俺の翼に乗らないか?

スターフォックスの一ファンのブログ

「ファルコとの出会い」その29

2010年02月28日 13時55分55秒 | 小説『ファルコとの出会い』

 もちろん、自衛と治安維持を目的とする遊撃隊ばかりではなかった。ならず者の手先となり収奪を行う、自称・遊撃隊も数多く存在した。遊撃隊には多く星の名前が冠され、文字通り星の数ほどの遊撃隊が、名を上げようと競い合っていた。
 宇宙時代も黎明期を過ぎると、コーネリアの政情は安定し、他惑星にもコーネリア軍が駐屯し、その治安を守るようになった。ならず者は排除され、宇宙の片隅のコロニーへと追いやられた。同時に、街の自警団、あるいは用心棒だった遊撃隊も常駐する必要性をなくしていった。
 遊撃隊は街から独立し、あらたな役割を担うこととなった。物資の輸送、要人の警護、有事の際の救援。軍隊では持ち得ない俊敏性と隠密性が遊撃隊の売りであった。
 そしてやはり、その一方では、武器の密輸、要人の暗殺、金品の強奪などの「裏の任務」を請け負い、暗躍する遊撃隊が存在することも確かである。
 表と裏。全く逆の道をゆく二種の遊撃隊は、ときに衝突し、火花を散らした。ジェームズ・マクラウドとウルフ・オドネルは、その好例である。

「スターフォックスか……」
 まるで遠いむかしをなつかしむかのように、しみじみとした声でペッピーは言った。
「遊撃隊の看板も、もう下ろさねばならないわい。今となってはな」

年齢の問題

2010年02月28日 00時44分07秒 | 考察
 『スターフォックス64』で新生スターフォックスがアンドルフ討伐のためにベノムへ向かったのは、ベノムでジェームズが最期を遂げた5年後。
 と、「任天堂公式ガイドブック スターフォックス64」に書いてある。

 『64』の時点で、フォックスは18歳だった。ということは、ジェームズの死の時点では13歳。
 今書いている「ファルコとの出会い」でペッピーと話しているフォックスは、たった13歳なのかっ。あまりにも若すぎる。13歳で宇宙アカデミーに通ってるてのも変だ。いやそもそも、18歳で遊撃隊のリーダーを務めるというのも荷が重過ぎやしないか。

 ……。この困った事態になんとか整合性を持たせるため、屁理屈をこねてみる。
 『コーネリアの公転周期(つまり、一年の長さ)は、地球の公転周期の1.3倍である』ということにしよう。そうするとどうなるか。
 コーネリアでの13歳は、地球人にとっては1.3倍の17歳。
 18歳は23歳になる。ほーら。これなら違和感が少ないだろ?
 さらに、『64』当時41歳だったペッピーは、地球時間に換算すると53歳。「年寄り」と言われてしまうのも頷けるね!

 ただ、『アサルト』で27歳になってるフォックスは、35歳になってしまうが。
 ……これは、『アドベンチャー』のスタッフの責任だ。『アドベンチャー』のストーリーを、『64』の8年後なんかにするからいけないんだ……。せめて4年後くらいにして欲しかった。

 「設定」っていうものは、話を作れば作るほど足かせになるんですね。
 『コマンド』以降はもうキャラクターの年齢を明かさないらしいので、年齢のことも気にしないでよくなるかもしれません。
 

他力本願的思考

2010年02月27日 21時34分59秒 | 日々のつぶやき
 引き続き、同人誌が作れるかどうかの話。

 内容は、『ファルコとの出会い』を完結させ、ぜんぶつなげて加筆修正したもの。(最初のほうがかなりテキトーだからね……書き直したいと思っていた)
 ほかに、『スターフォックス年表』と、ジェームズの生死についての考察も読みやすく直して載せたいなぁ。
 同人誌だけでしか読めない書き下ろしもできたらいいね……(そんなに出来るのか……!?)

 そしてやはり、文字だけでは弱いなぁ。イラストが欲しい。
 描いてくれる人を見つけるか……あるいは。他力本願な考えだけど、スターフォックスで漫画やイラストを描いて同人誌作っている人に合作を申し込んで、スタフォというジャンルでまとまった一冊の本として作るとか。
 こういう都合のいい話に乗ってくれる人がいるかどうか。いたとしても、お金や売り方についてよくよく話し合っておかないと、トラブルの元になるかもしれない。

 んー。不可能な話でもないように思えますね。けどまずは、『ファルコとの出会い』、完結させないとね。

こぉれはっ!?

