俺の翼に乗らないか?

スターフォックスの一ファンのブログ

ツイッターに思うこと

2015年08月31日 21時07分08秒 | 日々のつぶやき
 ツイッターがどうにも好きになれない理由は、あの短い文字数の中でいかに相手を言い負かすか、いかに自分の優性を印象付けるか、そういう不毛なやりとりに発展してしまいやすいからだ。

 見苦しいんだよな。いい大人だろうがうぶな子供だろうが、見苦しい。

 たとえどちらかの言い分が正しくたって、見苦しいのだ。

 きばを剥いたけものの顔をして、キーボードを叩いている姿が目に浮かんでしまうものな。文面を見ていると。

 自分にとって都合の悪い情報がツイッターで拡散されると、自分もそれを躍起になって否定して回らないといけない。
 情報の拡散スピードが速くなって、ことの真偽も確かめられないままに「どうやら本当らしいこと」として定着してしまう。それを防ぐために、真逆の情報を拡散させる人が現れる。何をしているんだかわからない。

 ツイッターは、情報や、人間の感情を増幅させる機能を持っているみたい。プラスもマイナスも増幅する。

 たぶんツイッターをうまく使えるほど、人間はまだ賢くない。

「遊び」の本質を追求した人

2015年08月22日 20時00分09秒 | おすすめの本
 スプラトゥーンの『ガチヤグラ』と『ガチホコバトル』は、サッカーとかラグビーに似ているな。
 ボールを取り合うかわりにヤグラやガチホコを取り合い、相手ゴールを目指す。なかなかゴールが決まらない分、決まった時の爽快感がはね上がる。

 なぜこんなことを考えたかと言うと、『任天堂ノスタルジー 横井軍平とその時代 』(角川新書)という本を読んだからです。

 横井軍平さんについては、ウルトラハンドやワイルドガンマン、ゲーム&ウォッチやゲームボーイの開発者と知ってはいたが、いまひとつどんな人なのか感覚がつかめていなかった。
 しかしこれを読んで、私の想像以上に、彼の目指したもの、考えていたことが任天堂に根付いているのだ、ということがわかった。

 いくつか気になった部分を抜粋してみる。

・横井は、なんとか電子玩具と伝統的な遊びを結びつけ、子供たちの遊びを本来の姿に戻したいと考えていた。(第5章)
・ゲームボーイがここまで世界中に広がったのは、単にゲーム&ウォッチのマルチソフト化というだけでなく、横井なりの新しい感覚が付け加えられ、そこがヒットの導火線となったのだ。そして、それは横井が理想とする「遊びの感覚」に近いものだった。通信対戦である。(第5章)
・そうすると、テレビゲームは、色をつけたら新しさが出るんではないかという動きになってきた。でも、これは作る側からいったら、落ちこぼれなんですね。アイディアをひねり出すんじゃなくて、安易な方へと流れている。そうなると、任天堂のようなゲームの本質を作る会社ではなくて、いずれ画面作り、CG作りが得意なところがのしてくるだろうと。そうしたら、任天堂の立場はなくなってしまうんですね。(第5章)
・ファミコンからスーパーファミコンへ移るときに、「こんな難しいゲームはもうついていけない」という人がずいぶん出た。新しいゲームを遊ぶ人は投入する金額が大きいですから、一見売り上げはいいようですけど、ゲーム人口という面では減少しているわけです。NINTENDO64でも同じことが起こる。(最終章)

 任天堂のファンならば反応せざるを得ない言葉ばかりだと思う。
 「電子玩具と伝統的な遊びを結びつける」という思想は、Wii、Wii Uの根底にあるものじゃないだろうか。
 先日亡くなられた、岩田社長の言葉とも通じるものがある。「ゲーム人口の拡大」「新しい遊びの提案」。
 そして、任天堂を「ゲームの本質を作る会社」だと言い切っている。

 横井軍平さんはゲーム、娯楽を創り出す会社として、押さえるべき本質を理解していた人だった。
 だから時が経っても、世代が交代しても、その思想は任天堂に受け継がれてゆく。

