壁際椿事の「あるくみるきく」

東京都内在住の50代男性。宜しくお願いします。

『日本の再起』を読んだ

2010年11月16日 | 読書(ノンフィクション、実用)
『日本の再起』(東洋経済新報社)を読みました。著者は、ロバート・A・フェルドマン氏。モルガンスタンレー証券のエコノミストで、テレビ東京のビジネス番組にも出演されているので、ご存知の方も多いと思います。

同書のサブタイトルは「CRICサイクルから脱却せよ」。CRICサイクルとは、次の通り。CRISIS(危機)が起こると、RESPONSE(反応・対応)をする。その結果、IMPROVEMENT(改善)が見られるが、抜本的な改善でないと、COMPLANCY(怠慢)となり、やがて、もっと大きな危機が訪れる。循環論です。日本の政治は、この悪循環を繰り返してきた、と本書は述べます。

一国のGDP(国内総生産)は、労働投入量、資本投入量、TFP(全要素生産性)の和です。TFPとはトータル・ファクター・プロダクティビティで、革新的な新技術とか、一国の教育水準とか、犯罪率の低さとかで、数値化が難しい要素です。計算も、GDP、労働投入量、資本投入量を算出した後、その差として求められるそうです。ここまでは経済学の知識。

フ以前、フェルドマンさんのお話を聞いたとき、経済成長の話が非常に分かりやすかった。中国人は金槌を1つ持ている。2つ与えたら生産性は2倍になる。日本人は既に2本持っている。3本目を与えても生産性は上がらない、と。小難しい経済の勉強をしていたのですが、スッと頭に入ってきました。

少子高齢化が進む日本は、労働人口が減少している。資本効率も臨界点(金槌2つ)に達しており、いくら追加投入してもGDP増大への寄与は限定的。同書の結論は、だから、古い産業は途上国に任せ、日本は技術革新に注力せよ、という話でした。金槌に代わる、革新的な釘打ちマシーンを開発せよ、ということですね。

同書の本筋から外れますが、こんなブラックな記述もありました。
(以下引用)「日本ではかつて80年代前半にグリーンカード(納税者番号を割り振って利子など資産性所得に対する総合会税制度)を導入しようとして(中略)結局実行に至らなかった。誰がグリーンカード制度をつぶしたかと言うと、私の知人の話では故金丸信氏だったらしい。その後、金丸氏の地下室から金の延べ棒などが出てきたことを振り返るなら、彼がプライバシー問題(露見)を考えてグリーンカード制度をつぶしたと見るのは考えすぎだろうか。」

「(特捜検察などを想定すれば良いでしょうか)司法機関の独立性を高められれば、スキャンダル時にたびたび起こる不可解な「死」も少なくなるだろう。」

今でこそ、検察の権威は失墜していますが、同書出版は2001年です。

ペルツマンモデル、ボール&スティク理論、ケビンベーコンゲーム、クリスチャンセン理論なども簡潔に説明されていました。時期的に9年前の話ではありますが、なかなか面白かったです。

な~ぜだ?

2010年11月16日 | 街ネタ
昔々あるところに、泥棒がいました。家の中には金銀財宝がたくさんあるのに、その泥棒は盗みませんでした。な~ぜだ?

先日、小学1年の次女から出されたなぞなぞです。僕は答えられませんでした。「あるくみるきく」読者の皆さんは分かりますか? な~ぜだ?