2010年02月27日 20時24分04秒 | 『X(エックス)』ほか
[Nintendo Media Summit] X-Scape - Trailer


↑YouTubeにこんな動画があったぜ?
 な、なぁこれってまさか『Xの続編』??

 わはっ。あはっ。うへへへへ!!!
 トンネルシーンの音楽も流れているし、そうとしか思えない。
 騙されていないよな? ネタではないよな?

 どうも海外で任天堂の発表会があったらしいので、そこで発表されたものの一つではないかと思う。日本ではまだ正式な発表がないけれど。
 いーねぇ。楽しくなってきたぞ。

 これは『X』であってスターフォックスではない。けど『X』は、スターフォックスにその遺伝子を受け継がせたご先祖様のようなもんだ。そのご先祖様が復活するんだから、スタフォのファンとしても、ゲーマーとしてもワクワクせずにはいられない。
 いつ遊べるのかなぁ? 楽しみだな。

同人誌作ろうかなぁ

2010年02月27日 17時15分32秒 | 日々のつぶやき
イベント告知サイト『全機報告せよ!』

↑こんなイベントが企画されているんですね。同人誌即売会かぁ……。

 『ファルコとの出会い』が完成したら、一冊にまとめて同人誌でもつくろうかなと前から思っていたんですが……。
 しかしそれを実行するには、問題がいろいろある。

(問題1)私は同人誌の類を今まで作ったことがない。どこに何と頼めば作れるのか、そのノウハウを持っていない。

(問題2)『ファルコとの出会い』を完結させて本にしても、それを買ってくれる人がどれほどいるかわからない。同人誌はたぶん50冊とか100冊単位で印刷されるのだろうが、それだけ作って大量に売れ残ってしまったら、泣いてしまうかもしれない……。

(問題3)『ファルコとの出会い』は小説だが、それだけを載せた文字ばかりの本では、あまりにも色気がなさ過ぎる。できたら表紙と挿絵になるイラストが欲しいが、自分にはイラストを描くウデがない。

(問題4)もし本を完成させたとしても、それを売りにいけるかどうかわからない。イベント当日に用事があるかもしれないし、東京まで出て行く余裕がないかもしれない。

 問題山積って感じですな。
 ……誰かイラストの得意な人と合作で出せたらいいのかもしれないけど。売るのは通販でもできるかもしれないし。
 ちょっと、ムシが良すぎるかな……。

 もしもですが、ここを読んでいる方の中に「表紙&挿絵を描いてもいいぜ」とか「本になったら欲しい」という方がいらしたら、どうかコメントください……。

「ファルコとの出会い」その28

2010年02月27日 12時07分34秒 | 小説『ファルコとの出会い』

「まだあるぜ、ペッピー。君が失わなかったものが」
 その言葉に、少しだけ顔を上げペッピーはフォックスを見た。
「『スターフォックス』だ。遊撃隊だよ」

 遊撃隊。
 これより数世代前、プラズマエンジンの普及により宇宙航行時代がようやく幕を上げた頃。コーネリア軍によるライラット系各惑星の防衛体制はまだ整っておらず、カタリナ、マクベス、ゾネスなどの惑星では、野心に溢れる開拓者たちだけが資源をもとめて採掘を続けていた。
 資源が生まれれば、それを原料に精製する工場が建設され、労働力が必要となる。労働者たちが集まれば、かれらの生活の場となる街が生まれる。
 資源により栄えるその街々の富を目当てに、無法者たちも集まってきた。汗と脂の結晶である資源が、暴力と恐怖により不当に吸い上げられる事態が、宇宙のそこここで発生した。
 助けを求めようにも、軍は当てにならない。コーネリアの内部でも種族間の対立に戦々恐々としている状況で、他の惑星にまで救援の手が届かないのは明らかだった。
 開拓者たちは、自分たちの富と権利を守るために武装した。そのうちに、金で雇われて街の治安を守る者たちも現れた。「遊撃隊」の誕生である。
 
