俺の翼に乗らないか?

スターフォックスの一ファンのブログ

遊撃隊の出番はまだかっ!?

2009年05月29日 13時03分30秒 | アナザーストーリー
「ホウオウの野郎、ハートゴールドが出るんで張り切ってやがるな。
 ……オレ達の出番はまだかよ? 休んでばかりだといい加減ウデが鈍っちまうぜ!」

 待たせすぎやで……任天堂……。
 まぁ「64」から「アサルト」まで8年もあったし、気長に待つか……。

 と言いつつも6月2日からはゲームの祭典E3。スタフォに関する発表もあるのではないかと期待せずにはいられない!
 っしゃー! こうなりゃアーウィンに乗ってE3会場に乗り込むぜ! なに? E3は一般向けじゃないから関係者じゃないと入れない? 入れても英語がわからないとついていけない? うおおー!

『最終決戦if』

2009年05月29日 12時49分11秒 | アナザーストーリー
 『アサルト』において、アパロイドマザーがフォックス達を幻惑するために使った、ピグマ、ペッピー、ジェームズ、ペパー将軍、ナウスの声色と記憶。
 このメンバーは、奇しくも初代スターフォックスにペパー将軍を加えたものではないか。
 じゃあ最終決戦として、こんなのもアリだったかも……。


『俺たちが引き付ける お前たちはマザーを倒せ!』
 眼前に浮遊する大量のアパロイドを引き連れ、三機のウルフェンが飛ぶ。挑発するようにのらりくらりと攻撃をかわしながら旋回し、アパロイドをフォックス達の後方へと誘導してゆく。
『……あいつら、カッコつけやがって』ファルコが呻くように毒づく。
(また、道を開けられてしまったな)
 フォックスは思う。
 マザーをただ倒すだけでは意味がない。マザーの体内に『自滅プログラム』を打ち込み、アパロイド全てのアポトーシスを誘発しなければ、ライラット系に未来はない。ウルフ達ももそれは理解していただろう。だからこそ自分たちのために道を開き、命運を託した。
 スターウルフばかりではない。自滅プログラムを製作したベルツィーノの開発チーム。ゲートを死守し、アパロイド本星へ突入したコーネリアの兵士たち。侵食の犠牲となったペパー将軍、多くの人々。ペッピーと、ナウス。
 数え切れないほどの希望を、意志を、自分たちの双肩に背負っているのだ。
 そう思うと震えた。だからこそ負けるわけにはいかない。絶対に。
『いよいよマザーだ……行くぞ!』

 暗くジグジグとした悪寒を覚えさせる通路から一転して、白くひらけた空間がかえって不気味だった。その中央に、まるで聖像のように神々しく、また昆虫の産卵管のように禍々しくそそり立つのが……。
『これが……マザー?』
 4人が抱いていた疑問を、代表してクリスタルが口にした、そのとき。
『これは、ゲートアウト反応!? みんな! 何か来るよ!』

 ハニカム状のワープゲートが、真正面に展開した。そこから現れたのは、見慣れた白い船体。4人にとって我が家とでも言うべき船。
『グレートフォックスだと!?』
 見間違うはずもない。ペッピー、ナウスとともに突貫し、この空間へとつづく発進口をこじ開けたグレートフォックスが、今また4人の前に現れたのだ。
 しかしその姿は、紫電色の光沢を帯びた生物の外殻で一面覆われている。もはやそれは遊撃隊スターフォックスの母艦ではない。アパロイドの群れの一個体となり果てていた。
『アパロイドの野郎! どこまで食らいつくせば気が済みやがる!』
『待って、それより! あの中にはまだ、ペッピーも!?』
 恐るべき可能性に考えが及び4人は戦慄した。ペパー将軍に引き続き、ペッピーまでもが敵となり行く手を阻むというのか?
『ペッピー! いるのか? いるなら応答してくれ!』
 動悸を抑えながらフォックスは呼びかけた。駆け抜ける一秒一秒がまるで千年のように感じられる。

