クラシックカー・バブルについて思ふ

最近の旧車バブルについて、ここ数年
知人友人から何度かご質問を受けたのですが、
いつもちゃんとお答え出来ず。

しっかりとした答えなんて無いのですが
僕の思う事を、気楽に書き綴ってみようかと。



クラシックカーや旧車の価値が上がる事に対して
僕は肯定的です。
先人の素晴らしい技術や歴史、苦労が、
価格に反映する事で、
美術品のように丁寧に扱われ、
後世に代々伝わるからです。

しかし、異常なる急激なバブルには、
流石に付いて行けません。
世間がシラケてしまうだけでなく、
価値が急激に下がれば（本来の価値に戻ると）
ぞんざいに扱われるようになるからです。

どこぞの美術館のように、不況になると
運営の為に芸術品を気楽に売り出すという
本末転倒なことが起こると、
そこでまたプチバブルが生じ
結局のところ、作品の痛みだけが早くなる
残念な結果が待っているのです。



あれは確か1994～95年頃だと記憶しています。
アメリカ某中都市で、ある日本人社長の通訳として
リゾートホテルの一室に呼び出されました。

あまりにも破天荒で
世界情勢にも無知な日本人社長さんだったので
アメリカ人社長さんも、かなり呆れ気味。
しかし、丁寧に両者の間を取り持ちました。

無事に会談を終え、
日本人社長さんがお部屋を去られると
ボランティアで通訳した僕を不憫に感じたのか
それとも鬱憤が溜まっていたのか、
アメリカ人社長さんは、秘書の静止を振り切り、
今後の自動車業界について熱弁を始め
僕に覚えておくように命じました。

彼の話を簡単に書くと、

１．1990年代後半から、有名無名関係なくスポーツカーや超高級車が増える。

２．2000年代には、クラシックカーや旧車の価格は徐々に値上がりする

３．2010年代にはSUV型が高性能化し、セダン型乗用車より増える。

４．「超」高級自動車メーカーは、バブルのように様々な仕様やモデルが出る。
　　もしイタリアの高級スポーツカーF社がSUVを作る所が見れたら、
　　超高級車バブルも終焉だろう。

５．2017年頃をピークにクラシックカーや旧車の価格が高値安定する。

６．2020年代は新世代の乗り物が席巻する。

７．新世代の乗り物が出ると、内燃機関は更に値上がりする。

などなど・・・（実はもっと長く細かい話だった）

当時、僕は単なる車好き留学生。
しかし、目の前で熱弁を振るうアメリカ人社長さんは、
本当はこのことを、日本人社長さんに強く伝えたかった
のかも知れないと感じました。



今更ながら彼の予言？を紐解くと面白いですね。

確かに「超」高級自動車メーカーは増えました。
フォルクスワーゲンがブガッティーを製造販売するなんて
誰が想像したでしょうか。
フェラーリもパガーニもここまで売れるとは。

アメリカは売れないセダン型を早々に終了して
SUV型に移行しました。
セダン型が高級だと思う世代が減り
ミニバンやSUVで育った子供達が
大人になったからでしょう。

また、道路事情が良くなったにも拘らず
SUV型が売れるのは、天変地異や戦争を
予感させる時代だとも言われています。

昨今、多くのクラシックカーや旧車と言われる車が
高値で売れるようになり、オークション業者が
活躍しています。

程度の良い古いポルシェやフェラーリ、
価値のある古い空冷ビートル（メキビーじゃないのよ）
日本からはトヨタ2000GTや
スカイラインGT-Rなどの価格が、
5～10倍になった車両が多く見られます。
多少の変動はあるものの、2018年１月を境に
大きな価格変動は見られなくなりました。

2020年代の新世代の乗り物って何でしょうか？
電気自動車や、水素自動車の事かも知れません。

その他、皆さんもこの未来予想みたいな話の中身を
考えて見られると面白いと思います。



僕は、曽祖母からの家訓で
投資という事を止められていますから
賭け事には無知ですが、
あのアメリカ人社長の言い付けだけは守って
安い911や８気筒フェラーリでも
買っておけば良かったのかも。
でも、もし、間違って買っていたら、
愛情が入ってしまい売れないよなぁ。



因みに今、車を売っても買っても
マスコミが報じる程、儲からないようです。
本当の意味で売り抜けた著名コレクター達は、
2014年位までに手放していたからです。
それも色々な意味合いがあったようですが・・・。

山田耕筰作曲、北原白秋作詞の「待ちぼうけ」
にならないよう、人間はちゃんと働かないと
いけない動物なんでしょうねぇ。



※画像はイメージです。