亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

2021年は「決められない政治」がリスクに浮上

2020年12月11日 21時48分43秒 | トピック
来週のメインイベントFOMCを前に注目された、昨夜の欧州中銀(ECB)の政策会合。市場予想に沿った内容となった。

パンデミック緊急購入プログラム(PEPP、=量的及び信用緩和策)の全体的な規模を5000億ユーロ拡大し1兆8500億ユーロとした。期間も2022年3月まで9カ月間延長に。また金融機関に対する貸出条件付き長期資金供給オペ(TLTRO)の期間も1年間延長し2022年6月とした。中銀預金金利マイナス0.50%、主要政策金利は0.00%で据え置いた。政策内容としては織り込まれていたものの、発表後に為替市場ではむしろユーロ高が進むことになった。ただしECBが物価上昇を抑制するとして要素として、ユーロ高を牽制したものの効き目はなかった。

一般的にはユーロ安要因となる今回のECBの緩和策の拡大だが、足元で起きているのはユーロ高というよりも「ドル安」というもの、つまり米国要因に主導される為替の動きと言える。早晩、米政府は追加財政支援など財政拡大策を打ち出さざるを得ず、来週に政策会合(FOMC)を予定する米連邦準備理事会(FRB)も、緩和拡大スタンスの示唆あるいは着手に踏み切るとの予見が市場を支配していることがある。年明けには新財務長官にイエレン前FRB議長の承認が決まると思うが、イエレン(財務省)・パウエル(FRB)体制下の政策は、ドル安を招きやすく金市場には非常に親和性の高い組み合わせになると思う。長期金利の安定が金融市場の要になると思われ、FRBの果たす役目は今年以上に大きなものとなりそうだ。

ちなみに、10日の米財務省の発表では、始まって間もない2021会計年度の11月までの最初の2カ月で累計の財政赤字は4293憶ドルとなった。前年同期で25.1%増となるもので、新型コロナ対策の支出が拡大し赤字が急拡大していることを表す。ワクチンの普及が進み、想定通り経済の正常化が進むとすると、米国の場合消費が高まり必然的に貿易収支の赤字が拡大するのは避けられないと思う。つまり「双子の赤字」問題がいずれ俎上に乗ると思われるが、早くても年後半だろうし、一般的には2022年以降を想定している。もっとも、今後のイベントの結果いかんでは、早くも遅くもという感じだ。

追加支援協議を巡る米与野党間の話し合いのこう着は、新政権発足後の政策推進の難しさを表しているが、7月には連邦債務上限の期限が到来すると見られ、両党の予算を巡る攻防により年央にひと悶着ということになりそうだ。2021年は「決められない政治」がリスクファクターとして意識される時間帯に突入ということになる。


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