『……居るとも。フォックス。ワシはここにいるよ』
『ペッピー!!』歓喜の声が響く。
『ペッピー、無事なのか? 今助ける!』
『助ける、だと? いや、いや。助ける必要など無いのだよ。助ける必要は無い』
『ペッピー? どうしたんだ。状況を教えてくれ!』
『解ったんだよ、フォックス。アパロイドは敵じゃないんだ。ワシはアパロイドの一部になってそれが解った。これは来るべき世界の幕開けなのだよ』
『ペッピー。……馬鹿な』
 馬鹿なことを言うな。そう言いたかったが、唇が震えるばかりで声が出ない。代わりに己の息遣いだけがやたらと大きく聞こえた。
『馬鹿はおまえたちだぞ、フォックス。アパロイドに逆らおうなんてな。アパロイドこそは万物を統べる存在だ。宇宙に生きるものすべての母だ。お前たちも、抵抗はやめるんだ。ムダだからな。お前たちの抵抗など、赤子が駄々をこねているに過ぎないのだよ』
『ケッ!』ファルコが喚いた。
『言うに事欠いて、あきらめろだと? 下手なモノマネはよすんだな!』
『そうだよ! アパロイドは侵食した相手の記憶も利用できるんだ。騙されないよ!』
 長くて短い、凍りつくような沈黙が流れた。
『……そうか。ならば我々が教えてやるしかあるまい。なに、すぐにお前たちも理解できるさ』
『我々、だと?』
『見て。グレートフォックスの発進口が』
 紫電色に光る侵食グレートフォックスのハッチがゆっくりと開き、内部から三機の機体が姿を現す。
『アーウィン……』
 やはり紫電色のアパロイド装甲に包まれた機体。だがそのフォルムは、どう見てもアーウィンだった。
『どこまでもモノマネか。悪趣味だぜ』ファルコが馬鹿にしたように鼻を鳴らす。
 が。
『モノマネだと? とんでもない。ワシらこそが正真正銘の、スターフォックスさ』
『ブヒヒッ! そういうこっちゃ。なんせ元祖やからのう。なぁ、ジェームズ』
『そういうことだ』

 忘れようもないその声が脳裏にこだまして、フォックスの現実感がぐらりと傾いだ。
『まさか。父さん』
『久しぶりだな。まさかお前と戦うことになるとは思わなかった。お前に私が殺せるか? 試してみたらどうだ。私も、自分にお前が殺せるかどうか、興味がある』
『騙されるな! お前の親父は……!』
『分かってる。父さんは、オレの親父はそんなことは言わない!』

『悲しいよ、フォックス。息子に信じてもらえないなんてな。だがすぐに、お前たちもこちらの世界を見ることができるんだ。それまでの間、私を楽しませてくれよ』

 操縦桿を握る両手が熱い。現実が何か。真実がどれかわからなくなる。
 ためらうな、という言葉が蘇る。俺たちが何のために道を譲ってやったのか。その意味を噛み締めて行動してもらわねば、困る。
 そうだ。限りない命、限りない希望を背負ってここまで来たのだ。迷っているヒマは無い。

『みんな!』意を決して、フォックスは叫ぶ。
『自滅プログラムを打ち込むぞ! スターフォックス、戦闘開始!』

スタフォ世界の俺的設定 その3

2009年05月29日 03時03分51秒 | 考察
 イヌは群れをつくる。
 サルも群れをつくる。

 キタキツネは群れをつくらない。
 ウサギも群れをつくらない。
 キジも、カエルも群れはつくらない。

 ……ここからこじつけて考えるに……。
 惑星コーネリアは、イヌ族とサル族の争いで混沌としていた。群れをつくり共同生活する生物から進化した彼らは、すでに大きな共同体や都市を築いており、コーネリアを出ることは簡単ではない。
 しかし、もともと群れをつくらず単独行動するタイプの種族なら、家族単位で宇宙に出て新たな新天地を探すことも容易だ。
 イヌとサルの戦争で平穏のないコーネリアを出た、キツネやウサギやカエルの種族が辿り着いた新天地。そこが惑星パペトゥーンだったのでありました。
 ……という設定はどうかな。ちょっと苦しいけど。

