「無心で」と思った瞬間、すでに無心ではありません。
【ただいま読書中】『北斎漫画 ──肉筆未刊行版』葛飾北斎 作、セーラ・E・トンプソン 編、河出書房新社、2017年、3900円(税別)
「富嶽三十六景」の展覧会を観に行って「現物の凄さと面白さ」を味わうことが出来ましたが、そういった展覧会にはなかなか行ける機会がありません。図書館で本書を見つけたので、早速借りることにしました。
ところがぱらぱらめくってみると、私が知っている「北斎漫画」ではありません。全然知らない絵がごろごろ並んでいます。記憶が変になっているのかな、と心配になって解説を見ると「ボストン美術館に所蔵されている肉筆画帖3冊」なんだそうです。浮世絵は、版画にするときに肉筆画を版下に使いますから出版と同時に肉筆画は失われます。それが肉筆画が残っているということは、本書は何らかの事情で出版されなかったもの、ということになります。「『北斎漫画』の続編」用に描いたものだったのか、あるいは没原稿を和綴じしたものだったのか。
ともかく、どんな経過はともかく、アメリカに渡ってそこで大事に保存されていたわけです。いやいや、アメリカさん、保存してくれてありがとう。
ただ、できたらこの本、和綴じの製本で読みたかったなあ。
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