【ただいま読書中】

おかだ 外郎という乱読家です。mixiに書いている読書日記を、こちらにも出しています。

電波が県境を越えるには、お金がかかる

2014-03-31 07:09:00 | Weblog

 私は「らじる★らじる」と「radiko」を使ってパソコンで「ラジオ」を聞いています。だけど「インターネット」を使っているはずなのに「手元にラジオがあったら聞くことができるラジオ局」しか聞くことができません。そこに新しいサービス「radico.jpプレミアム」が4月1日から始まるそうです。月額378円で、radikoに参加している全国民放60局が聞き放題。
 ……他の無料アプリですでに全国どころか全世界のラジオ放送が聴けるんですけど……もっとも暇が無いので私は聞いていませんが。まあ、有料には有料の良さがあるのでしょうね。その内に「○○放送の番組××が熱い!」なんてことがネットで評判になったりするのかな?

【ただいま読書中】『ドン・キホーテ(1)』セルバンテス 著、 会田由 訳、 晶文社、1985年

 原題は「才智あふるる郷士ドン・キホーテ・デ・ラ・マンチャ」です。1605年著者が58歳の時に前編を出版、10年後に後編を出版した、というとても古い本ですが(日本だと、関ヶ原の戦いが1600年、大坂夏の陣が1615年です)、たぶん今でも読む価値はあるだろう、ということで図書館の書庫から発掘してきました。
 主人公は、エンゲル係数が75%という貧しい生活をしていたやせこけた郷士(50歳くらい)、名前はありません。彼は騎士物語に没頭し、あまりに本を読みすぎたために本の内容がすべて真実だと思い込みます。そこで彼が行なったのが「名付け」。まずは愛馬に「ロシナンテ(さきの痩せ馬)」、ついで自分に「ドン・キホーテ(・デ・ラ・マンチャ)」と名付けます。では次の行動は? もちろん「貴婦人の探索」です。百姓娘は「姫君」、旅籠は「城塞」と「言葉」を貼り付けられると「そう」なります。少なくとも「ドン・キホーテ」にとっては。
 これを「狂気の行動」と見るのは簡単です。しかし、私たち自身も「世界」をこうやって「自分が貼り付けた言葉」で認識しているんですよね。
 まずは3日間の冒険で、ドン・キホーテはぼろぼろになって帰宅します。親しい人々は心配をし、焚書をすることでドン・キホーテを救おうとします。
 ドン・キホーテはくじけません。傷を癒やし、乏しい財産を処分して金を作って装備を揃え、農民のサンチョ・パンサを従士として雇い入れます。さあ、痩せ馬に載った“騎士”ドン・キホーテと驢馬に乗ったサンチョ・パンサ主従の出立です。出発するなり二人は「巨人たち」に遭遇します。おっと、「巨人」と遭遇したのはドン・キホーテだけで、サンチョ・パンサは「風車」と遭遇していたのですが。巨人に突進したドン・キホーテは見事に敗退。サンチョ・パンサは「あれは風車だ」と言い聞かせますが、ドン・キホーテは「自分の手柄を横取りするために、悪い魔法使いが巨人を風車に変えたのだ」と言い張ります。おや、全身打撲のショックで「風車」が見えたんですか?
 人々はドン・キホーテに様々なことを問いただし、それにドン・キホーテが「本にはこのように書いてある」と蕩々と述べるとそれをあざ笑います。ところで「中世」には「それ」が「常識」だったんですよね。ドン・キホーテのほんの少し前の人々は「その価値観」に従って生きていたわけです。それが近代になると「狂気のしるし」になるとは、単に「時代が変わった」だけでは済ませることができないナニカがありそうです。日本だったら、明治になって断髪・廃刀令に抵抗した人々がドン・キホーテにやや近い心性を持っていたのかもしれません。
 ともあれ、「風車」の場面で、ドン・キホーテの旅はまだまだ始まったばかりです。さてさて、この旅路はどこにドン・キホーテ(とサンチョ・パンサと読者)を導くのでしょう?



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