亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

矢継ぎ早のインドの金輸入規制

2013年06月06日 23時47分32秒 | 金市場
予想以上に金輸入が急増して話題のインド。今週は矢継ぎ早に輸入規制を打ち出した。新刊本でも取り上げたが、インドにとって輸入金額ベースで見て原油に次ぐ2番目の規模になっているのが金なのだ。勢いのある新興国の一角として世界の政治経済の表舞台に立とうとしているインドは、いわば“稼ぐ力”のバロメーターともいえる経常収支の赤字拡大を政府が抑えようと力を入れている。国債の格付けを引き上げたいという意向もあるようだ。そこで白羽の矢が立ったのが、日常生活に不要不急の金というわけだ。そんなものを買うな・・・・と。
昨年来輸入関税を設け(1%)、それを2%にさらに4%へと段階的に引き上げ年始1月には6%にした。それでも減らない金輸入に業を煮やした政府は金融機関に対し金輸入にかかわる融資などファイナンスを規制することになった。
それでも価格が下がった4月のインドの金輸入は142.5トンに。さらに季節的に祭礼および婚礼需要が高まる5月は162トンとなったとされる。ちなみに昨年2012年は年間ベースで864トンの輸入となっていた。2ヵ月で300トンは過去最大の輸入といえる。WGCの推計ではこの4-6月期は400トンとしていた。ちなみに前年同期は160トンだった。例年需要が高まる時期ではあるが、それにしても異例の数字といえる。これでは2012年10-12月期にGDPの6.7%と過去最大に膨れ上がった経常収支の赤字は、さらに拡大することが確定だろう。

そこで4日にインド中銀は、(輸出向け宝飾品製造向けを除き)金輸入に際しては、代金後払いを禁止、すなわち現金一括払い以外の方法での輸入は禁止する決定を下し即日施行することになったもの。そして翌日の昨日5日には、輸入関税を8%から10%に引き上げを発表した。これでインドの国内価格は少なくとも国際価格に比べ10%割高になる。力技でで輸入を抑えにかかったわけだが、密輸が増えるのが歴史の教えるところといえる。


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1 コメント

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Unknown (fairlane)
2013-06-07 18:36:41
そりゃ密輸しますよね。。 10年以内に人口が中国を追い越すであろうインド その国の抑えきれない金嗜好

アルゴリズム取引が考慮しない要素ですね

株式相場は高見の見物 金相場では見慣れた光景だけど、株の世界ではどうもあまりない事のようで、市場参加者の対応が面白いです
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