 『スプラトゥーン』は、横井さんが考えていた「電子玩具と伝統的な遊びの融合」そのものに思える。
 このゲームを遊んでいる感覚は、子供のころ学校の昼休みに、自転車置き場とか校舎裏とかでボール鬼(ボールをぶつけられると鬼になり、今度は他の誰かにボールをぶつける鬼ごっこの一種だ)を遊んでいたときの感覚にそっくりなんだよ。
 これを横井さんが見たらいったいどう思うか、どうコメントするか。
 知りたいけど横井さんは1997年、事故で亡くなられてもうこの世にいない。

 横井軍平。任天堂を語るならば外すことのできない人です。前述の本はおすすめなので、任天堂ファンの皆様はぜひご一読を。

天才でなくても岩田さんのようになりたい

2015年08月11日 07時46分48秒 | 日々のつぶやき
 『社長が訊く』やニンテンドーダイレクト、『ほぼ日刊イトイ新聞』の記事に触れることで、すごく親しみの持てる、身近な方のように感じていながら……実際は、私の知りようのない、プログラマーとしての仕事、HAL研究所・任天堂の社長としての実務に当たられていた岩田さん。

 すごく近しい人のように感じる一方、ものすごく遠い存在でもあるという、定まらない距離感を、実際に岩田さんと仕事をされた方の記したものを読んで、補正しようと試みている。

 桜井正博さんが週刊ファミ通に連載している『桜井政博のゲームについて思うこと』。
 HAL研究所で岩田さんと仕事をされていた藤本健さんの記事


 私が直接に肌に感じようのない、岩田さんの能力面、お人柄がうかがい知れて、少しではあるが、距離感の補正ができた。

 そして岩田さんが本当に天才だったのだなということもわかった。


 ……私は天才じゃないけど、岩田さんのように生きることを目標にしたって、いいよねぇ?

 残念ながら私の器量は岩田さんよりずっと劣っていて、イライラするとすぐに横柄になるし、物事の本質をすぐに見抜く目も持っていないけど……。

 岩田さんのように温厚で、冷静で、なにごとにも当事者意識をもってとりくみ、それを苦痛と思わず楽しめるような、そんな人間になれるよう、やってみてもいいよね。



 ……むかし、斉藤孝先生が『自分の師とする人を3人もて』と言っていたことがあったと思う。
 岩田さんに、私の3人の師のひとりになっていただこう。勝手に。



 なぜここまで岩田さんにこだわるのか。自分でも不思議ではある。
 しかし岩田さんが亡くなられたとき私は、世界の中心が失われたような喪失感を感じたのだ。大げさでなくて。
 岩田さんが王道を突き進んでくれるから、世界のはじっこにいる自分は、多少邪道なことをしても許される。そんなわけのわからない理屈も、無意識に持っていた。
 中心に岩田さんを据えていた私の精神世界が、かれの死によって崩壊をはじめた。
 世界を修復するには、岩田さんの要素を自分のなかに取り込むしかない。そして自分が世界の中心となるしかない。


 ……なんだかなぁ、まるで岩田さんが私の親のようなもの言いで恐縮だ。
 でも、これが私の正直な気持ちなのだ。

これからのポケモンに期待すること

2015年08月09日 21時03分53秒 | スタフォ以外のゲームソフト
 ポケモンは、これからどんな方向性でいくつもりなのだろう。

 映画の前売り券に伝説ポケモンをくっつける商法もすっかり定着してしまった。
 それどころかどんどんインフレを起こしてる。今年の映画『光輪の超魔神 フーパ』では、劇場に来るとフーパがもらえる。前売り券ではアルセウスと、加えてもう1体、伝説ポケモンがもらえる。

