亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

FRB追加策への序章 10月の米労働市場

2020年10月01日 21時11分08秒 | トピック
東証が終日売買停止という事態。兼ねてより銀行などへのハッキングで預金残高が書き換えられたりということはないのかなど、疑問に思っていたので、今朝速報が流れた際にはそのような類の話かと思った。同じことを考えた人も多かろう。いまや株券も債券もすべて電子登録されており、単なる記号で紙ですらなくなっている状況ゆえに、システム障害は怖い。電子マネーに紐づけされた銀行口座から預金が流出したり、ネット証券の口座が侵入され知らないうちに持ち株が売却され、その代金まで流出などということが現に起きているわけで、油断できない。様々な局面で便利さを取って、パスワードを乱発しているが、ほんと気を付けねばという感じだ。16時30分からの東証の記者会見をライブで見たが、機器の故障が原因ということだったが、説明内容を聞いてもよくわからなかった。何ゆえバックアップが機能しなかったのかなど、説明不足というよりも、まだ原因を突き止めていなかったのか。自分が理解できなかっただけなのか。しかし、これが動乱の3月に起きていたら、とんでもないことになっていた。こうした出来事の後は、真相と称していろいろ推論や背景を語る向きが出るのだろう。

金の世界では、FRBの保有する準備金はとうに売り払われて金庫は空っぽという話や、金ETFの裏付けとなる金現物は、ほんとうは無いなどという話を海外サイトで見つけてきて、それを信じている人もいる。ETFの件は仮に本当なら壮大な詐欺事件ということになる。

話題はかわって米大統領選討論会は、さすがに今のままではまずいということで、割り込み発言を阻止するルールに変える方向で検討中とされる。対して現職大統領は、ゲームのルールを途中で変えるな!と怒っているらしい。この討論会から一夜が明けた30日のNY市場は、新型コロナ支援追加経済対策に目を向けることになった。この日の午前にムニューシン財務長官が民主党との合意に向け「真剣に取り組んでいる。合理的な妥協点があるだろう」としたことで、一気に期待が高まったとされる。しかし、この追加支援策は、すでに共和党議会指導部は関心を示しておらず、合意の方向性すら探っていないもの。ホワイトハウスも選挙を控えるゆえに表向きは民主党の話し合いに乗っているが、緊縮財政を標榜する共和党右派の支持をつなぎとめるためには、民主党案に端から乗るつもりはない。民主党もそれは承知の上。

本日日本時間の午前に、民主党議会指導部は家計への現金給付1人当たり1200ドルを含む2.2兆ドルの規模の追加法案を今週中に下院で採決するとした。7月末に失効した失業給付の積み増しや8月上旬に申し込みを締め切った中小企業向けの雇用維持策、さらに9月末に失効した航空会社向けの給与補填策も復活させるもの。財政難の州・地方政府にも4000億ドル強を資金支援する。そもそも財政難の州は、NYやカリフォルニアなど民主党の地盤に偏っている。予算規模とともに共和党には飲めない案を、今週中に下院で採択するのは、合意ならずを前提にした、有権者に向けたスタンドプレーだろう。米下院は10月3日から、上院は10日から選挙前の休会に入る予定になっている。市場がそれを本当に期待しているのならば、当てが外れるのではないか。市況報道に載るだけで、当てになどしてないと思うが。

かくして10月は、大規模人員整理が発表されることになりそうだ。今週は米ディズニーが2万8000人の人員削減を発表している。本日は、週次ベースの失業保険新規申請件数が注目される。最大雇用を目指すとしたFRBだが、10月以降の雇用市場を経て、11月以降には金融政策の追加に乗り出さざるを得ないのではないかと思う。

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