俺の翼に乗らないか?

スターフォックスの一ファンのブログ

『スターフォックス、宇宙の中心へ』その6

2010年12月26日 22時51分04秒 | アナザーストーリー
 コーネリア防衛軍本部中枢、
 セキュリティレベル7。将軍と大統領クラスの権限がなければ立ち入ることはできない。そもそも、この扉の存在さえ、大佐以下の将校には知らされていない。厳重きわまるロックが今、開錠され……コーネリア史上初めて、軍籍を持たない者がその中に足を踏み入れた。

 二人の人影が、扉の奥、真っ直ぐに伸びた白い通路を覗き込む。
 氷のように冷えた空気が、フォックス・マクラウドの鼻腔をくすぐった。くしっ、と小さな音をたててクシャミが出る。
「……寒いな」
 鼻の下をこすりながら後ろを振り返る。
 歯の根をがちがち鳴らし、身を縮こまらせたファルコ・ランバルディがそこにいた。
「ががががが」
「おい。大丈夫かファルコ?」
「だだだ、大丈夫だぁ? 見てわからねぇのか、もうすぐ凍死するところだ!」
「……防寒具が必要だな」

ライダーは泣きながら闘う

2010年12月23日 23時59分33秒 | 日々のつぶやき
 仮面ライダーの話するよ。

 日曜あさ8:00から放送の『仮面ライダーオーズ』が面白くて毎週見てるんだ。
 公開中の劇場版『仮面ライダー×仮面ライダー OOO&W featスカル MOVIE大戦CORE』も見てきた。
 以下、未見のファンの方は読まずに、まずは映画館へ急いだほうがよいと思う。


 映画を見に行く前に、爆笑問題が司会をしている番組の、仮面ライダーの特集を見ていた。
 製作スタッフの掟「仮面ライダーのマスクはすべて必ず○○○でなければならない」。○○○の中身は何でしょう、というのがクイズとして出題されたが、わからなかった。
 正解は『泣き顔』だそうだ。ライダーのマスクを見ると、みんな複眼の下に涙の流れるようなラインが描かれている。仮面ライダーはみな涙を流しながら闘っているんだって。

 「ええー? ホントかよ?」
 と、その時は思ったのだけど。
 今はもしかしたらこれが、仮面ライダーの魅力の源かもしれない……と思う。
 変身して、強くなって、敵と戦い倒すだけの存在だったら、ライダーはただの兵器になってしまう。
 なぜ闘うのか。なにを守りたいのか。闘う相手は、本当に倒さねばならないものなのか。なぜ他の誰かではなく自分が闘わねばならないのか。なぜ? なぜ?
 思い悩み、苦しむ心を持っていてこそ、ライダーの仮面にも血流が通うのだろう。
 ライダーは泣きながら闘う。今回の映画も、それは真実だと思わせてくれた。

 『W』編の主役を張った仮面ライダースカル。これはもう、子供を連れて映画館に来た全国300万のお父さんたちを泣かせる気満々だな?
 ショベルカーにつぶされそうになりながら電話できるか?というつっこみは置いておいてだな……娘との約束を果たすため「まだ死ねん!」と立ち上がる。このシーンで全国300万のお父さんが300万ガロンの涙を流してむせび泣いたことだろう。
 ええ。私も泣いていましたとも。

 『オーズ』編では、ノブナガに相対した映司の「……変身」に総毛だった。
「この世はすべて俺のもの。俺のものをどうしようと、俺の勝手だ」
 そう言い捨てるノブナガは、以前映司と心を通わせたノブ君とは別人になっている。
「……変身」
 こんなに哀しい響きの「変身」は聞いたことがない。
 オーズは闘う。拳を振るう。なぜおまえは変わってしまった? なぜヒトの領域を越えてしまった。なぜ、一度は心を通わせた者を倒さねばならないのだ!? なぜ!
 仮面の下で映司は泣いていたかもしれない。

 ライダーは闘う。けれど憎しみだけで闘うのではない。
 拳には哀しみが、許しが、時には愛までもが込められている。
 それをなくしてしまったらライダーではない。

 映画のシナリオに、多少の不満がないわけではないんだ。
 けど『仮面ライダーとは何か』という本質、コアの部分は、きっちり描けていたと思う。そしてそれが、最も大事なことだ。
 というわけで今回の映画は合格。見に行って良かった。

 ……自分もライダーを愛するものとして、闘わないとな。世界の平和とか、家庭の平和とか、いろいろ守らないと。

『スターフォックス、宇宙の中心へ』その5

2010年12月11日 17時46分51秒 | アナザーストーリー
 愉快とはとてもいえない表情で、ペパーは侵入者を睨めつけた。
「<鍵>を教えるのはかまわんが、お前たちに連れまわされるのは私も我慢がならん。今ここで伝えるから、それが済んだらさっさと私の屋敷から出て行くんだ」
 コートの男はペパーの両眼を真正面から見つめた。細めた眼裂の奥のひとみからは、獲物をもてあそぶ獣のような光が漏れ出している。
「将軍様。そうはいかないよ。追われるものになるのは趣味ではないし……それに、鍵はあんたの頭の中にある、という言葉……それは、あんた自身が鍵だ、という意味なんだろう?」
「そこまで知っているのか」
 ペパーは苦しそうに顔をゆがめた。
「そうとも。それでも全てを知っているわけじゃない。だからね、色々と聞きたいんだよ。宇宙の中心についてね」
「勝手にしろ」
 諦めたというより、疲れ果てたという調子で、ペパーは吐きすてた。
「失礼する」
 ペパーの鼻先に、うすい紫の霧が吹きかけられた。ペパーはもう一度、目の前の男たちの顔をぐっと睨んだ。その三つの顔が六つになり、九つになり、水面の上の月のようにくらくらと揺れだした。
 そのまま気が遠くなり、かれは眠りに落ちた。