 マクベスの鉱山町を28年にわたり守り抜いた『セイリオス』、ゾネスの海底油田の防衛を一任される私設軍隊『ロイヤルスターズ』、星々を渡り多くの賞金首を捕らえた“天空の猟犬”、『スターハウンド』……。ライラット系の宇宙開拓史をひもとけば、それら多くの遊撃隊の名前を目にすることができる。


「ファルコとの出会い」その27

2010年02月23日 21時06分45秒 | 小説『ファルコとの出会い』

 時間が澱んだような沈黙のあと、ペッピーは胸の中からほう、と息をひとつ吐き出した。
「こんなことは、誰にも言えなかった。ビビアンにも、ルーシーにも。他の誰にもだ。もし言える相手がいるとしたら、ジェームズか、……フォックス。お前さんだけだった」
「……そうか」
「病院のベッドの上にいたときから、いつか話さねばとは思っていた。けれどもいざ切り出そうとすると、怖くて言えなかった。明日こそは、次こそはと思ううちに、退院の日が来てしまった」
「ここに戻ってきてしまうと、話すのはもっと困難になった。体の中に言葉をかかえこんだまま、お前さんを呼ぶこともできず、かといって他の誰かに打ち明けることもできず、自分の言葉にがんじがらめに縛られて、ここから一歩も動けずにいた……」

「たぶん奥さんは、それがわかっていたから、俺を呼んだんだろうね」
 ペッピーはまたひとつ胸の中から息を吐き出すと、両のまぶたを閉じてうつむいた。
「全く、できた女だわい。できすぎていて、ワシには勿体ないくらいだ」

「……なにもかも失くしたなんて、滅多なことを言うもんじゃない。ペッピーには、ビビアンさんや、ルーシーがいるじゃないか」
 俯いたままのペッピーを見据えて、フォックスは言った。
「たしかに……確かにそうだ……しかし、これでは……。これでは、どうにも……」
 歯切れの悪い言葉しかペッピーの口からは出てこなかったが、フォックスにはその気持ちがわかるような気がした。男として、父親として生きるならば、命が助かったことを喜ぶだけではいられない。男の生き方というものは、ただ言葉で伝えればよいものではない。己の命を燃料に世界と格闘する姿、闘う背中でもって伝授すべきものだ。
 命を燃やし駆け上がってきた道を、ペッピーは見失ってしまった。それは男として、父としての自分の喪失であり、この世界に居場所をなくしてしまったことを意味する。それを口に出すのは、ペッピーにとって……すべての男にとって、死ぬこと以上に恐ろしいことなのだ。


「ファルコとの出会い」その26

2010年02月18日 13時43分49秒 | 小説『ファルコとの出会い』

「……峡谷の岩壁からの砲火をかいくぐると、どこに隠れていたのか、周囲の岩陰から戦闘機がハチの群れのように舞い上がった。必死で……無我夢中で逃げた。ようやくベノムの引力圏を抜けても、恐怖はまだ去らなかった」
「圧縮タンクに穴が開いて、推進剤が漏れ出していたんだ。集中砲火を浴びたときに破損したのか、ピグマが細工しておいたのかはわからない。どちらにしても、コーネリア軍の駐留する宙域まで飛べないのは確かだった。やむなく、パペトゥーンに不時着をこころみた。だが気が気でなかった」
「ベノムへの潜入時には、地表をおおう酸の雲の、濃度が低いところを慎重に選んで突入した。しかし逃げ出すときにはそんな余裕はなかった。厚い酸の雲を通り抜けるあいだに機体が腐食していて、大気圏突入の衝撃に耐えられずに空中分解したら……。そう考えると頭がおかしくなりそうだった。ジェームズが……燃えるほのおの中からジェームズが呼んでいるような気さえしてきた」
「ワシが信じていた自分は……勇敢で、恐れを知らないパイロットのペッピーは、もうどこにも居なかった。どんなことをしても助かりたい、生きたい、死にたくない……それしか考えられないちっぽけな星屑が、果てしのない黒い宇宙に浮かんでいるだけだった」

