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利根川の 川瀬も知らず 直(ただ)渡り
波に逢ふのす 逢へる君かも
=巻14-3413 作者未詳=
利根川の浅瀬が、どこかもわからずただ真っ直ぐに渡っていると、思わず波しぶきにあたるように、ばったりお逢いしましたね。という意味。
「のす」は、「なす」の上代東国方言。
当時の利根川が浅瀬を探して渡らないといけないくらい大きな川だということがわかる。率直な愛を利根川の流れに託して歌った、恋人同士の不意の出会いの驚きと喜びに満ち溢れている、東歌らしい素朴でロマンチックな歌である。
この万葉歌碑は渋川市の白井宿の羅漢水供養塔わきに建っている。
白井宿は利根川と吾妻川の合流点に栄えた宿場町。白井堰と言われる水路の両側に古い町並みが続き江戸から受け継がれた風情を感じさせるところである。また路傍の石造物が点在し、土蔵造りの家並みや鐘楼・つるべ井戸など昔の佇まいが残っている。
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白井宿の羅漢水供養塔(右)と羅漢水の井戸(左)
羅漢水供養塔には叶屋金井氏が、下之町の便を図るため、寛政7(1795)年3月6日に井戸を掘り上げたとある。
白井堰には今も豊富な水が流れている。
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