 ……伝説のポケモンで子供を釣るだけの商売になってないか? 儲かるから続けざるを得ないんだろうけどさぁ。

 ポケモンの数も、無限に増やし続けるわけにはいかないんじゃない? なにか新しい路線を開拓できないのだろうか。

 そこで思うんだが、ポケモン世界の魅力って、自然(=ポケモン)と人間が互いに協力しあって生きていることにあると思うんだよねー。
 ポケモンを通じて自然との共生を図る……とか。
 ……特定の思想に偏ると、いろんなとことの対立を生むようになるから難しいかな。

 このままひたすら、新作が出るたびにポケモンを増やし、メガシンカを増やし、わざや特性を増やし、とやっていくんだろうか? そろそろ限界のように思うんだけど。

大竹 和竜サン『翼は風を受けて』

2015年08月09日 01時03分09秒 | スタフォファンクラブ
 pixivに投稿されたスターフォックスのオリジナル小説を読んだ。
 こちらで紹介させていただきます。
 大竹 和竜サンの『翼は風を受けて』

 面白い。完成度が高い。
 スターフォックスの世界観と独自のストーリーが融合して、互いに魅力を増幅している。

 アイデアとか、設定を思いつくだけはできても、それを1本の小説として書き上げるとなると、誰にでもできることじゃない。まして面白いものを書くとなればなおさらだ。

 いいものを読ませてもらった。

 世の中、すごい人がたくさんいるんだなー。
 自分も負けたくないものだ。

『零』への回帰 その1

2015年08月08日 22時55分43秒 | アナザーストーリー
「だんな、終わったぜ。毎度ありがとうよ」
 モノクルをかけた目玉、それに羽毛に覆われた顔、笑みを浮かべたクチバシが、ウルフ・オドネルの左目を覗き込んでいる。
「……そんなに近づかなくたって見えてる」
「こいつは失敬。医者としちゃあ、患者の容体は常に気になるもんさ」
 首を左右に振り、大きく目を剥きながら、ドクター・クローヌはまたクチバシの端で笑ってみせた。

「その言葉はよせと、前にも言ったはずだ」
「ん? その言葉、とは、どの言葉のことかな?」
 すっとぼけやがって、このトリ野郎が。鼻の頭にシワを刻ませながら、ウルフは診察台からゆっくりと立ち上がった。
「オレはてめえの……“患者”になった覚えはない」
「これはまた」
 大仰な身振りで翼をひろげ、ハイタカの姿をした医者は言う。
「だんなに覚えがなくとも、わたしにとっては大事な――」
「かみ殺されたいか、ドクター?」
 するどく投げかけたウルフの言葉が、ドクター・クローヌの動きを止めた。
 同時に、この場の空気は張り詰め、固体のように重苦しくなる。
 微動だにしない。ドクターの刃物のようなクチバシの切っ先も。きばを覗かせたウルフの口元も、踏みしめればひと跳びで間合いをつめられるはずの脚の筋肉も――。

 ふふ、と笑いがこぼれる。ドクターのクチバシから。
「だんなの膂力には、このわたしの力じゃあ敵うまいねえ――」
「だが殺される前に、だんなの残った右目をえぐり取るくらいは、できるだろうね。そうしたらだんな――わたしよりも腕の立つ闇医者にまた出会えるなんて思わないことだ。定期的にメンテナンスを受けなきゃあ、せっかく蘇った左目だっておじゃんになることくらい、十分ご承知だろう?」

 どさりと音を立てて、ウルフは再び診察台に腰を下ろす。
「ふん。ばかばかしい」
 当然だ。そのメンテナンスのために、わざわざこの医者の元を訪れたのだから。
 潰れた眼球を摘出し、かわりに人工網膜に視神経を接続したことで、もとの目では捉えられない高速の物体も、暗黒の宇宙を飛ぶ戦闘機の熱も、レーダーが発する赤外線まで、視ようと思いさえすれば視られる力を手に入れた。だが生体部品は約半年で劣化する。相場の3倍を払って、闇医者にメンテをさせるしか今のところ手がない。

