【ただいま読書中】

おかだ 外郎という乱読家です。mixiに書いている読書日記を、こちらにも出しています。

これから出現しそうな政党

2013-07-17 06:29:45 | Weblog

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【ただいま読書中】『ゴルディアスの結び目』小松左京 著、 角川書店、1977年、960円

 目次:「岬にて」「ゴルディアスの結び目」「すぺるむ・さぴえんすの冒険」「あなろぐ・らう゛」

 間口5m奥行き7m高さ4m、特殊合金製の鉄筋を入れたコンクリート製の「部屋」が直径25cmのボール場の物体に圧壊してしまいます。その中には二人の人物がいました。しかし、その中がどうなっているのか、外からは何もわかりません。ニュートリノされ通過しないのです。「ゴルディアスの結び目」は、この「謎」の提起によって始まります。
 「ゴルディアスの結び目」は、物理的にはこの「ほどくことができない部屋」のメタファーですが、同時に「精神の迷路」のメタファーにもなっています。
 「サイコ・デテクティヴ」の伊藤は、牙と角が生えて恋人を食い殺した18歳の少女マリアの心を探ります。そこは異形の世界でした。いわば「悪魔の秘蹟」です。ひどい裏切りに遭い、心身ともにぼろぼろになったマリアに“憑いた”何か、それは何者か、伊藤は自信も傷つきながら、マリアの心に潜入し続けます。そして、アレキサンダーが「ゴルディアスの結び目」に立ち向かったように、伊藤もまた大変乱暴と思われるやり方で「ゴルディアスの結び目」に立ち向かっていくのでした。
 この作品は私にとって、「ブラックホール」についてきちんと科学的な言葉で書かれた文章を初めて読んだ体験だったはずです。すごく“勉強”させられた気分でしたが、今読むと、ちょっと科学的なホラーとして楽しめます。どちらにしても楽しめるので、ずいぶんお得な気分です。

 「すぺるむ・さぴえんすの冒険」は、一見ふざけたタイトルですが、読後感は「太陽系最後の日」(クラーク)と共通したものがあります。「小松節」全開です。
 「あなろぐ・らう゛」に至っては、セックスのオルガスムスとビッグバンとがくっついちゃって、そのイメージの奔放さに頭がくらくらします。一歩間違えたら衒学趣味となるギリギリのところを、うまくエンターテインメントに誘導していく著者の腕には脱帽です。
 惜しい人をなくした、とつくづく残念です。これからも小松さんの作品は折に触れて読み返さなくては。




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