夏木広介の日本語ワールド

駄目な日本語を斬る。いい加減な発言も斬る。文化、科学、芸能、政治、暮しと、目にした物は何でも。文句は過激なくらいがいい。

グルジアの改名希望と外務省の考え方

2009年04月27日 | 政治問題
 旧ソ連のグルジアがロシア語での呼び方を嫌って、英語表記のジョージアと改名したいと日本の外務省に申し入れたと言う。グルジアの名前はキリスト教の守護聖人ゲオルギウスに由来するそうだ。
 ならば、ゲオルギウスではどうなのか、と私は思う。なんで英語なんだ? と。この話は25日の東京新聞の「コトバ 言葉」と言うコラムに載っている。そこには書かれていないのだが、グルジア語は無いのか。
 ウィキペディアで調べると、グルジア語はあり、Sakartvelo サカルトヴェロが国名だそうだ。「カルトヴェリ人の国」の意味である。しかしそれではグルジアとは離れ過ぎているから、グルジアに近いジョージアが選ばれたのだろう。
 そして肝心の外務省の見解はアメリカのジョージア州との混同が気になると言うらしい。でもアメリカは「ジョージア州」であって、「州」が付く。日本語では「州」無しの呼び方はあり得ない。少なくとも正しくはない。アメリカにはカリフォルニア州があり、メキシコにはカリフォルニア半島がある。これが混同するだろうか。

 当の国が日本語ではそう呼んで欲しいと言う。そこには敵対関係にもあるロシアに対する嫌悪感があるのだから、聞き入れるのが礼儀だろう。日本は変な国だ。北朝鮮は少し前までは必ず「朝鮮民主主義人民共和国」でなければならなかった。中華人民共和国を「中国」と呼ぶ事はその国は認めたが、「シナ」は絶対に許さない。そうした事には忠実に従い、今度は躊躇している。
 アメリカの「ジョージア州」と国名の「ジョージア」の混同を言うならば、現代の「中国」と「清」に至るまでの歴史上の「中国」との混同をこそ気にするべきである。前者は現代の事であり、後者は歴史上の事だ、などと言う理屈は通らない。自分勝手で強引な国には遠慮をし、そうでない国には日本の勝手を通す。多分、怖いんでしょうね。
 「強きをくじき、弱きを助く」の言葉がある。日本政府は「弱きをくじき、強きを助く」だと勘違いをしているのではないのか。「弱きをくじき」の精神を信条としているアメリカや中国、ロシアに追随しているから、どうしたって右に倣えになってしまう。それって、本当に恥ずかしい事なんですけどねえ。