亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

NY金 “触るな危険”3カ月ぶり高値

2022年11月15日 19時27分29秒 | 金市場

11月4日の雇用統計の結果を受け生まれたドル売り戻しの動きは、10日の米消費者物価指数(CPI)で加速されたが、値動きの大きさはそれだけドル買いポジションに傾いていたことを表す。11日のドル指数(DXY)は前日比1.914ポイント下落の106.292で終了。2営業日で4.257ポイント、3.85%安は2日間の下落率としては2009年3月以来最大とされた(ロイター)。

 

相場力学という点では、足元で「ひずみの解消」が起きているわけで、一般的に一巡すると為替市場ではドルの戻りが見られることになる。しかし、こうした動きを繰り返しながらトレンドは変わる。

 

週明け14日そして本日15日のドルの戻りは、おそらく多くが思っていたほど大きくはないといったところだろう。日本時間の19時までの時点で、DXYは再び直近の安値を下回り106.094と106ポイント割れをうかがう動きとなっている。それに刺激されNY金はここまでのところ一時1787.20ドルまで買われている。昨日の終値ベースで8月16日以来3カ月ぶりの高値となる。今朝見たダウ・ジョーンズ系のサイトでは、1750ドル超のNY金はメチャクチャ高いとして、“触るな危険”的な警告を発しているアナリストがいた。

 

確かにFRBは、利上げピッチは落とすものの、利上げ自体はこれからも続くわけで、ターミナルレート(最終到達金利)の水準が見えないのはNY金には逆風ではある。しかし、昨日書いたように、相場は水平線の向こうにキラリと流れの変化を見て取っていることがあるわけで、目をこらし耳を澄ましましょうという話。

 

14日はウォラーFRB理事がシドニーで開かれた会議に参加。10月の米CPI上昇率が7.7%に鈍化したことは朗報だが一つのデータに過ぎず利上げを停止するまでには「まだ道のりは長い」と発言。次回12月の連邦公開市場委員会(FOMC)かその後の会合で、利上げ幅を0.5%に減速させることはあり得るとしながらも、インフレ抑制に向けたFRBの取り組みが弱まったと受け止めるべきではないと市場の先走りをけん制した。ターミナルレート(利上げの最終到達点)が5%を上回る可能性があるか否か聞かれた同理事は、今後のインフレ動向次第とした。

 

ブレイナード副議長も14日、ブルームバーグとのインタビューで「利上げペースを鈍化させることが近いうちにおそらく適切になると思う」とした上で、「われわれにはさらにやるべきことがある」と利上げを停止する用意がないことも強調した。「累積的な引き締めが浸透するまでにはいくらか時間がかかるだろう」とし、「インフレを徐々に低下させるため、一段と慎重で、データに依存するペースに移行することは理にかなっている」とした。

 

つまり4会合連続の0.75%という強烈な引き締め策を実施してきたが、その影響がどう出るか見極めるタイミングに差し掛かっており、利上げペースを落としデータに現れる結果を見つつ引き締め終息に向け判断するということになる。

 

引き締めサイクルの終了が近いという市場の判断は誤りといえるが、その方向性を模索する動きに移行しているというのが足元のFRBのスタンスと思われる。

 

さて明後日に迫る有料セミナーですが、オンラインゆえに直前駆け込み参加歓迎です。

 

 

 

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