MY研究所

(えむわいけんきゅうじょ) ピアノの先生の日常と、音楽教室や音楽についてのお話。

どうする フェルマータ

2008年03月09日 | 音楽用語

常日頃 見慣れた 音楽記号。
 しかし
「何となく、こんな感じの意味だった…ような 気がする」
の 状態を放置しておくと
時間とともに意味が自己流アレンジされて
『何故そんな意味に?』
という事態に なりかねません。

知らないことは 正しく覚える
知っていることは、より深く知る。

というわけで 本日のお題は、
よく出てくる音楽記号のひとつ、フェルマータ。
円の上半分と、その下に 黒くて丸い点がある記号です。
一見、カエルさんの目。

フェルマータを、既に教えた子に
どういう意味?と 質問してみると
生徒「のばす。」

…今の子って、省エネ主義なのか、言葉が少ないです。
しかし 仮にも音楽をやって表現する人間が
1音節か2音節で用事を済ませるんじゃありません。

というわけで、更に追及。
「でも、これ全音符だから、もともと長くのばすよね。
 のばすとしたら、どのくらい のばしたらいいの?
 ちょっとでいいのかな?1.2倍とか。」
生徒「えーと・・それは 違うと思う・・・」
 もともとの意味を 覚えておくと いいんだけど、
 それは 覚えているかな?
生徒「…忘れました。」
私 「バス停。」
生徒「あ~っ!そうだったー!!」

『フェルマータ』というイタリア語は
『バス停』という意味で
現在も 日常語として使われています。
【そこまで走ってきたバスが、きちんと停車して
 お客さんが乗り降りできる時間をとる(そして また走り出す)】
という感覚で演奏すれば 自然と
待たなくてはいけない「このくらいの時間」がつかめますね。

音符本来の長さに弾くことは、走っていることと同じですから
本来の音符の長さ以上に、しかも 音楽が一旦止まった
と感じさせるくらい のばすことになります。