スタフォ世界の俺的設定 その2

2009年05月29日 02時37分50秒 | 考察
・アパロイドについて。
 まずは『ガメラ2 レギオン襲来』という映画を見よう。これに出てくる『レギオン』という生物が、アパロイドによく似てるんだ。多分アパロイドはこいつにヒントを得て考え出されたのじゃないかな。
 レギオンは形からしてアパロイドの下っ端にそっくり。「草体」という巨大な植物のタネにくっついて宇宙を旅し、たまたま落っこちた星で草体とともに繁殖して数を増やしてゆく。草体が成長して花が咲くと、ものすごい爆発が起きてタネとレギオンが宇宙へと打ち上げられる。そしてふたたび旅をする。
 ……宇宙を旅して、たまたま出合った星に寄生し、自分たちの住みかにしてしまう。レギオンとアパロイドにはこういう性質が共通している。
 アパロイド達はレギオンのように宇宙をふらふらとさ迷っている。しかしそのうちの一体が偶然、寄生するのに良さそうな星を見つけると、本星のマザーに信号を送って伝える。信号を受信したマザーは、大量のアパロイドを生み出し、ゲートを通じて目的の星へと送り込む。
 ベルツィーノ父さんが「17年前にもアパロイドが現れたことがあった」と言った。おそらくその時、倒される前にアパロイドはマザーへと信号を送った。
 その信号が17光年の距離を越えてマザーへと辿り着き、コーネリアが狙われることになったのではないかな……と。
 「アサルト」ではフォックス達がマザーを倒したことでコーネリアはアパロイドの星にならずに済んだ。しかしもし、失敗していたら……浸食はさらに進み、コーネリアは第二のアパロイド本星になってしまったことだろう。そしてそこに次代のアパロイド・マザーが生まれる。
 「アサルト」のラスト、ファルコは「アパロイドの絶滅ってわけだ」と言った。だが、アパロイドに寄生された星があの一つだけだったとは言えない。広大な宇宙のどこかに、第二第三のアパロイド本星があるのかもしれない……。
 (こう考えてみるとアパロイドもレギオンも、元ネタはアリの生態なのかもしれない。若い女王アリが巣を出てあらたなコロニーをつくるとこがそっくり)

・アパロイドがジェームズ父さんのモノマネをできたのは何故か?
 これは単純に、ピグマの記憶を読んだからだろう。アパロイドは侵食した本人だけでなく、本人の記憶にある人物のマネもできるようだから。
 アパロイドに侵されていないペッピーと、ナウスのマネもできたのがその証拠だ。
 ……17年前にアパロイドが現れたとき、もしかしたら第一期スターフォックスも戦ったのかもしれない。でも侵食されたわけではなさそうだから、ジェームズ本人はアパロイドに侵されたわけじゃないよね。たぶん。

スタフォ世界の俺的設定

2009年05月29日 01時11分25秒 | 考察
 小説を書くにあたって、スタフォ世界のことを色々考えた。
 そして浮かんだ疑問を自分なりに解釈して書いているわけですが、それらのことをここにまとめておきます。
 私が勝手に考えた設定なので、他の人の考えとは違うかもしれないし、公式設定と食い違うかもしれませんが、その点はご了承のほどを。

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・スタフォ世界の住人は、キツネやイヌやサルやトリやカエルがそれぞれ進化の果てに知性ある種族となったもの。(こっちの世界の人類にあたる存在ですな。SF用語で言えば『ヒューマノイド』)
 普通のイヌやサルやトリのような動物も存在するが、かれらには知性がない。言葉を話すこともできないし機械も操れない。(要するに、こっちの世界にもいる動物たちと同じ)

