4月23日のNY金は続落。イランとイスラエル間の緊張状態が沈静化したことを受けた短期筋のファンドのポジション(持ち分)調整の売りが、NY時間外のアジアからNY早朝にかけて続いた。
この時間帯に一時2304.60ドルと2300ドル割れを試すところまで売られた。ただし、NY時間に入って以降に発表された4月の米購買担当者景気指数(PMI)速報値が前月から低下し予想値も下回ったことから、米景気の先行き不透明感が意識され終盤に向け下げ幅を縮小した。
結果を受けてドルが対ユーロを中心に売られ、ドル指数(DXY)も一時105.641と2週間ぶりの安値を付けたことから、いったんは前日終値近辺まで買い戻されたものの、上回ることはなかった。 NYコメックスの通常取引は前日比4.30ドル安の2342.10ドルで終了した。
通常取引終値ベースで2営業日合算の下げ率は2.97%(71.70ドル)で23年2月3日以来の大きさとなった。
イランとイスラエル間の対立は今のところ小康状態となっているものの、イスラエルは23日パレスチナ自治区ガザ全域で攻撃を激化させ、ここ数週間で最も激しい砲撃を実施した。また同時にガザ北部は「危険な戦闘地域」と警告し、住民らに対し新たな避難命令を発令したとされる。中東情勢緊迫化への警戒感は依然としてくすぶっている。
23日S&Pグローバルが発表した4月の米PMI(購買担当者景気指数)速報値に関しては、 ポイントだけ書くと、総総合指数の中の雇用指数が前月から3.2ポイント低下し48と2020年以来初めて縮小圏に落ち込んだ。発表資料では「米国の経済活動は第2四半期(4-6月)に入って勢いを失った」としている。
なお、モメンタム戦略をとる短期投機筋(CTA、商品投資顧問業者)は、流れの変化で1週間ほど売却行動を続けるとみられる。
ただし、米株式市場などと違い、このところの金市場は中央銀行や中国などアジアを中心とした個人の買いなど参加者の範囲が広く、また一定の影響力を持ち始めており、そうした動きが奏功するとは限らない。
上海先物の証拠金が大きく引き上げられているので、反発に勢いを欠く可能性があるが、果たしてどうなるか。