【ただいま読書中】

おかだ 外郎という乱読家です。mixiに書いている読書日記を、こちらにも出しています。

手遅れ感

2021-01-13 06:47:47 | Weblog

 患者が軽症の時には「大丈夫大丈夫、きっと大丈夫すぐ治る」と呪文を唱えて放置しておいて、患者が重症になってからあわてて治療を開始するのは、ヤブ医者です。
 日本政府のコロナ対応を見ていると、そのヤブ医者のことを連想します。

【ただいま読書中】『世界残酷物語(庄司浅水ノンフィクション著作集9)』庄司淺水 著、 三修社、1987年、2300円

目次:「暴君ネロ」「ポンペイ最後の日」「サン・バルテルミーの大虐殺」「カルカッタの黒い穴事件」「ゴルドン暴動」「断頭台の露と消えたマリー・アントワネット妃」「ベレジナ河の恐怖」「カウンポールの虐殺」「焼死した二千人の淑女たち」「全滅したフランクリン探検隊」「聖ヴァレンタイン・デーの虐殺」「第二次世界大戦の悲劇」「ピカドン」「虐げられた民族(ユダヤ人の迫害)」

 世界は「残酷」に満ちている、と目次を見て思います。それと、著者はどうして「これ」を選択したのだろうか、とも。国とか地域を限定してもものすごい量の「残酷物語」は発掘できるでしょうが、その取捨選択の基準は何だったのだろうか、と。
 とりあえず「確かな史料が豊富にあること」は基準の一つに挙げられそうです。著者は縦横無尽に史料を生かし、事件の背景や歴史的経過についても常に視野に納めてそれぞれのエピソードについて語ってくれます。たとえば「ポンペイ最後の日」では世界史のなかでの大災害の数々について、あるいは「焼死した二千人の淑女たち」では世界の「五大火災」について述べてから話の焦点を絞っていきます。こういった文章を読むと、著者の博識に驚くと同時に、自分がいかにものを知らないかを悟らされてしまいます。
 もしも私がこういった本を書くとしたら、おそらく本書と共通する事件はひとつかふたつ、さらにその切り口は本書とはまったく違ったものになるでしょう。
 ふうむ、やはり世界は「残酷」に満ちているんだな。

 



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