成瀬たかこブログ

まちづくりや日々のあれこれ、不定期発信しています。

3月議会 わたしの一般質問の登壇原稿です。

2012-03-23 | 日記
順番が前後してしまいましたが。
3月7日 一般質問に登壇しました。
通告は「公共施設の維持更新について」の1本。

東浦町議会は 今のところテレビ中継も動画配信も行っていません。
そのため、一般質問も当日傍聴するかおよそ3ヵ月後の会議録のHPアップを待たなければ中身を目にすることはできません。
翌日の新聞地方版に小さく載りますが、取り上げられるのは極々一部です。
傍聴者に配布される通告書には、今回成瀬はズバリの質問のみしか書きませんでしたので、登壇の全文をこちらに置いておきます。
当局からの回答については また追って掲載させてください。
また、今回の質問の構成にあたり、資料の整理分析にていねいにご指導・アドバイスをくださいました東洋大学PPP研究センター・リサーチパートナーの岡田直晃氏にこの場からお礼申し上げます。ありがとうございました。

では、登壇原稿(原文まま)です。

☆  ★  ☆  ★  ☆

 わたくしが今回取り上げますのは、「公共施設の維持更新について」であります。
今までにも、何人もの先輩議員の方々が質問してきた案件です。昨年来、様々な勉強会や研究会、視察等足を運び、わたくしなりに先進事例や各地の共通する悩みなど勉強を重ねてまいりました。そのなかで、この先どこの自治体にも必ず訪れる重大な問題として 「公共施設の維持更新」という課題をあらためて認識いたしました。
 ひとくちに「公共施設」と申しましても、わかりやすいところでは学校や公民館や図書館、この役場の庁舎といった建物いわゆる「ハコモノ」から 上下水道、道路、橋といったいわゆる「インフラ」といわれるもの、ごみ処理施設などのプラント系まで広い範囲に及びます。住民の生活を維持するためになくてはならないこの財産を、これからどのように持ち続けるのがよいか。わたしが子ども時代を過ごしたかつての高度経済成長期のようにお金をつぎ込んで新しいものを作り続けるのか、はたまたその逆を考えなければならないのか。
 人口の推移を見ますと、昭和45年の東浦町人口は 24,550人。現在はそのほぼ2倍です。グラフで見ますと、まっすぐな直線であがってきたのではなく、昭和45年から55年の10年間の増加が特に多く、およそ1.5倍の 36,035人になり、その後50,000人を超えるまでに約30年かかっています。そして第5次東浦町総合計画の人口指標によりますと、平成22年から10年間でおよそ3,000人増えて平成32年には53,000人と想定されています。かつて10年間で12,000人ほどの人口増をみた時代と比べると、これから先10年間ではその4分の1の増加しか見込まれません。しかしこの数字も全国的な少子化、人口減少の流れを考えるとまだ楽観的な数字ととらえた方がいいかもしれません。
 では、このように増え続けてきた住民からの需要にこたえて、東浦町は公共施設をどのように建設してきたのでしょうか。わかりやすい 建物から見てまいりたいと思います。現在 町立の小中学校は合計10校、各小学校区ごとに1または2箇所の見当で保育園、公民館、児童館、老人憩の家があります。
 このほかにも、保健センター、図書館、勤労福祉会館などの建物を町は保有しています。
 いくつもにわたる担当課をまわり、それぞれにお持ちの施設データをみせていただきました。面積でまとめますと、庁舎をのぞく町の公共の建物は少なく見積もって139,982㎡となりました。このうち42.3%にあたる、59,267㎡が昭和49~53年の5年間に集中して建設されていることもわかりました。同じ時期に建てられたものは、当然同じ時期に建替え需要が発生します。
 ここまでは「ハコモノ」の話。さらに平成23年度版「ひがしうらのすがた」によりますと「インフラ」として、総延長約390kmの町道、69箇所の橋も保有しており、こちらも定期的にメンテナンスが必要で終わりはありません。上下水道の存在も忘れてはなりません。
 財政面から見てみます。昭和55年 財政規模は約63億8千万、義務的経費はそのうち27.6%で投資的経費は49.1%ありました。平成17年 財政規模 約120億、義務的経費は40.6%にふえ、逆に投資的経費は17.5%と減っています。
そして平成22年度決算では財政規模約134億5千万、義務的経費は46.4%にまで上がり、投資的経費は14.2%まで下がりました。公共施設の維持更新に当てられる財源の割合は今後も減り続けることが予想されます。
 人口指標によると平成22年の生産年齢人口は全体の64.7%、老齢人口は20.2%ですが、平成32年には生産年齢人口は2.2マイナスの62.5、これに対し老齢人口は4.1プラスの24.1%と弾き出されていますから、今より少ない人数でより多くのお年寄り・子どもを養っていく計算になります。それに加えて、公共施設の維持更新のために多額の資金が必要になる、これが公共施設更新問題です。
 そこで お伺いします。

(1)現有する町の学校・保育園・児童館・公民館・老人憩の家の建設年度・予想される建替え時期などはそれぞれどのように把握していますか。

(2)(1)で述べた以外にも、町は多くの「公共施設」を保有しています。耐震・長寿命化をはかったとしても、永久に使い続けられるわけではありません。老朽の度合い・施設の必要性から、最短で建替えが必要になる施設は何だと考えられますか。可能であれば上位3件と予想されるそれぞれの建替え年度を挙げてください。

