亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

FOMC緩和方向を想定する金市場

2020年12月16日 20時48分55秒 | 金市場
米議会での追加経済対策協議は、合意観測のみ先行する形で、相変わらず持ち越しが続いている。その間に、春に打たれた新型コロナ対応のいくつかの救済策の失効期限が迫っている。これとて夏に一部が失効し、さらに9月、そして年末であらかた支援策は消える。今週に入りナスダックが過去最高値を更新したが、株式市場はワクチン効果からの経済正常化が大きな支えとなっていることから、目先の協議の遅れは無視する形で進行している。

もっとも、中国を中心にアジア地域の製造業から業態の戻りは鮮明になりつつあり、業績回復期待も株価を支える。実際にこの日は、アップルが2021年上半期のiPhone生産計画を前年同期比3割増やす方針と報じられ、アップル株の急騰がダウ30種など指数を大きく押し上げた。ただし、先週新規公開された民泊仲介大手のエアビーアンドビーは、当日に公開価格の2倍超の急騰となったものの、翌日以降は低迷するなど、過熱相場を指摘する声は多い。しかし、リスクオン・センチメントは維持されたままで推移している。

12月に入りNY金は反発となり先週末12月11日まで週足では2週連続の上昇となった。反発のきっかけになったのが、200日移動平均線を実勢が割り込んだことで割安感が強まったことだ。200日線が信頼度の高い下値サポートラインというのは、すでに何回かここで指摘した。それには条件があり、足元で上昇トレンドを続けていることがある。足元では1816ドル近辺に位置しており、同線が切り上がるにつれて価格も趨勢的に水準を引き上げてきている。これはNY金の上昇傾向が健在であることを示唆するものだ。

ワクチン普及による経済正常化期待の中で、なお金価格上昇期待は維持されている。まずFRBによるゼロ金利を基盤にした超金融緩和環境の長期化観測に修正の兆しが見えないこと。現時点までの米連邦公開市場委員会(FOMC)では、23年いっぱいのゼロ金利政策維持が見込まれている。もっとも、それは確約ではなく環境が変われば修正される類のもの。ワクチン普及観測で金ETFが売られたのは、遠く水平線上に金融正常化の影を見た投資家が動いたものだが、その判断が正しいか否かは今後の展開次第ということになる。

さて、今夜は日本時間明朝4時に発表される声明文にスタッフ予想さらにその後のパウエル議長の記者会見。足元で新型コロナ爆発的感染の雇用などに影響が表れるなかで、追加支援策を巡り議会がこう着していることが、判断にどう影響するかがポイント。本日NY時間外で金が買われているのは、ガイダンスなり何なり緩和方向を意識したものと思われる。

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