【ただいま読書中】

おかだ 外郎という乱読家です。mixiに書いている読書日記を、こちらにも出しています。

スター占い/『魔法がいっぱい』

2009-05-22 17:40:16 | Weblog
 劇場の舞台にきら星のごとくスターたちが並んでいます。そして、その視線を捉えることができた観客は自身の運命を決められます。スター(の視線)占いです。
 ただし「きゃー、あの大スターが私を見てくれた」というのは、客の方の一方的な思いこみである可能性が大です。スターは「この人を見てやろう」と思っていない可能性が高いのですから(だって、舞台は明るく、フットライトが下から照らし、観客席は暗いのです)。
 星占いも同じようなもの、と私は思っています。遠くの“舞台”上の星々から、私たちは見えていません。

【ただいま読書中】
魔法がいっぱい』ダイアナ・ウィン・ジョーンズ 著、 田中薫子・野口絵美 訳、 佐竹美保 絵、徳間書店、2003年、1500円(税別)

 「大魔法使いクレストマンシー」の外伝です。4つの短編が収められています。
「妖術使いの運命の車」……クレストマンシーによって魔力を奪われた妖術使いが、他の世界に逃げ出したら、魔力は戻ったけれどその代わり……
「キャットとトニーノの魂泥棒」……クレストマンシー城にイタリアからトニーノがやってきました。少し年上のキャットはトニーノのお世話係を言いつけられますが、どうも気が乗りません。クレストマンシーの命を狙う邪悪な魔法使いがいるらしいのですが、ところがそのスパイダーマンは200年以上前に死んでいるはずです。ところがところが、二人の少年はスパイダーマンに誘拐され、記憶を消されて「魔法使いの弟子」にされてしまいます。スパイダーマンは大魔法使いの魂を集めていてそれで自分がこれまでで最大の大魔法使いになる気です。最後の一つはキャットの魂。しかし……
「キャロル・オニールの百番目の夢」……夢見師のキャロルは、「夢」のベストセラー作家でしたが、100番目の夢を見るのに失敗します。腕の良い精神科の魔法使いにも原因がわかりません。そこでキャロルの父親の窮地のクレストマンシーの出番です(トニーノたちも登場しますが)。
 幸い子どもらしいハッピーエンドになるお話ですが、創作の原動力が奈辺に存在するのか、もしかしたら著者はそれとなく読者に知らせようとしているのかもしれません。
「見えないドラゴンにきけ」……すべてが秩序だっているスィールという世界では、〈天〉もきちんと運営されていました。神々の役割や動きも事細かに定められていたのです。しかし〈破壊の賢人〉が生まれ、秩序が乱さるという予言が。神々は予言の裏をかこうと画策します。常に疑問形でしかしゃべれない子どもを見つけた神は、平行世界の別の世界にその子を置き去りにします。ところがそこは、クレストマンシーが住む世界でした。
 いや、子どもって成長の一時期「なぜ、なぜ」を連発します。それが世界の根源にまで衝撃を与えてしまい、それに神々でさえ逆らえないとは、なんとも皮肉でにやりとしてしまう一品です。




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