 来るべき建物の更新に備えて、基金を積み立てている自治体もあります。高浜市では平成21年4月1日に公共施設等整備基金の設置および管理に関する条例が施行され、お隣の大府市でも昨年12月の定例会において、同様の条例が可決されています。東浦町では庁舎の整備についてのみ、平成3年4月1日に基金条例が施行されています。これについてお伺いします。

(3)庁舎整備基金について
   ア.条例制定の経緯を説明してください。
 
   イ.現状と今後の見通しをお願いします。

(4)庁舎以外の建物についての更新資金計画についてはどう考えていますか。

(5)すべての町有施設の維持更新と資金計画を一元化して管理する考えはありますか。

 平成17年から「東浦町行政改革集中改革プラン」というのがございました。現在はこの取り組みは終了していますが、この中に興味深いものがあります。「民間委託の推進」と言う項目でありまして、「1.指定管理者制度・PFIの導入」とあります。これを推進していくことは、行政にとってはより安価で、住民にとってはより質の高いサービスを受けることができ、なおかつ公共施設の維持更新のコストを抑えることに大変有効になる場合があります。ですがこの改革プランの報告書によると、東浦町では平成18年度から検討されていますが、今のところ実施は1件もありません。そこで、

(6)公共施設の指定管理者制度・PFIの導入といった民間委託等を推進する流れをどう見ていますか。

 ここまで人口の動きや財政の見通しなどから話をしてきましたが、実際のところ、施設の建替え問題が本格化してくるであろう10年20年後に、わたくしを含めここにいる人のうちどれくらいが問題の当事者たるでしょうか。公共施設の更新問題は、その頃一生懸命働いて家族を養い税金を収めているであろう今の子ども世代の生活に降りかかってくるのです。今までのように 学校は保育園は図書館は黙っていても行政が建ててくれる、提供してくれるものとは言っていられなくなるのです。まちづくり、居場所作りの問題とも切り離しては考えられません。そういった視点から、壇上からの最後の質問です。

(7)施設の更新を計画するに当たり、その受益者であり資金を負担することにもなる町民に対して、情報共有と合意をどのようにしていきますか。

通告いたしました質問は 以上でございます。よろしくおねがいいたします。

☆  ★  ☆  ★  ☆

このあと、当局の回答、再質問・・・と続きますが、今日はここまでで。



 議案第5号 町税条例の一部改正について に対する反対討論をしました。

2012-03-23 | 日記
昨日3月22日、3月定例会が閉会しました。
当局からの提出議案はすべて原案可決しました。
以前ここでも少し触れました、議案第5号について
私 成瀬は討論の上、採決で反対しました。
結果は15:2の賛成多数で可決されました。
以下に 反対討論の全文を掲載いたします。


議案第5号 東浦町税条例の一部改正について に反対の立場で討論します。
私が問題としているのは、この条例案の第24条にあたる部分、平成26年度から35年度までの10年間、個人の町民税を一律500円値上げすると言うものです。
この議案は、昨年公布されました「東日本大震災からの復興に関し地方公共団体が実施する防災のための施策に必要な財源の確保に係る地方税の臨時特例に関する法律」をもとに、上程されたものです。この法律の趣旨は、「東日本大震災復興基本法に定める基本理念に基づき平成23年度から平成27年度までの間において実施する施策のうち全国的にかつ緊急に地方公共団体が実施する防災のための施策に要する費用の財源を確保するため臨時の措置として個人の道府県民税及び個人の市町村民税の均等割りの標準税率について、地方税法の特例を定める」ものであります。
「特例」の内容は、平成26年度から10年間、東浦町民にとっては県民税500円と町民税500円の合計1000円が、均等割りですから全員一律で増税となるというものです。
東日本大震災からの1日も早い復興と東海東南海地震に備えた防災の施策は緊急かつ最重要であることは私も異論のないところです。むしろ、趣旨から判断するに、このために期間限定で臨時の増税が必要とあらば、反対を唱えるのは相当な勇気の要ることです。
私が反対と申し上げるのは「趣旨」にではなく、増税までの道のりです。
この法の公布は平成23年12月2日、それから最短で条例改正の議案を上程できるのがこの3月定例会であったわけですが、増税されるのは平成26年度からで、課税対象となるのはその前年の平成25年です。ですから、この24条部分については条例の改正はまず住民に周知を図り、この先の6,9月議会での議決でも十分間に合うものです。実際この2月3月の定例会には議案として上げていない市議会もあります。
今回 法にも「臨時特例」とうたってありますが、期間・金額を決めて徴収するなら、具体的な根拠が必要です。たとえばこの施策を実行するために、これだけの財源が必要、それにはこれだけ不足するので、いつからいつまでの間これだけの金額を上乗せして徴収させていただきたいがどうか、と住民に諮るべきです。しかし、今回の増税分を財源としてどのような施策を組むのかといった具体的な議論はまだなされていません。町として増税を決めてから、住民に説明するというのでは順序がおかしいです。今回は地方交付税を人質に取られているようなもので、結局町民税は上がるのだとしても、事前に説明しておくのと決まってから報告するのとでは住民にとっては受け止め方が全く違ってくると思われます。「議会を通過したら、このように税金が上がります」と住民に知らせないまま、私はこの議案には賛成の票を投じることはできません。
以上に申し上げた理由から、この3月議会においての議案上程、取り急ぎの議決は東浦町と町民にとって決して良い結果をもたらすものではないと考えます。
議員各位におかれましても、私の意見にご賛同いただき、慎重に採決に臨んでいただくようお願い申し上げて、議案第5号への反対の討論といたします。