「結局のところは、機体は空中分解しなかったし、地面に激突もしなかった。G-ディフューザーは最後まで生きていて、静かに地表に着陸できた。だだっ広い草原と湖沼、森の向こうに、市街地のかげが見えた。助かった。そう思った瞬間、目の前がふっと暗くなった」
「次に目覚めたときは、病院のベッドの上だった。千年ものあいだ眠っていたような気がして、自分がなぜここにいるのかわからなかった」
「そうだ、ワシは助かったんだ……まずそれを思い出した。なら助かったことを喜びたかったが、ちっともそんな気分になれないことに気付いた。なぜだろうと考えているうち、一連のことを少しずつ思い出してきた」
「自分の中に大きな穴が開いたように感じた。体の中に詰まっていた大事なものを、ワシはそっくり失くしてしまったんだ。ジェームズ・マクラウドにピグマ・デンガー。そしてペッピー・ヘアまで、ワシは失くしてしまった……」
「わからないんじゃ……一体なんのために生き残ったのか……ワシが培ってきたと信じていたものは、みな無くなってしまった……命だけはどうにか持ち帰ったが、その命の使い道が立ち消えてしまった。一体なんのために……これじゃあ、いっそワシもジェームズと一緒に撃ち落されていたほうがマシだったかもしれん」

「ファルコとの出会い」その25

2010年02月18日 00時35分38秒 | 小説『ファルコとの出会い』

「おそろしく長い数秒間だった。今でも噴き上げる炎の色と形を、はっきりと思い浮かべられるんだ。考える暇もなく、左右の砲台から集中砲火が襲ってきた」
「腹の底から突き上げるような恐怖がこみ上げてきた。目の前が暗くなり、歯の根が合わなくなった。おそろしかった……ただ命が惜しかった」
「そして逃げた。谷へ下りて、燃える機体の中からジェームズを救い出し、ともに脱出する……とても無理なことに思えた。とても無理だ、逃げるしかないと……自分に言い聞かせたんだ。自分が崇拝する男を残して、ワシは逃げた」
「逃げれば逃げるほど、それまでの自分が音を立てて壊れていくのがわかった。ジェームズが、まさか……。」
「ワシは、ジェームズの死地を救うつもりでいながら、心のどこかでは、そんな日が本当に来るのかと疑っていたんだ。ジェームズは完璧だった。そしてその隣にはワシがいた。ジェームズ・マクラウドとペッピー・ヘアがチームを組んでいるんだ。死地など訪れようはずがない、と」
「任務が終わると、ジェームズとよく酒を飲んでいたよ。お互い死を覚悟している戦闘機乗りだが、今回の任務も死ななくて済んだなと笑いあった。もちろん、ワシかジェームズのどちらかが死ぬ日が、いつか来るかもしれない。それは一年後かもしれないし、明日かもしれない。だがその日の訪れを、永遠に先延ばししながら、引退のときを迎えられるのではないかと……ワシもジェームズも老いぼれちまって戦闘機乗りを引退したあとに、けっきょくどんな任務でも死ぬことはなかったなと、笑いあいながら酒が飲めるんじゃないかと……心の一部では思っていたんだ。なんと、なんと甘かったことか」
「それから、ピグマだ。やつがスターフォックスに加わる前から、アンドルフとつながりがあったことは知っていた。だが翼を並べたチームのリーダーを、なんのためらいもなく撃ち落せるとは……ワシはやつの心が理解できない。やつを含めた三人で仕事をしていた頃、ワシがやつに感じていた信頼感、絆のようなものは、一体なんだったんだ? やつだって、ワシやジェームズを信頼していなければ、自分の隣を任せることなどできなかったはずだ。その信頼をも、やつは裏切った。自分で自分を裏切ったら、あとに何が残る? たとえ金が手に入ったとて、自分を失くしてしまったらなんの意味があるんだ? わからない。考えれば考えるほど、底なしの暗闇へと堕ちていくような気がするんじゃ……」

