【ただいま読書中】

おかだ 外郎という乱読家です。mixiに書いている読書日記を、こちらにも出しています。

消費のプチ促進

2011-04-15 18:56:01 | Weblog

 消費ががくんと落ち込んでいるそうです。そりゃ、自粛するとか、プチ贅沢するくらいなら募金しようか、とか、あまり景気のよい話はありませんものねえ。ただ、水とかカップラーメンとか「買いあさり」はあったわけです。だったら、消費を刺激するためには、テレビでみのもんたにでも「実は○○が放射能よけに良い」とか言ってもらいます? 毎日一品ずつ“刺激”してもらったら、とりあえず消費はプチ促進されるかもしれません。

【ただいま読書中】『近世菓子製法書集成(2)』鈴木晋一・松本仲子 編訳注、平凡社、2003年、3000円(税別)

 第1巻は基本的に和菓子がほとんどでした。例外は「古今名物御前菓子秘伝抄」で、「あるへいたう(有平糖)」「かるめいら(カルメロ)」「こんへいたう(金平糖)」「かすてら(カステラ)」といった“洋菓子”も少数含まれていました。カステラは、卵をかき混ぜたところに砂糖と小麦粉を入れて良く練り、平鍋に流し入れて金属製の蓋をしてから火を上下において焼く、というダッチオーブンのような手法を使ってます。しかしこれでは泡立てが不十分でただの分厚い卵焼き(+小麦粉)になってしまいそうな気がしますが。
 本書には「南蛮料理書」(年代不詳)「鼎左秘録」(嘉永5年(1852))「古今新製名菓秘録」(文久2年(1862))が収載されています。
 「南蛮料理書」は45項目。「なんはんのひのさけのしやうの事(南蛮の火の酒の製法)」「てんふらりのしやう(てんふらりの製法)」「とりをやきて(鳥を焼いて)」「ほねぬきの事(骨抜き)」「たまことうふ(卵豆腐)」といった“南蛮料理”やその技法も載っていますが、お菓子(“洋菓子”(のようなもの))がなんと27項目を占めています。「はすていら(ミートパイのようなもの)」「はん(パン)」もお菓子の所に混ざっていますが。江戸時代の人間には「食事」で食べるものではない、という分類だったのかもしれません。ちなみにパンは、小麦粉に甘酒を混ぜて膨化させてます。イースト菌の代用でしょうが、これはこれでけっこう美味しかったかもしれません。現在の鶏卵素麺にあたる「玉子素麺」のレシピもあります。味はたぶん現在のとそれほど変わらないでしょうね。
 「鼎左秘録」は、序文によれば「茶人必携」だそうです。本文と付録からなりますが、本文はお茶うけの「砂糖漬け」の作り方です。いやあ、こんなものを砂糖漬けに?と言いたくなるものも混じっています。生姜・金柑・瓜・西瓜あたりは良いですよ。美味しそうです。茄子・蓮根・牛蒡・人参・百合根・空豆・独活あたりもなんとなく味の想像はつきます。たぶん美味しいでしょう。しかし、豆腐・椎茸となると「本気?」と言いたくなりますし、「松の緑」「麦門冬(薬草です)」となると何が何だか…… 本当にそんなものを喜んで食べていたのでしょうか? 付録の方は、真っ当にお菓子のレシピが並んでいますが、その後半は「わさびがないときの代用(すった生姜と芥子を等分に混ぜる)」「松茸の貯蔵法」「柿の貯蔵法」「餅や酢を黴びさせない方法」「胡椒を粉にする方法(茶碗に入れてひょうたんのお尻でする)」といった「お婆ちゃんの知恵」が並んでいます。日本ではこういったノウハウ集が人気があるんですよね。
 「古今新製名菓秘録」では、広く諸家の製法を調べてその中ですぐれたものを載せているそうです。レシピのスタンダード化ですね。材料の分量も一応標準は書くが各人が好みで加減すること、となっています。古い料理書は「秘伝を口伝で授かっている」といった感じでしたが、このへんになると「レシピを読んでいる」という感覚が持てます。ちなみにこちらにも「茄子の砂糖漬け(小ぶりの茄子の所々に切れ目を入れて砂糖液で煮詰める)」「松の翠の砂糖漬け」などが載っています。「砂糖は万能の調味料」だったのかな?



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