亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

失速懸念の米雇用市場、ECB予想通り緩和拡大で金は反発

2020年12月10日 23時32分39秒 | 金市場
本日の注目事項はまず米週次の新規失業保険申請件数。先週末に発表された11月の雇用統計にてNFP(非農業部門就業者)増加数が前月の60万人台から24万5000人に大きく減速、予想の44万人からも20万人ほど少ないという失速状態になったことから、週次の申請件数の注目度はさらに上がっていた。5日に終わった週の新規申請件数は85万3000件と予想の73万件を大きく上振れ、新型コロナ感染の急増に伴う経済活動の落ち込みを如実に示すことに。8月末に100万件を下回ってからは、このところ70~80万件のレンジで推移してきたが、上振れがここにきて懸念されていた。

もっとも、この1カ月は新型コロナワクチン開発が想定以上に早まったことから、経済正常化期待の高まりが、足元で見られる多少の指数の悪化をカバーする構図が生まれているのは確かだ。それでもワクチン効果がフルに出る前に経済が失速となると、それは誤算ということになりかねない。今回の危機は感染症対応による需要の蒸発による経済のショック状態を如何に立て直すかにあり、そもそも金融機能が傷んでいたわけでない点に注意が必要だ。経済の正常化すなわち活動の復活や需要の高まりを促す各種施策が、(もともと傷んでいない)金融機能を過度に刺激し結果的に行き過ぎた株高や債券高(金利の低下)というバブルを生みだしている懸念がある。FRBにしても、安定的に2%を超える物価を要因というスタンスで、インフレの芽を早期に摘まない方針に変えているゆえに、多少の行き過ぎは肚を据えて見守るとのスタンスに変わっている。そもそもそれが正しいのか否かは別として、正しいと信じて対応という流れとなっている。ここまでの経験則から導き出した結論であり、インフレにも一定のモメンタムが生まれない限り、ぐっと我慢で2%を超えてもゼロ金利(緩和策)は継続ということに。

欧州中銀(ECB)の政策理事会が終わり、ラガルド総裁の記者会見が始まっている。新型コロナの感染第2波に対応しユーロ圏経済を支援するため、市場の予想通り追加の金融緩和策を打ち出した。パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)の全体的な規模を1兆8500億ユーロに5000億ユーロ拡大するほか、期間を2022年3月まで9カ月間延長する。また、貸出条件付き長期資金供給オペ(TLTRO)の期間も1年間延長し2022年6月までとした。政府や企業の借り入れコストを過去最低水準で維持することが狙いとなっている。声明文では、「中期的なインフレ見通しに影響を与える可能性から為替レートの動向も引き続き注視していく」と、ユーロ高を牽制していることから、昨日は大きく売られたことから、本日は自律反発的な動きを見せている金だが、やや上値が重い印象で840ドル台で推移している。



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