「ファルコとの出会い」その24

2010年02月17日 23時05分58秒 | 小説『ファルコとの出会い』

「ペッピー」
 ベッドに歩み寄りながら、フォックスは声をかけた。
「ペッピー、俺だよ」
 ベッドサイドに椅子を引き寄せ腰掛けると、半病人のようなペッピーの肩に触れる。体とヒゲが小さくふるえ、こげ茶色をしたふたつの瞳が、おどおどとした様子でこちらを見た。
「フォックス……か」
「そうだよ、ペッピー。一体どうしたんだ、こんなに痩せて。奥さんが心配して俺を呼んだんだぜ」
「どうしたも、こうしたもだ」
「……食事はとっているのかい? 薬は?」
「メシは砂の味しかせんよ。薬は飲んでいる。ほら、そこだ」
 指差した先、枕元の小さな机に、水差しやコップと一緒に錠剤の入った小ビンがいくつも置かれている。
「抗鬱剤に、抗不安薬に、精神安定剤に、睡眠薬だ。どれもちっとも効きやしないが」
「そうなのか? 薬が合わないのかもしれないぞ。違った薬にしてくれるよう、ドクターに言ってみたらどうだい?」
「いや。違うんだ」
「なにが違う?」
「薬の問題じゃないんだ。これは……ワシ自身の問題だ」
「ペッピー……」
「聞いてくれ。ワシはずっと考えてきた。だが、いくら考えても答えが見つからないんだ」
「……」
「自分で言うのもなんだが、ワシは自分を強い男だと思ってきた。はじめて戦場に配備されたとき、訓練でどんなに好成績をあげていたヤツでも、何割かは精神を病んで後方に送られる。だがワシはぴんぴんしていた。死ぬことくらいは覚悟しているのが軍人としてあたりまえだ。だがそれ以上に自分の技量に自信があった。コーネリア軍一だ、と自惚れていたこともある……ジェームズに出会うまでの話だが」
「そうだ。ジェームズ・マクラウドだ。ワシの人生を変えた男。ワシが心底惚れこんだ男。パイロットとしての腕前だけではない、リーダーとしての資質、心身の強靭さ、世界に切り込んでいくバイタリティ。何もかもが自分とは桁違いに見えた。到底かなわないものがこの世界には存在するのだと知らされた」
「だからこそチームを組んだのだ。ジェームズの力になるために。正確には、ジェームズを死なせないためにだ。ジェームズが死ぬときには、ワシが盾になるはずだったのだ。それでかれの命が少しでも延びるなら……ワシの人生も、まんざら無駄ではなかったことになる。ワシの命が、ジェームズの人生につぎ足されるのだからな。ワシの人生がジェームズの人生の一部になるわけだ。そうだ、ワシは、ジェームズを、崇拝していた」
「ところがどうだ。ジェームズを救うどころか、自分だけがおめおめと逃げ帰ってきたのだ……しかもそれが、長年連れ添ったチームメイトの裏切りのせいときたものだ」
「ピグマ。ブタめ。ワシは許さない。許す理由がない。だが」
「だがなぁ、フォックス。怒らないでくれよ。ワシはピグマのこともそれなりに好きだったんだ。たしかにヤツは金に汚かった。どんなに意義のある任務でも、報酬が割に合わないとぶうぶう文句を並べた。口論したこともしょっちゅうだ。しかしそれも、任務となれば頼れる仲間に変わったのだ。ヤツに命を助けられたこともあるし、ワシがヤツを救ったこともある。そうやって共に仕事をこなしてきた。確かに金には汚い。しかし共に闘ってきた戦友であることには変わりがない。そう思ってきたんだ」
「だがヤツは。峡谷に潜入したジェームズを、後ろから撃ちやがった。峡谷の壁に、無数の砲門が開いているのに気がついたときにはもう遅かった。ジェームズのアーウィンは、ほのおを噴きながら谷へと堕ちていった……」
 

