飛鳥への旅

飛鳥万葉を軸に、
古代から近代へと時空を越えた旅をします。
「リンクメニュー」(分類別目次)機能付。

万葉アルバム~樹木、まつ

2012年09月20日 | 万葉アルバム(自然編)

岩代の 浜松が枝を 引き結び
ま幸くあらば また帰り見む
   =巻2-141 有間皇子=


 磐代の浜松の枝を結んで無事を祈るが、もし万が一生きて還れたらもう一度この松を見よう。という意味。

有間皇子(640-58)が謀反のかどで捕らえられ天皇のもとに護送される途中、紀の湯を眼前に望む和歌山県みなべ町岩代の地で松の枝を結び自分の命の平安無事を祈って歌を詠んだ歌2首のうちの一首である。

もう一首は、『家にあらば 笱に盛る飯を 草枕 旅にしあらば 椎の葉に盛る』(巻2-141)

有間皇子は孝徳天皇の子。孝徳天皇は宮中の実権を握った中大兄皇子に批判的だった。孝徳天皇死後、658年(斎明4年)有間皇子は斎明天皇と中大兄皇子の一行がムロ温泉に逗留中、蘇我赤兄の陰謀により、斉明天皇と中大兄皇子に謀反をくわだてているとのうわさをたてられ、中大兄皇子のもとに護送する。
有間皇子は「天知る赤兄知る、我はもはや知らず」と無実を訴えたが、結局護送中に藤白坂(現和歌山県海南市)で絞首刑に処された。これは中大兄皇子の策略であると云われている。

「まつ」は、最も身近な植物の一つで、日本の美しい自然を形づくる主な樹木でもある。クロマツ(海岸部に自生)とアカマツ(内陸部に自生)が身近に見られる。 
万葉集には77首のマツの歌がある。ただ「松」と表現されるもののほか、浜松・山松・島松など生えている場所にちなんだものや、若松・小松・老松・千代松などのように樹齢を表す場合があり、生活に欠かせない植物といえよう。

この万葉歌碑は、千葉県袖ケ浦市袖ヶ浦公園にある万葉植物園に建てられているものである。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