日中越境EC雑感

2008年に上海でたおばおに店を作るところから始めて、早もうすぐ10年。余りの変化に驚きの連続

中国の大都市ホワイトカラーもUターンブームか

2010-06-05 | 中国の社会・文化・歴史等
 大都市のホワイトカラーに中小都市へのUターン・ブーム到来と題して日経ビジネスの記事です。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20100602/214730/?P=1

 記事によれば、中国の大都市で働くホワイトカラーの間で、故郷へ戻る「Uターン」がブームとなり注目を集めているそうです。その最大の原因は高騰する不動産価格だそうで、これは十分に理解できるところです。

 3月に青年報、4月に信息時報に都市部のホワイトカラーの多くが故郷に逃げ帰りたがっているという記事を掲載した。人材会社の調査も載っているのですが、その理由として、

【1】 住宅価格が高過ぎるし、生活コストが高い:6割超
【2】 仕事上のプレッシャーが大き過ぎるし、生活のテンポが速すぎる:5割近い
【3】 大都市の生活環境は劣悪で、空気汚染もひどく、交通が混雑する:3割超

 との事ですね。ついでに過去3年間の大学卒業生の最初の就職地は、北京・上海・広州・深センの4都市に集中しており、その比率はそれぞれ 29.7%、14.9%、5.6%、3.9%であった。卒業3年後の勤務地も基本的にこの4都市に集中し、それぞれ30.4%、18.6%、5.0%、 3.3%であったとの事です。

 中国の不動産価格についてはバブルといわれていますが、この記事には90平方メートルのマンションを購入するのに、普通の市民が飲まず食わずで何年かかるかを示した表も載っています。河南省の省都・鄭州ではマンションは平米単価が5000元(約6万7500円)と安いので18.7年で済むが、広東省の省都・広州では2010年2月の平米単価が1万1963元(約16万1500円)だったので39年かかる。ところが、上海では平米単価が2万5000元(約33万7500円)なので78年かかり、北京の“西四環(環状4号線の西側)付近”に至っては平米単価が3万元(約40万5000円)と高いので101年かかる。

 一方、中国政府が内需拡大に舵を切ったことにより内陸部の中小都市が活況を呈するようになった。内需が活況を呈することで中小都市の企業は人材不足に直面し、これが大都市の生活に不満を覚えているホワイトカラーの受け皿として名乗りを上げたと言うことだろう。

 「Uターン・ブーム」とは言うものの、大都市のホワイトカラーが実際にどれだけ中小都市へUターンしている、或いはしようとしているかを示す統計数字は存在しない。そうは言っても本当にUターンするホワイトカラーはそれほど多くないと言う意見もあるが、内陸部の中小都市の発展が沿海部の大都市からの人口移動を促すことは間違いないだろう。

 日本でも1975~85年頃に、高度成長期に大都市圏に流出した人々が地方にUターンして地方の人口が再び増加する現象が見られ、「Uターン現象」と呼ばれた。こうしたUターン現象は地方の活性化には大きく役立ったはずだが、中国のホワイトカラーのUターン・ブームも内陸部の振興に大きく貢献することになるのではなかろうか。

⇒中国の不動産の価格に対しては、バブルというネガティブな意見が日本では多く、一方香港や中国ではまだまだ伸びるという声も聞きます。この記事の数字を見れば一目瞭然ですよね。日本のバブル時代よりも所得と不動産価格の乖離が激しいのです。

 一方で所得格差が非常に大きいために、金持ちが投資目的に都市部の不動産お購入し、賃貸に出せなくてもそのまま保有しているのでそこそこの需給があり、ここまで着ちゃったんです。賃料はマンション価格に対してはそれほど高くありません。投資利回りは2-3%というのが当たり前か、高級マンションだともっと低いでしょう。

 そして、当地のマンションは外人向けでも内部の配管を埋め殺しにしているため、老朽化したときの漏水などへの対応は容易ではありません。

 そんな中国不動産を買うか??

 まぁ、一度結婚の時に買って、すむ事も無いまま売却したマンションが、今では売却時の2倍になっているものですから、妻からは時々文句もきますけど。。

 記事の最後にありますが、ホワイトカラーのユーターンはこの国には非常に良い面だと思います。低コスト生産型モデルはすでに上海やその周辺では成立しません(コスト高い)。そうなると、生産拠点は田舎に移すしかないのです。従来は田舎に移して時に、都市部のホワイトカラーは手当て(海外手当てみたいな物)を出さないと行きたがりませんでした。でも、こういう状況なら、上海の給与で地方に住むという形態でも十分にいけますよね。

 この国の最大の懸案は所得格差、社会格差の激しさであり、経済面ではそれがこの国のエンジンではありますが、社会面ではその差が埋まるほうが良いに決まっています。

コメント (2)
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