麻久良我(まくらが)の許我(こが)の渡りの韓楫(からかじ)の
音高しもな寝なへ子ゆゑに
=巻14-3555 作者未詳=
古河の渡しのから梶のように、音高く広まってしまった、まだ供寝もしてないあの娘とのことで、という意味。東歌である。
私的な解釈として、
許我にかかる枕言葉の麻久良我は、死者の枕元に添える「枕[ヶ]石」とみると、当時の古代人たちは、さながら海のようだったこの渡良瀬の川べりから、死者の亡き骸を送り出した水葬の習慣を連想させる。
許我は我らを許して、とみると、
亡くした子を水葬で船で流し、両親が我らを許してと号泣する、と解釈することもできる。
古河の雀神社から渡良瀬川の土手にあがると、立派な歌碑がある。土手からは渡良瀬遊水地から日光連山をのぞむことができる。
この歌から古河は、すでに奈良時代から渡良瀬川の渡し場として賑わっていたことが伺える。
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