【ただいま読書中】

おかだ 外郎という乱読家です。mixiに書いている読書日記を、こちらにも出しています。

農協

2015-03-10 06:45:12 | Weblog

 私が田舎にいた頃には、農家の人たちに農協の悪口をけっこう聞かされました。で、今の政府も農協の悪口をけっこう言っているようです。
 だけどその「制度としての農協」を作って維持していたのは、政府と農民ではありませんでしたっけ?

【ただいま読書中】『できるか、農業の所得倍増』農政ジャーナリストの会 編、農林統計協会、2014年、1200円(税別)

 「10年間で農業・農村の所得倍増」が安倍政権の公約となっています(2013年参院選の自民党公約でしたが、この選挙で自民党が大勝して政府の方針となりました)。しかし、池田内閣の「所得倍増計画」が達成できたのは年の名目成長率が7%を越えたからでした。そんなことが現在できるのでしょうか? できる、と政権は述べます。まずアベノミクスの成功で年に2%の成長をします。すると現在の国内農業生産額は10年間で10兆円から12兆円になり、それに伴い農家の所得は現在の3兆円から4兆円に増えます。さらに「六次産業化」によって農家が絡む市場規模は現在の1兆円から10兆円になります。そのうち農村に2兆円が還元されます。すると「3兆円」は「4兆円+2兆円=6兆円」となり、めでたく「倍増達成」です。
 ……本当に?
 農政ジャーナリストの会は自民党の小里農林部会長へのインタビューで「高齢化で農業者が半減したら、それで自動的に所得は倍増する」という言葉を引き出します。あれ? すると「総所得」は「倍増」なのですから、一人あたまは4倍になることに?
 気になるのは、米価の下落やTPPです。ただ米価の下落は“チャンス”でもあります。価格が下がっても、米作から撤退する農家の分を集約して生産コストを下げ販売数量を増やせば「所得」は増えますから。
 私に見える問題は「政策がどこまで実効性があるのか(取らぬ狸の皮算用ではないのか)」「予算の裏付け」「法や制度をどう変えるのか」「食糧自給率はどうなるのか」「これまでの減反政策はどうするのか」……おそらく最近の「農協いじめ」は「制度改革の嚆矢」なのでしょうが、たとえば「農業の六次産業化」に農協を活用することなどはできませんかねえ(私が知っている「農協」には、クズのような所もありますが、本当に頑張っているところもありますので、一概に「敵」扱いする気にはなれないのです)。
 荒療治ですけれど、私に一つのアイデアがあります。農家の国家公務員化です。これだったら人事院勧告さえ得られれば「所得倍増」は書類の操作だけで可能となります。かつてのソ連の国営農場の惨状を思うと、日本のためになるかどうかは不安ですが。



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