日中越境EC雑感

2008年に上海でたおばおに店を作るところから始めて、早もうすぐ10年。余りの変化に驚きの連続

本田のストがウォールストリートジャーナルにも

2010-06-12 | 中国の社会・文化・歴史等
 本田の広東の部品工場のストライキと、フォックスコムの自殺問題が連日新聞をにぎわしていましたが、WSJでも紹介されています。

 まぁ、多くの論調にあるように、単に一企業の問題ではなく、中国の社会構造に根ざした問題ですから、今後の中国経済=中国市場を考える点でも、深く見ていくべき問題だと思います。

 WSJの記事自体は内容は目新しくは無く

・本田の部品工場のストライキの結果、24%の昇給を受け入れたが、今度は本田のエグゾーストパイプを製造している企業のストライキも3日目に入った。

・これは中国経済がより消費者経済に転換する現れであり、一方中国の低コスト生産の信頼も転換点を迎えている。台湾のフォックスコムの社長も、中国の低コスト労働力は期待できないと答えている。何でもこの会社は、その80万人の労働者の給与をほぼ倍にする。

・中国政府は社会保障を整備しようとしており、企業はそう簡単には従業員を首にできなくなった。

・中国の労働者が消費を増やす事により、中国経済はブームが来たり、それがクラッシュしたりする不安定さから開放される事になり、持続的成長を促すだろう。

・全ての産業分野で急激な昇給をしようとしており、これは所得格差の軽減、消費の拡大を生み出す。

・土曜日にはシンセンの台湾企業(フォックスコムではない)でも大規模なストライキが発生し7月に10%の昇給をする事で収まった。

・ディスプレイメーカーのTPV Technologyは、1月に15%昇給したばかりだが、さらに15-20%昇給すると発表。

・最近メディアに取り上げられるのが外資系企業ばかりだが、これは労働活動家やメディアにとってターゲットにしやすいからで、かつ中国製造業の輸出の大部分を占めているからだ。

・しかし同じ事は国内企業でも発生している。地方政府の最低賃金の上昇も5-27%。

・この10年間で経済成長に対する仮定所得の割合は低下しており、これは、要は経済成長で生み出された利益が政府や企業に回ってしまって従業員には配分されていない事を示す。

・この第一四半期には、好調な経済を反映して仕事の募集量が35%も増加したのに、求職者の増加率は8%にとどまっている。一つの理由は一人っ子政策で、労働人口はこの5年で減少に転じるといわれており、労働の需給ギャップは益々厳しくなるだろう。

 この給与上昇の圧力が中国の向上の自動化などの設備投資を促し、そしてより付加価値の高い製造能力と新たな機会をもたらすだろう。

http://online.wsj.com/article/SB10001424052748704256604575294620379224124.html

上海だけ見ても5年前と今ではずいぶん状況が変わっており、特に外資系で働くホワイトカラー層の従業員の給与は、その能力に対して多めに給与が支払われているようにも感じます(あくまでも中国の物価水準を見て)。

 そして、ご存知のとおり大金持ちもたくさんいる。

 一方、労働者層の給与はいまだに安い。最近は月2000元くらいで募集していますが、寮などを提供してもっと安く雇用したり、コンビにのバイトの給与もかなり安いです。

 所得は本当にアンバランスなので、労働者層の給与を上げるのは心から賛成します。どう考えても不公平なんですよね。本田の例を見るなら、1社給与を上げると関連したグループにはすぐに波及するでしょうから、今年はまだまだいろいろな問題が起きるでしょうね。日本企業は、いまだにかなり低賃金のケースが多いので、結構でるか、もしくは出なきゃ既に社員に食い物にされているか。。

 唯きになるのは、低コスト労働以外に外貨を獲得する手段をこの国は持っているのだろうか?中国で生産するという事は、中国でかかるコストだけではなく、日本の中国関連にかかるコストが必ず発生します(得てして無視しがちで、製造業というよりソフトウェア開発などのサービス産業では経験が無いから特に多く見られますね)。

 多分、低付加価値品は他の国にシフトしますよね。西部大開発で中国政府は中国内陸部への外資製造拠点の移転を促進していますが、今沿海部で起こっている事は、早晩内陸部にも波及しますし、そのスピードは速いと思います。3-5年しか低コストを求められないなら、他の国でやる事を考えないとあかんでしょ。

 でもそうしたら中国は何で食っていくんだろうか?中国の工場はあくまでも中国市場向けで行くようにシフトする。でも中国は輸入している資源も多いので、輸出が減少したらジリ貧になってしまうのではないだろうか?

 内需内需と日本も散々言われていたけど、結局資源を輸入に頼る国は外貨を稼がないとどうしようもないですよね。アメリカみたいに国債乱発して他国に交わせる真似は日本も中国もできないでしょうから。

 でも早いな。2003-2004年の中国進出ブームはやはり低コスト生産目的が多かったはず。かなりの企業が失敗して撤退しているか、死んでいますが、この辺でとどめですね。中国の商売は長期的視野で見る事自体が誤りで、せいぜい10年先までも見て動く事しかできない。

 個人的な考えですが。。

 
コメント
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