壁際椿事の「あるくみるきく」

東京都内在住の50代男性。宜しくお願いします。

ラブコール

2011年12月27日 | かんじる

●クライマックスって、どういう意味か? 「最高潮」ぐらいに思っていました。今朝の新聞で、ミュージカルか何かの題に「Cry Max」とあった。クライマックス。おお、そうか。大きな声で泣く、最大限に叫ぶ。そんな意味なんだ。

で、いま英和辞典を調べた。
climax=緊張や興奮が最高潮に達する場面。

題は当て字だったようです。

●先日、暇に任せて市ヶ谷から九段方面へ散歩。九段の昭和館で「写真にみる50年前の日本 よみがえる昭和の情景」展を見ました。新幹線「こだま」号が世に出る前、東京・大阪間にはビジネス特急「こだま」号が走っていた。先頭はボンネット型です。

なぜ「こだま」か? 分かりますか。行って返ってくるから。ヤッホー。

●福島原発事故を受け設立された事故調査・検証委員会(委員長:畑村洋太郎氏)が、中間報告書を出しました。内容は、政府や東電への批判のオンパレード。この中間報告及びその報道が、「じゃあ政府や東電が適切な対応をしていれば、放射能漏れや水素爆発は防げたんだ」と世論を誤導しないか心配です。

あれだけの天災です。誰が首相でも、誰が東電の社長でも、誰が原子力安全・保安院の院長でも、完璧に被害を封じ込めることはできなかった。そう考えるのがフツーでしょ。であるなら最初から、地震国ニッポンは、危険な原子力に頼るべきでないのだと思います。

●ラブコール
吉田昌郎殿
ぜひ次期衆院選の我が党の候補に。
        民自党選対本部


呪いの時代

2011年12月26日 | かんがえる

内田樹さんが『呪いの時代』という本を出されました。「呪い」と「贈与経済」についての論考です。ご本人は「いまどき論じられることの稀なテーマ」という趣旨のことをおっしゃっていますが、なかなかどうして。現代的トピックだと思います。

『プロの論理力』(荒井裕樹著)を再読しました。「知に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ」と言います。荒井さんは若くして高収入の弁護士。『プロの論理力』は角を立てまくる本でした。ご本人自身、あとがきで「敵を作るかもしれないが、あえて本を出した」という趣旨のことを書かれています。初読時、あまりに心のうち深く角(つの)が刺さったので再読したのです。

同書には、チカン被害女性の代理人として、慰謝料請求をしたケースが載っています。加害者が企業の管理職であり、最近、被害女性と同じ町に引っ越して来たばかりということを調べ上げる。そして「買ったばかりの家を大切にするはず」という読みで、「被害者はあなたのような破廉恥な人が同じ町内に住んでいることを、怖がっている。引っ越してくれ」と迫るのです。

加害者は、引っ越しがイヤで、相場より高い示談金を飲まされます。荒井氏の論旨は、「交渉前に情報収集せよ」です。確かにその通りでしょう。

が、呪詛です。もし、加害者が「はい分かりました」と引っ越し要請に応じる。自分が悪いとはいえ家庭崩壊してしまう。そんな場合、全てを失う覚悟で、報復行動に出ないとも限らない。赤穂浪士の討ち入りです。法や道理で報われないことは、呪いで何とかしようとするのではないでしょうか。

ペットの犬を殺された、と厚生労働省の元高官を殺害した人がいました。決して許される行為でないが、彼の心の中の論理は、報復を良しとしたのです。

合理主義がまかり通る。努力して報われるなら、いい。しかし努力しても報われないとなると、どうなるか。窮鼠猫をかむといいますが、逃げ場がないのにギリギリと追い詰められると、人々は呪いに頼りたくなるのではないか。今はそんな時代でないか。

内田先生の著書のタイトルを見て、こんなことを考えました。


Meguruともりかど号

2011年12月26日 | かんじる

町工場が、電気自動車を自作する動きが盛んです。関西地方では中小企業が共同で、「Meguru」を作り、次号で「もりかど号」を開発中とか。新聞紙面の写真は、和のテイストで、なかなかかっこいいです。

「そもそも町工場がEVづくりを始めたのは、(淀川製作所の)小倉庸敬社長が2009年春に参加した環境問題の勉強会がきっかけ。『EVの部品数は、ガソリン車の3万点に対しその10分の1もない。部品数が少ないので製作工程も少ない』。講師のこの言葉に触発され」開発に乗り出したとか。(読売新聞12月25日より)

完成車メーカーの下請け工場は、電気自動車の普及(つまりガソリン車の衰退ね)に危機感を持っています。エンジンが不要となると、エンジン部品の専業メーカーは生き残りが苦しくなるからです。彼らにとってライバルは、他の完成車メーカーや部品メーカーでなく、モーターだというわけです。

確かに、町工場だけでなく、大学の研究室や愛好家も、市販のガソリン車をベースに電気自動車に作り変えるようなことをしている。それだけ工作が容易ということでしょう。

部品数が10分の1……。片やEVづくりに乗り出す中小企業、片やエンジン衰退への対応を迫られる中小企業。世の中はいろいろあるんだなぁと思います。


ホルショフスキー

2011年12月26日 | よむ

ホルショフスキーは生涯に一度だけ来日し、ピアノ講演会を開きました。日本では一般的に知名度は低いのですが、世界的な演奏家で、来日公演も玄人には好評だったそうです。不勉強にして知りませんでした。

「人々が同じ言葉を口にし、同じもの、同じ人をもてはやす現象は、いわば現代における商業主義の勝利の風景でしょう。みんな一緒に盛り上がりながら、その実、人間一人の想像力や判断力の貧しさを語っているようにも見えます。」(読売12月24日、芥川好喜氏のコラムより)

ただ一人の聴衆に向け、その人の心を振るわせる演奏ができるか。その積み重ねが、万単位の聴衆を集める大演奏家への道なのでしょう。

ベストセラーなんてのも、「商業主義の勝利」の結果なのかもしれません。隠れた名著に出合いたいと思う今日この頃です。そのためには書評も参考にしつつ、360度張り巡らせた自身のアンテナの感度を高めておく必要がありますよね。