【ただいま読書中】

おかだ 外郎という乱読家です。mixiに書いている読書日記を、こちらにも出しています。

電池の交換

2012-03-19 19:03:00 | Weblog

 もう4年目に入っているMacBook(現在家内の専用機)が突然シャットダウンしました。あれ?と思って調べると、裏側が一部不自然に膨れています。アップルのサービスに電話して相談すると、電池が膨れたのだろう、とのことで、外してみると確かに中央部が端よりも3mmくらい分厚くなっています。ソニーの場合には“ソニータイマー”が切れたら形は変わらずに突然パソコンの電池が死にましたが、アップルの場合は頑張って頑張ってから死んだ、ということのようです。
 古いしもう買い換えようか、でも予算がぁ、と思っていると、新品の電池は約9000円。面白いのは、「リサイクル」なので、新品を持って行くヤマト運輸に古い電池を渡してくれ、とのこと。それではお願いします、と言ったら、23時間後にはもう持ってきてくれました。箱から新品を出して、それに古い電池を入れて託します。で、MacBookに電池を入れて充電をしたら、まるで何もなかったかのように立ち上がりました。
 そういえば私の愛機MacBookProももう3年目だ、と思って本体をひっくり返してみました。あらら、MacBookはコイン一枚でバッテリー交換ができるようになっていましたが、Proの方は底面がのぺっとしていて簡単には交換ができる雰囲気ではありません。これだと電池が膨らんでもわからないなあ。交換も素人には難しそう。壊れないことをひたすら祈ることにします。

【ただいま読書中】『ダンケルクの奇跡』A・J・バーカー 著、 小城正 訳、 早川書房、1980年、1600円

 ポーランド侵攻に続いて、ヒトラーはベルギーとオランダに奇襲をかけました。連合国もその攻撃は想定していて計画通りすぐに反撃に出ますが、ベルギー奥を目指して急ぎ北上する連合国軍の背後に大きな空隙が生じてしまいました。実は北は“おとり”で、ドイツ軍主力は“突破不能”のアルデンヌの森を抜け“通過不能”なミューズ川を越えてその“オープンスペース”に突然登場したのです。打ち破られた連合国軍は全線にわたって後退します。情報が錯綜し、軍集団司令部は矛盾した命令を次々出しますが、英軍派遣司令官ゴート将軍は“上官”のフランス軍将軍の命令を無視することにします。全滅よりも撤退して少しでも救えるものを救う、と。
 ドイツのグデーリアン指揮官(「電撃作戦」の立案者)は一挙に海岸線まで連合国軍を追い落とすことを希望しますが、司令部はあまりに突出して側面を突かれることを恐れてブレーキをかけます。その間に、無防備だったカレーにイギリスの増援が到着。グデーリアンは目標をカレーからダンケルクに変更します。ダンケルク占領の絶好機が訪れたかに見えた瞬間、「全軍停止」の命令が。ヒトラーは、フランス進撃のために戦車部隊を温存し、空軍に手柄を与えようと思った……らしいのです。
 連合国軍でも「兵力を結集して大反撃」の幻想を抱く人によって動きが制限されてしまいます。現実的に残された選択肢は「降伏」「撤退」「全滅」のどれかで「勝利」はなかったのですが。夢見ることは、人としては当然の行為ですが、指揮官が戦場で間違った夢を見るとより多くの人が死ぬことになるのです。1940年5月26日当時、ダンケルクに集結した英仏軍将兵は約50万人でした。ゴート将軍はそれらの人命に“責任”を持たされていたのです。
 英政府は、大型の船だけではなくて、小型レジャーボートの所有者全員にボートの提供を求めます。フランスが陸軍兵士を大量に移動させるのにパリ中のタクシーを使ったことがありましたが、使えるものは何でも活用する、ということなんですね。(中には、手こぎのボートに数名の兵士を乗せて海峡を何度か往復した人もいたそうです)
 それから数年後、こんどはドイツがバルト海で赤軍に追いつめられて(のちの)西ドイツ領に使える船を全部使って大量に脱出したことを私は思い出します。
 かくして「ダイナモ作戦」が発動します。砲撃と爆撃でダンケルクの波止場は炎上していました。そこへ、対空砲火の弾幕を張りながら船が入港します。まず乗船するのは傷病者。恐ろしいくらい時間がかかります。英本土から空軍もやって来ますが、圧倒的とは言えません。海には機雷が敷設され、潜水艦もいて魚雷攻撃をしてきます。そこを船員は不眠不休で、ドーヴァーとダンケルクの間を往復し続けます。
 9日間で総計33万8226名が救出されました。約12万がフランス軍将兵で残りのほとんどはイギリス軍です。この“戦力”と「ダンケルクからの撤退に成功したこと」の精神的意味が、のちに戦争で“効く”ことになります。
 撤退戦は、ふつうは高く評価されません。負け戦ですから。撤退戦を評価することは「負け」も見つめることになるから、できたら知らんぷりをしたいのが人情です。しかし、撤退戦の中にも、いや、極限状態であるからこそ、そこには“英雄”が存在します。本書にはそういった“英雄”が、有名無名あわせて何人も登場します。
 本書を読んでいて、私は日本のことを思っていました。
 朝鮮戦争初期、釜山に押し込められた韓国軍と米軍が、もしも撤退することになったら、行き先はまず対馬でしょう。すると北朝鮮軍にはミグがありましたから、それが日本領空を侵犯して……という歴史のイフを思ったのです。
 それと、「数十万人の緊急輸送」は“他人事”ではないでしょう。原発事故に限らず、大震災・化学工場の爆発などで日本で“それ”が必要になることは簡単に想定できます。その時になってあわてないように、各自治体は“予行演習”をしておいた方が良いのではないかな? 絶対に「実際にやってみなければわからない問題」があるはずですから。




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