飛鳥への旅

飛鳥万葉を軸に、
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万葉アルバム(奈良):橿原市、別所池西南堤

2011年12月12日 | 万葉アルバム(奈良)

藤原の 古りにし里の 秋萩は
咲きて散りにき 君待ちかねて
   =巻10-2289 作者未詳=


 あなたを待ちかねて藤原の古い都の秋萩は、むなしく咲き、そして散ってしまった、という意味。

「藤原の古りにし里」は橿原市醍醐町・高殿町の一帯にかつて存在した帝都。藤原の都。持統天皇から天明天皇の平城遷都まで続いた。「にし」→助動詞・完了「ぬ」の連用形「に」+助動詞・過去「き」の連体形「し」=~てしまった。「散りにき」→ラ行四段活用動詞「散る」の連用形「散り」+助動詞・完了「ぬ」の連用形「に」+助動詞・過去「き」=散ってしまいました。「かねて」→ナ行下二段活用補助動詞動詞「かぬ」の連用形「かね」+接続助詞・単純接続「て」=~することができなくなって。

すでに散ってしまった萩の花を惜しみ、忘れられたかつての都を忍び、それでもまだあなたを待ち続けているのです、と「君待ちかねて」が余韻の表現になっている。

この万葉歌碑は藤原京を望む朱雀大路跡にある別所池西南堤に建っている。揮毫者・司馬遼太郎であるのが魅力でもある。
694年に飛鳥からほど近い藤原京に持統天皇が都を移した。しかしこの都は平城京へ遷都するまで、わずか16年間という短命に終わったのである。

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