「ファルコとの出会い」その23

2010年02月16日 10時47分53秒 | 小説『ファルコとの出会い』

 やはりまだ、早かったのではないか。ペパーの心に、そんな疑念が湧いた。ベノムでのトラウマが未だにペッピーを苦しめ、癒えない傷を疼かせ錯乱させているのではないか。
「フォックス、あの様子では、ペッピーは……」
「順調に、回復していますよ」
 静かな声で、フォックスは話した。ペパーはその言葉の真意を探るように、フォックスの顔をまじまじと見た。
「父さんの声を聞けなくなってから、ペッピーがずっと俺の父親代わりでした。けれどペッピーは、遊撃隊としての父さんのことを、ほとんど話してくれなかった。いつも自分を責めていて、許しの言葉をかけてもらうことさえ拒んでいた気がします……」
 フォックスの脳裏に、パペトゥーンに不時着したアーウィン、そして病院のベッドの上でぬけがらのようになったペッピーの表情が、ありありと思い起こされた。
 体の傷が癒え、病院から我が家へと帰っても、心の傷はベノムで引き裂かれたそのままにぱっくりと口を開いていた。自宅のベッドの上で、ペッピーは無言のまま過ごした。表情は乏しく、何かをしようという気力も湧かないらしかった。めっきり老け込み、目に見えてやせ衰えてきた。夜が訪れても、眠ることができずに窓の外の闇を見つめている。とろとろと浅い眠りに入るたびに、悪夢にうなされて目が覚める。そうして長い長い夜をたった一人で過ごしたあと、明け方近くにやっと疲れ果てて眠るのだった。
 そんなペッピーの姿を見かねて、妻のビビアンが連絡をよこした。パペトゥーンの宇宙アカデミー、士官養成コースの訓練を中断し、フォックスはふるさとへと戻った。
  フォックスはビビアンに促され、かれのベッドルームへと入った。入院中にも何度となくその傍らに足を運び言葉をかけたのだが、ああ、うう、というような短い返事だけで、会話らしい会話を交わした覚えはなかった。
 ペッピーはベッドの上に身を起こし、定まらない視線でぼんやりと中空を見ていた。それはどう見ても「今、この時」を生きるものの目の色ではなかった。変わることのない過去を、終わりなき後悔とともに見つめ続けているものの目であった。
 ペッピーは、父さんといつも一緒だった。フォックスは思った。
 父さんと別れたとき……父さんをベノムに残してきたとき、ペッピーは自分の心を置いてきてしまったんだ。

登場人物まとめ

2010年02月07日 15時52分25秒 | 考察
 シリーズを通すと、スターフォックス作品に登場した人物もかなり増えてきたのではないかな……と思った。
 ちょっと整理してみようかなと思います。
 作品ごとにまとめるけど、SFCの初代「スターフォックス」と、発売されなかった「スターフォックス2」とは「64」以降と設定が異なるので今回は省略。
 「64」以降の主要な人物だけをまとめます。(名前の分かるキャラクターのみ。また、初登場した作品以外は省く)

 ま、wikipediaを見れば書いてあるかもしれませんが、私がまとめたいだけなのでそこはご愛嬌……。

【スターフォックス64】
◆フォックス・マクラウド
◆ファルコ・ランバルディ
◆スリッピー・トード
◆ペッピー・ヘア
◆ナウス64
◆ペパー将軍
◆Dr.アンドルフ
◆ジェームズ・マクラウド
◆ウルフ・オドネル
◆レオン・ポワルスキー
◆ピグマ・デンガー
◆アンドリュー・オイッコニー
◆ビル・グレイ
◆キャット・モンロー
◆カイマン
◆ヤル・デ・ポン……トレーニングモードだけに登場するタヌキ。スペースダイナミクス社の社長らしい。

【さらば愛しのファルコ】
◆クール
◆シールズ大佐

【スターフォックスアドベンチャー】
◆クリスタル
◆トリッキー
◆スケール将軍
◆アソーカ族
◆クラウド族
◆ハイト族
◆ライトフット族
◆レッドアイ族

【スターフォックス アサルト】
◆アパロイドマザー
◆ベルツィーノ・トード
◆パンサー・カルロッソ

【スターフォックス コマンド】
◆アマンダ
◆ルーシー・ヘア
◆アッシュ・ボウマン
◆マーカス
◆アングラー皇帝
◆ゾルゲ
◆オクトマン
◆ザザン
◆シャーマン

 んん……まだ誰か忘れているような気もする。
 けっこうな人数がいるんですね、こうしてみると。
 名前の分からない敵や味方、人物とは言えないような敵(HVC-9やゴラス)も入れればもっとたくさんになるはず。
 「スターフォックス2」に登場するはずだった山猫とイヌのキャラクターが、あらためて登場しないかな、と個人的には思っているのですが。あの二人はもしかしてキャットとビルになったのかなぁ……?