・コーネリアで進化した種族のうち、イヌとサルの2つの種族が大多数を占めている。だがこの二つは歴史的に折り合いが悪い。文字通り犬猿の仲。
 先んじて科学技術を発達させたイヌの種族がコーネリア全体を統治するようになり、サルの種族は次第に追いやられていく。
 そういう状況にあって、Dr.アンドルフの存在はサル族の希望だった。イヌ族で固められたコーネリア中枢部のなかにあって、科学技術最高顧問まで上りつめた彼の存在が、サル族の不遇を解消してくれるのではと期待されていた。
 だが実際は、アンドルフは軍の中で孤立しており、その頭脳から生み出される技術をイヌ族が吸い上げ利用しているに過ぎなかった。蹂躙される同胞を見ながら動きの取れない状況で、彼の怒りは内部に鬱積し、心は屈折していった。
 これが彼をクーデター、そしてベノム建国へと向かわせる。

・追放されて後、ベノムの地中にあらかじめ建設しておいた巨大空洞で、アンドルフは着々と準備を進めた。地表は厚い酸の雲に覆われ、基地の建設が発見される恐れはない。
 第一期スターフォックスがベノム探索に訪れ、ピグマの裏切りにより瓦解してのち、アンドルフは超空間ゲートを閉鎖する。ゲートは惑星間の移動に使われていたもので、その基礎理論を確立したのはアンドルフである。アンドルフ以上の頭脳を持たないコーネリア軍には、ゲートを再び開く術がない。
 これにより、コーネリアからベノムへ、ワープゲートを通じて直接大艦隊を送り込むことは不可能となった。(……大型プラズマエンジンを搭載し、惑星間ワープが可能な母艦なんかがあれば、星を渡りついでベノムまで行けるのだが……。そんなの持ってるやつらが、どっかにいなかったか?)

・アンドルフの夢は、ベノムの環境を浄化し、コーネリアのように自然豊かな惑星にすること。そして浄化されたベノムを、虐げられたサル族の楽園にすること。
 ベノム建国時、浄化されているのはまだほんの一地域にしかすぎなかったが、いずれ星全体を生まれ変わらせる計画を立てていた。……だが結局夢半ばにして破れ、浄化装置は彼の遺産となる。
 自らを生体改造したのは、彼自身がこの星の「守り神」のようになり、永遠にベノムを見守ってゆこうとしていたから。

ウルフの過去と、ライラット系の歴史

2009年05月22日 00時22分40秒 | 考察
 いま書いている『ベノム陥落』は、『64』でフォックスに敗北したウルフ達が、『アサルト』までの間に何してたのかな?と思って書き始めたものです。

 イヌの種族をロキオン、サルの種族をハール。と呼んでいるのは私が勝手に決めた設定でありんす。

 想像するに、コーネリアには長い種族闘争の歴史があったのではないかと。
 『64』でアンドルフ軍(サル)とコーネリア軍(イヌ)が戦っているのもその歴史の中の一事件なのではないかと。勝手に思うわけです。

 ファルコのセリフ『サルの言うことを信用するのか!?』というのも、サル族への蔑視を感じさせる。(悪気はないのかもしれませんが)

 その闘争の歴史の中で、少数種族による『遊撃隊』という職業が生まれたのではないか。ウルフの一族もそういうのを生業にしてたんじゃないかな。と思った。

 ……ん? しかしそもそもウルフはコーネリアの出身なのだろうか。
 パペトゥーンの出身だったりして……。
 ……いやいや。そうだとしても遊撃隊の仕事のためにコーネリアへ来ていたんだよね。そう考えることにしよう。

 ……いろいろわからない点があるなあ。こういうのは公式では決まっていないんだろうな……。
 ヘタに決めてしまって、ゲームを作るときに足かせになってもいけないしね。

【手描き】スターフォックスでとりぷるばか【スタフォ】

2009年05月21日 22時23分29秒 | スタフォ動画
 さらに貼る。
 もともとは初音ミクの曲と動画『とりぷるばか』。そのキャラをスタフォにしてみたものがこれらしい!
 ……ボーカロイドやニコニコ動画の生み出した文化は、いろんな人の手を渡る間にどんどん姿を変えていくのですな。
 奇天烈だけどなぜか心地よい、中毒性のある動画。視聴しすぎに注意だ!(笑)

