で遺伝子異常を起こしたサメが、なんと単独でも生殖可能という設定だ。しっかり時事性を取り入れても、お高く止まらないのがエスプリか。サメ映画の伝統として行政の長の無能を描くのは定番が過ぎるため、ここでは気候変動の危機を訴えるため人食いサメを保護しようとするウォーキズムが餌食になる。
“サメ映画”だろうが、夜のセーヌ河岸やカタコンベなど観光名所が映るといい気分になってしまうもので、そんなナメた態度でゆるゆる見ていたら映画は中盤からエスカレート。まさかの『バスタブに乗った兄弟?地球水没記?』のような事態に!見るならパリ五輪イヤーの今!
『セーヌ川の水面の下に』24・仏
監督 ザヴィエ・ジャン
出演 ベレニス・ベジョ、ナシム・シ・アフメド