壁際椿事の「あるくみるきく」

東京都内在住の50代男性。宜しくお願いします。

『おもろい会社研究』を読んだ

2010年11月10日 | 読書(文芸、フィクションほか)
著者は松室哲生氏。元『週刊ダイヤモンド』編集長で、現ジャーナリストです。『おもろい会社研究』を読みました。著者による「おもろい」の基準は、次の通り。

1)社長の顔が見える。個性がハッキリしている。
2)他人がやらないことを事業としている。
3)私欲に走らない(私欲に走ることを「爪が長い」というそうです)。
4)軸がぶれない。

社会に構造変化が起きており、それを上手に捉えた事業が成長している、という前半の総論が興味深かったです。構造変化の一つの表れが、「いいものを安く」という風潮。その例としてユニクロの隆盛が示されていました。なるほど、ですね。続いて、商品ばかりでなく、人材にも会社にも「いいものを安く」の波が押し寄せているといいます。

(以下引用)「派遣サービスの膨張とも言える伸張は、やはり『いいものを安く』の感覚にマッチしていた。(中略)企業間のM&A(吸収合併、引用者注)の進展も、『いいいものを安く』というコンセプトにぴったりの手法だった。」

「いいものを安く」というキーワードで、世の中の動きを説明する点は、なるほどと感心しました。

ただ、こんなオチもあります。(以下引用)「この分野(人材派遣)が儲かりそうだとなって、新規参入が相次いだ。(中略)いきおい専門知識のない人を抱えて、何でもかんでも送り込むという業者すらあるそうだ。受け入れる企業にも倫理観はなく、明日からのイベントに100人よこせ的な発注が出される。すると業者は必死になって人を集める。その結果がどうなるかは想像に難くない。」

大切なのは、倫理観です。

後半は、著者が「おもろい」と感じた会社の事例の紹介です。1社あたり数ページ。読んでいて、「あれ、もう終わり?」と感じたのが残念ではありました。