【手描き】スターフォックスでとりぷるばか【スタフォ】



【スターフォックス】平成版009EDパロ【手描き】

2009年05月21日 22時12分28秒 | スタフォ動画
 ニコニコ動画に潜入しては、スターフォックス関連の動画を探し回っている自分・・・。
 何度となく見に行ってしまうのでもうここに貼り付けてしまうことにしました。
 これは、以前ドラゴンボールの『僕たちは天使だった』をスタフォに置き換えた動画を作っていた方がその後に作られていたもの。画力が凄い! センスがよい! 私は絵が描けないので感心するばかりです。すごいな。

【スターフォックス】平成版009EDパロ【手描き】




アンドリューのナイスドリーム

2009年05月19日 14時53分01秒 | アナザーストーリー
 オレの名前はアンドリュー。自他共に認めるサルだ。
 おっと。早合点してもらっちゃあ困るぜ。サルといってもそこいらのサルとは器が違う。なにせ師父アンドルフの下で十年修行を積み、変化、飛行、念力、暗算、スプーン曲げ、超暗記、ゆすり、たかり、泣き落とし、早食い早便、元気玉、かめはめ波、ゴムゴムの銃、大玉螺旋丸、バチスタ手術などなどの超能力を体得したこのオレだ。これだけの術を身につけるにはそんじょそこらの才能の持ち主じゃあできっこない。わかるだろ? このオレが、生まれも育ちもその他大勢とは比べ物にならないスーパー・エリート・サルだってことが。
 ある日師父はオレの部屋にやってくると言った。貴様にはもう教えることは何もない。これ以上ここにいてもムダだからさっさと出て行け。
 勿論オレにはすぐに分かった。師父の言葉の裏に隠された本当の意味が。つまりはこういうことだ。『アンドリュー、我が弟子よ。よくぞ厳しい修行に耐えた。免許皆伝だ。この上は我がもとを離れ、さらに研鑽を積むがよい。』
 オレはすぐさまそこへ平伏して言った。師父! なんと礼を言ったらよいのか。師父より受け継いだ技の数々、いずれさらに磨き上げてご覧に入れましょうぞ。
 師父はそれを聞いて大きく息を吐かれた。おそらくオレの頼もしい言葉に安堵したのだろう。

 師父の言うことには、オレは何とかいう3人を率いて惑星ガンダーラに向かうことになっているらしい。オレが何も知らされないままにメンバーが決まっていて、しかもそれが全部むさくるしい男というのは了承しかねるものだったが、しかしそう考えたオレが浅はかだった。なにせこの任務は、師父がこの世界を統べる皇帝となるための要だったからだ。
 それを知ったときオレは初めて自分の小ささというものを感じたよ。同時に、師父の深慮遠方のすさまじさも知ることができた。
 考えてもみろ。師父は確かにあらゆる術を操り天地神明に通ずる力を持つお方だ。もちろんその身は皇帝となるにふさわしい。だがその師父も年には勝てない。いずれ皇帝の位を譲らねばならない時がくる。そのとき跡目を継ぐのは誰か?
 すでに師を越え、しかも年若いこのオレ。しかいまい。つまりこの任務は、次期皇帝となる男の活躍を天下に知らしめるためのデモンストレーション、というわけさ。

 いち早く師父の、いや皇帝のこの考えに気づいたときオレは興奮した。オレの周りをうろうろしている3人はまだ誰もこのことに気がついていない。オレが次期皇帝だということも知らずに。ばかなやつらだ。
 ひとつここで、この3人のことを軽く紹介してみるとしよう。半日かみ続けたガムよりも退屈で味気ないやつらだが、ヒマつぶしにつきあってやるくらいなら我慢できる連中だ。
 まずは玄奘三蔵ウルフ。

