【ただいま読書中】

おかだ 外郎という乱読家です。mixiに書いている読書日記を、こちらにも出しています。

水なしでの成長

2018-10-09 07:17:37 | Weblog

 鳥は雛の時には巣から出られず親鳥が運んでくれるエサに頼って生きています。しかし親鳥は「エサ」は運びますが、「水」は運んできません。私たちは生きるためには「食物」だけではなくて「水」も必要ですが、鳥は「食物(に含まれる水分)」だけで生きる、というか、成長までしてしまうわけです。よほど体の中で水分を上手く回しているのでしょうねえ。すごいなあ。

【ただいま読書中】『スイスのロビンソン』ヨハン・ダヴィッド・ウィース 著、 小川超 訳、 学習研究社、1976年

 難破船に残されたのは「お父さん」「お母さん」と4人の男の子の一家。「お父さん」はスイスの牧師ですが、著者も同じ職業でしかも彼の一家は本書の一家と全く同じ構成です。ということは、著者は子供たちのために語って聞かせた「お話」が本書の原型、ということなのでしょう。
 なお、本書が刊行されたのは1812年ですが、『ロビンソン・クルーソー』(ダニエル・デフォー)は1719年、『十五少年漂流記』(ジュール・ヴェルヌ)は1888年です。こうして並べてみると「あるジャンルの物語の進化」がきれいに目に見えるようになっています。
 「お父さん」はとんでもない博識ですが、これは19世紀に驚異的な発達を遂げた「博物学」や「科学」がそのまま反映されています。サバイバルに必要な知識が惜しげも無く披露されて、教育的ですが、二言目には「子供の躾」に関する発言が登場して、二重に教育的です。
 ただ、単に「教育」のための本ではありません。子供たちに「どんな困難なときでも、知恵を働かし、正しく体を動かせば,活路は開ける」という「人生の希望」を教えたい、という熱意を私は本書から強く感じました。なるほど、やはり『ロビンソン・クルーソー』と『十五少年漂流記』の中間に位置しているわけです。




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