亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

不確定要因を抱えたなかでのFOMC

2020年12月14日 18時25分50秒 | 金融市場の話題
先週も市場が期待する追加経済対策の合意は結局みられなかった。今年の10月に始まった2021年会計度の連邦政府の予算は、暫定予算(つなぎ予算)で運用されており11日で期限切れを迎えた。この日米上院で期限を18日まで1週間延長する法案を審議し全会一致で可決された。市場が期待していたのは、一緒に追加支援策も協議され合意という流れだったが叶わなかった。折衝はクリスマス明けの26日まで長引く可能背があると民主党ペロシ下院議長が述べたとされる。

ただし、この週末に9080憶ドルの超党派の追加法案を2つに分割して、可決を目指すという提案もみられている。共和民主両党の溝が深く妥協がならない分野は切り離そうというもの。おそらく例えば州・地方政府への支援などは分離されていると思うが、11月の雇用統計のNFP(非農業部門雇用者数)では、民間部門の雇用は増えていたものの公共部門は減少となっていた。州によっては財政難から警官、消防士、教師などの解雇なども進んでいる。

もうひとつ、年末で移行期間が失効する英国の欧州連合(EU)離脱にともなう自由貿易協定(FTA)交渉もこう着。伝えられるように交渉チームでは打開はできないと、9日にジョンソン首相とフォンデアライエン委員長の直接対面交渉に。それでも折り合えず、ジョンソン首相が合意に至らないまま年末の移行期間切れ迎える公算が大きいから「準備するように」と国内向けに発言したのは、この人特有の駆け引きなのは、見え見え。そもそも最初、英国側は10月15日までにまとまらなければ交渉終了すると言っていたのではなかったか?今回は12月13日期限としていた。それもトップ同士の電話協議で継続が決まった。もう市場の関心もLet it go ! 状態で、双方に利のない合意なき終了(関税復活)は回避されるとの楽観論が支配する状況。

米議会の追加支援合意も結局、今週も難しいとみられ、結局、FOMC(連邦公開市場員会)は財政サポートが遅れる前提で政策を立てることになりそうだ。

不透明要因が多い中ではっきりしたのは、トランプ陣営が大統領選の逆転劇につながるものとしてかけていたテキサス州司法長官らが、他州(激戦4州)の結果認定を事実上無効にすべきだと提訴していた問題。郵便投票の利用拡大に向けた制度改正が違法行為という訴え。
テキサス州は、他州の選挙手続きについて訴訟を起こす法的地位を有さない、つまりそもそもこの件で訴えるのはお門違いにつき却下というもの。この他州のやり方が違法につき提訴とのニュースを見たときに、地方分権が進んでいる米国で珍しい話で?だった。物議を醸したエイミー・バレット判事ほかトランプ大統領が指名し承認された3名の判事も同じ判断となった。

この判定に不服の大統領が、これら判事をどう評価し、どう不満を表現するか・・・言うまでもないでしょ。

いずれにしても現地本日14日の選挙人投票は問題なく実施できると見られ、テール・リスクだった選挙結果の大幅遅延は回避されることになった。

本日は、午後14時過ぎから15分までラジオNIKKEI「マーケット・プレス」に電話出演。先週、11日は同じく9時37分から53分までの午前の部で電話にて話をさせてもらった。

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