「ベノム陥落」その6

2009年05月19日 12時12分43秒 | 小説『ベノム陥落』
 ロキオンの拠点に忍び入っては、武器、弾薬の類をハールに流す。そうして暴動が内戦へと姿を変えていく。混乱すればするほど仕事がやりやすくなる。
 武器が増え、アジトが増え、仲間が増え、敵が増える。
 Dr.アンドルフがコンタクトを求めてきたときは驚いた。なにせ現職のコーネリア防衛軍科学技術開発部長が、スペースダイナミクス社と結託して、自分たちに武器を横流しするというのだから。
 オレにもいよいよ運が巡ってきたようだ。そう思った。
 この世がひっくり返る様を、特等席で見届けてやる。

「ベノム陥落」その5

2009年05月18日 10時49分56秒 | 小説『ベノム陥落』
 あの日の自分とは、随分違うものになってしまった気がする。
 あの戦士の肩の上で、自分の中に生まれた火は、いつしか変質してしまった。どこかで道を間違えた。そんな気がする。
 それと同時に、そんなガキの時分に抱いた思いが、そのまま叶うわけもない。とも思う。生きるか死ぬかの状況を数限りなくくぐり抜けねばならないのだ。
 甘っちょろい理想を、いつまでも掲げていられるほど生易しい世界じゃない。

 だがどちらにしろ。俺はまもなく死ぬ。
 そこまで考えると、ウルフの緊張は糸を切るようにとぎれた。
 ウルフェンは落下していた。ベノムの大地が目前に迫っている。地表に激突し、粉々に吹き飛ぶ自分の姿が脳裏に浮かんだ。

 記憶が、再びあふれ出した。銀白色の戦士の背中。振り向きもせずに去ってゆく。続々と集まる狼の戦士たち。兵装に身を包んだ狼たちは雄たけびを上げ戦場へと赴く。
 それがウルフの記憶に残る彼等の最後の姿だ。
 それからは生き延びることだけを考えた。泥と砂塵にまみれ、コーネリア正規軍の監視をくぐり抜けた。
 危ない橋を渡るたびに仲間が増えた。いつしか悪党の親玉になっていた。
 イヌ族(ロキオン)とサル族(ハール)の種族闘争は、コーネリアを混乱させていた。数で勝るロキオンが、ハールを辺境の地に追いやる。それに反発したハールが各地で暴動を起こす。捕らえられたハールの多くは重犯罪人としてベノム送りにされる。おおむねそういう図式だった。

『ベノム陥落』その4

2009年05月06日 13時57分13秒 | 小説『ベノム陥落』
 今の俺をレオンが見たら笑うだろう。
 そう考えてから少し驚いた。自分はいつのまにかレオンを片腕のように考えている。

 片腕。その言葉が鍵となりウルフの遠い記憶をすくい上げ、意識を過去へと運んだ。
 今のようにコーネリア軍が幅をきかせていなかった頃。戦場から戦場へと渡る狼の戦士の群れ。その群れのなかに自分がいた。まだほんの子供だったが。
 杯をあおる男たち。絶えず交わされる乱暴な言葉。繰り返される武勇伝。
 銀白色の大きな体をした戦士がウルフの目の前にいた。その体から逞しい腕が伸びて、幼いウルフを抱え上げ肩に乗せた。
 おまえは俺の片腕だな。
 やはり銀白色の体毛に覆われた口元から、うすく犬歯を覗かせてそう言った。
 片腕。片腕。ウルフにはその言葉の意味が正確にはわからなかった。わかったところで、なぜこの銀白色の戦士がまだ幼く戦闘に加われない自分を片腕、と呼ぶのか、その真意はやはりわからなかったろうが。
 ただ無性に誇らしかった。よくわからないけれど褒めてもらえたのだ。頬が火照った。体の奥のほうで小さな火がちろちろと燃え出したようだった。