亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

NY金週足92.80ドル、5.54%高

2022年11月14日 22時35分09秒 | 金市場

先週末のNY金は、週間ベースで大幅続伸となった。通常取引終値(清算値)は1769.40ドル。その後の時間外取引で上値を伸ばし1775.50ドルの高値を付けた。通常取引終値および取引時間中の高値ともに8月25日以来約2カ月半ぶりの高水準となる。週間ベースでは、92.80ドル(5.54%)の大幅上昇となり2週連続の上昇で終了した。

しかし、この大幅上昇は想定の範囲内といえるもの。

そもそも想定以上に大きくなった春以降のNY金の下落幅は、そのまま想定を超えるドル高の裏返しの現象でもあった。機会を捉えて書いてきたが、この間のNY金の下げは、ドル指数(DXY)の上昇に沿ったファンドのショート(空売り)の積み増しによるものだった。したがって折に触れ売りポジションが買い戻されるたびに、1週間で100ドル程度の反発が見られてきた。具体的には7月末から8月初旬、9月末から10月初旬がそれにあたる。先週書いたが今回も同じことが起きているわけで、内部要因からは予見性の高かった上昇と言えるもの。

NY金の1600ドル台は売られ過ぎと捉え、2番底を探る動きとした。積み増されるショートは買い圧力の高まりを意味し、早晩買い戻されるもので、問題はタイミングだった。

きっかけが11月4の10月の米雇用統計だった。非農業部門の雇用者数(NFP)は前月比26万1000人と市場予想(20万5000人増)を上回り、失業率も50年ぶりの低水準となる9の3.5%から上昇(悪化)したものの3.7%未だ完全雇用に近い水準といえた。この3以降、利上げサイクルに入ったFRBだが、歴史的な金融引き締めが続く中での10月の米労働市場の状況は堅調そのものといえた。

しかし、ドルは主要通貨に対し売られ、ドル指数(DXY)は前日終値の112.930から110.77に下げて終了。1の下げ率1.82は2015年11月以降で最大(ロイター)とされた。

雇用統計で注目されたのは、平均時給の伸びが9月の前年比5%から4.7%に鈍化したことだった。このところ賃金や家賃などエネルギーや食品以外の項目の上昇によるインフレ加速が懸念されているだけに、ついに5%割れとなった賃金指数の低下は落ち着く兆しと受け止められた。堅調ではあるものの、FRBが引き締め策を引き続き加速させるほどの強さではないと受け止められた。

正直って自分としては、この内容は12月も0.75%でも問題なしと思う結果だった。この時期にしては、十分な強さだと思った。しかし、逆に利上げテンポンの減速を読みドルは売り戻された。

その時にここに書いたが、市場の反応を見て思ったのは、「相場のことは相場に聞け」ということだった。市場センチメントが水平線の向こうに、変化の兆しを嗅ぎ取ったという解釈になる。そして、この判断は少なくとも先週末までは正しかった。10月の米CPIでさらに流れは加速したからだ。

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