足立直義の丹沢・大山山麓だより

生き物との出会いを楽しみに今日も山麓を歩いています

No.959  ~ キアシナガバチ の 知恵 ~

2011年05月12日 | 昆虫

蛇口の周りをアシナガバチが飛び回る。 何故?

「おい ハチ君、その水飲めないよ!」

用があるのは板なのか!

板をかじっているんだ

板の繊維で何するの?

6月のハチの巣。 まだ女王蜂一匹が活躍中!(2010、6、13)

日  201158 晴 18

所  山北町 玄倉 (丹沢湖ビジターセンター)

 

「あれ?アシナガバチが!」と独り言が出たのは、蛇口の

周囲をハチが旋回していたからだ。

 センターの前庭には水道があり、蛇口に“のめません、

てあらい用”の木札が下げてある。

 「ハチ君、その水飲めないよ」とつい声をかけ、ハチの

行動を見守ると、ハチは蛇口が目的ではなく、ゆらゆら揺

れる木札へ見事着陸した。

「成る程」と私は呟き、ハチのねらいが読めたのである。

 ハチは板に止まると表面を強力な顎でかじりながら、下

へ下へと下がって行く。そこには濡れた跡が付きその長さ

約4㎝。板の上には数多くの跡が印されている。板の繊維

が口に溜まるとハチは飛び立ち、急上昇し木立を越えて見

えなくなった。再び板へ戻って来る時間を計ってみると約

4分、往復の道のりと咬み取った繊維と蝋物質で巣作りに

掛る時間だ。

 秋には大家族になるハチの巣も、春先には0からの出発。

1部屋、2部屋、3・・・と巣を増やさなければならない。

今働いているのは、厳しかった冬を越してきた1匹の女王蜂、

その懸命な姿なのである。