「そうそう……、処置の直後なんだ。暴れるのはよして、安静にすることですな。そしていつもの通り、3時間ほど眠っていただかねば」
「気が進まねえ……」
「ブツクサ言わずに眠りなよ、だんな。50万スペースドルを無駄にしたかないだろうが?」
「けっ、いまいましい医者だ!」
「おやすみ、だんな! 毎度あり!」

 右のまぶたを閉じ、左の人工網膜を遮光モードに切り替える。ドクターがスイッチを切ったらしい、診察室の照明が落ち、ウルフは闇に包まれた。

 “自前”の右まぶたの裏には、赤黒く半透明のもやがゆっくりと形を変えてゆらいでいる。
 目を閉じたとき、頭に浮かぶのはいつも自分のことだ。
 スターウルフが、Dr.アンドルフ直属の遊撃隊だったのも、いまは昔だ。ベノムの陥落とともにアンドルフ軍も瓦解し、スターウルフは主を持たない遊撃隊に――ライラット系の開拓史に現れる、本来の遊撃隊の姿に――逆戻りした。
 偉大なる叔父の後継者となる、と息巻くアンドリューと、奴を利用する気満々のピグマとは、早々に手を切った。……今となっては、殺さなかったのが不思議なくらいの二人だ。
 あんなやつらとチームを組んでいたとは……自分もやはり、イカれ野郎だったということだろう。
 晴れることのない左目の闇、傷跡のうずき。それを感じるたびに怒りが湧き上がり、殺意と闘志を燃え上がらせていた。さながら怒りを燃料にして飛ぶミサイルだ。
 だが……変わった。
 
 皇帝を失ったアンドルフ軍は、一枚岩ではいられなくなった。尻尾を振ってコーネリア側へすり寄る者、宇宙を駆ける賊の一味に身をやつす者、新たな主を求める者。
 コーネリア軍の目と手の届かないコロニーの一基を、ウルフは新たなねぐらに選ぶ。重力にひかれるように、はみ出し者、あぶれ者たちが流れ着き、数を増やした。アンドリューでも、アンドルフ軍の将校たちでもない、強いリーダーを求めた者たち。
 いつのまにか“ウルフ親分”になっている自分に苛立ちを覚える反面――安堵している自分もいることに驚く。
 晴れることのなかった左目の闇も、医者と出会ってかき消える。
 燃え続けていた怨念の火勢が、ゆっくりと成りをひそめていく。

 これから――一体どうなる。半覚醒の意識のなかで、思考が暗赤色の星雲となって回転する。
 王や、皇帝を名乗れる柄ではない。遺棄寸前のコロニーに寄り集まった、ならず者たちの親玉に過ぎない。コーネリアに対抗する新たな国家の元首になれようはずがないのだ。
 飢えた一匹狼だった昔のように、命知らずな無茶もできなくなっている。レオン、パンサー、元アンドルフ軍の兵士たち。奔放で自己主張だけは強いやつら。自分がいなくなれば、再びちりぢりになっていくことだろう。
 ならばどうする。コーネリアという大魚のおこぼれを拾いあつめながら、食いつないでいくしかないのか。一度張り出した意地を、死ぬまで張り続けねばならないか。
 それもいいかもしれない――。笑みさえ浮かべて、ウルフは思った。旧い時代の漢として、最後まで闘って死ぬ。新たな世代の者の目には、馬鹿な生き方としか映らないだろう。それもいい。
 ――たとえ次代につながるものを遺せなかったとしても――。

 ――――。
 闇の向こうで、誰かが名前を呼ぶ。
 何者かの手が、身体を揺り動かす。ドクターか?
 いや。ドクターの、羽毛の変化した手ではない。
 ばちりとまぶたを開く。
 まなこに飛び込んできたその顔。

 その顔を認識するより早く、ウルフは右の拳を繰り出していた。目の前の顔面ど真ん中に拳がめり込み、つぶれた鼻の下、半開きの口から「ぐえゅぅ」という音が漏れる。

「てめえ。どういう了見だ?」
 両手で鼻を押さえ、悲鳴をあげながら床を転がるそいつ――ピグマ・デンガーを見下ろしながら、ウルフは言った。