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風に散る 花橘を 袖に受けて
君がみ跡と 偲ひつるかも
=巻10-1966 作者未詳=
風に吹かれて橘の花がわが袖にこぼれ散ってきました。もうお会いできないあのお方、今頃はどうされているのでしょうか。という意味。
かって通ってきてくれた人が疎遠になったか、あるいは亡くなったのだろうか、
二人して眺めた思い出の橘の木の下に佇む女性。そしてその上に花びらが
はらはらと散りかかる、という絵画的でかつ幻想的な歌。
橘は、垂仁天皇の命を受けてタジマモリが常世(仙境)に赴き、持ち帰ったと伝えられている。
そのため、宮廷の貴族たちは好んで庭園に橘を植えた。
初夏には五弁の白い花を咲かせ、芳しい香りを漂わせる。
『万葉集』においても「たちばな」は愛詠され、なんと六十九首も詠まれている。
平安時代になると、紫宸殿の前庭に左近の桜、右近の橘と並べて植えられ、
以来、橘は格別の品格を持つ花とされるようになる。
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